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第十六話 スピードに乗って
普段の移動手段が自転車だというBさん。
その日も住宅街を自転車で颯爽と駆けていた。
「普段よりも少しスピードが乗っていたように思ってはいました」
だが、乗り慣れている自転車であり不測の事態があっても避けられると考えていた。
坂に沿って住宅が並んでいる道にさしかかる。
下り坂なのでスピードが出がちだ。
Bさんは横から何かが飛び出してきても、すぐにブレーキをかけられるように指をかけながら走行していた。
しかし、突然だった。
急に前からBさんに向かって生首が飛んできた。
完全に不意を突かれて、驚き転倒するBさん。
ぶつかった感覚はなく、ただただ地面に身体が叩きつけられた痛みがした。
周囲を見ても倒れた自転車があるのみだ。
「何かのゴミとか、大きな虫とかと見間違えたかと思うのですが……」
その可能性もあるが、Bさんは思い出すと未だに背筋が震えるのだという。
「飛んできたものと、僕、目が合っちゃったんですよ。一瞬でしたけど、顔は笑ってるように見えました」
その後、彼はその坂は通らないようにしているという。




