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第十七話 映画研究会のビデオ

 Sさんが所属している大学の映画研究会には、昔から受け継がれてきた謎のビデオテープがあるらしい。

 新入部員はまず度胸試しと言われて合宿中に夜にそれを見させられるのがしきたりとなっていた。


「ホラー研究会ではないので不本意でしたが、酒も入っていたのでその場のノリで同期達と見ましたよ」


 宿泊施設の会議室を借りて、先輩が2人、Sさん含む新入部員が3人参加したという。

 映像が始まると、まずどこかの森での撮影中らしい様子が映る。


「はい、カットー」


 誰かの声が入り、俳優らしき男性が画面の外へ歩いて出る。

 すると急に画面が切り替わる。

 どこかの家の中と思しき場所で、廊下とドアがある。そのドアがゆっくりと開こうとしている。

 そしてその中から出てきたのは、巨大な顔だ。

 ドアとほとんど変わらないほどの大きさの横顔が鼻から徐々に出てこようとしている。


「いやああああっ!!」


 Sさんの真後ろから叫び声がした。

 見ると同期のYさんという女の子だ。

 両手で顔を覆い、ブルブルと震えている。

 慌てて背中に手を伸ばした他の同期の女の子がいたが、Yさんはそれを振り払い部屋を出て行ってしまった。


「僕は映像の方も気になったんですが……」


 Yさんが叫んだ拍子に、先輩がビデオを停止してしまっていた。テレビ画面は暗くなっている。

 先ほど背中をさすろうとした女の子と別の先輩がYさんを追いかけていき、ビデオ鑑賞はなんとなくお開きになった。

 落ち着きを取り戻したYさんに話を聞くと、彼女はこう言ったという。


「だって、出てきた顔、私の顔だった」


 映像のことが気になったSさんが先輩に内容を尋ねたところ、確かに顔が出てくるという怖い映像なのだが、その顔はYさんとは似ても似つかないものであるという。

 Yさんはその後映画研究会を辞めた。彼女はいったい何を見たというのだろうか。

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