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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第五章 陽だまりの風がふく ~萌芽するしあわせ~
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第65話 内なる声

(ぽ~)


 エレブナの町はずれで虚空こくうを見つめるヴェリス。彼女が練習しているこの"超感覚"の全解放は、まだまだ佳果の集中状態(ゾーン)を介さねば到達することも、制御することも叶わない。しかし初回と比べれば持続時間はわずかに伸びているようで、佳果の集中が途切れても、ヴェリスの瞳は宇宙のままだった。


(数回の練習で成長するなんて、さすがはヴェリスだな。おれも早いとこ兄ちゃんから免許皆伝もらわないと……)


「佳果さん、お疲れ様でした!」


「おう。とりあえず、これでエリアⅦへ移動するための手がかりがつかめりゃいいんだが」


 フルーカの助言どおり、ヴェリスは超感覚と並行へいこうして魂の鑑定を行っている。るべきは、これから自分たちが向かうべき場所についてだ。


(わたしが黄色、佳果が緑。楓也は赤と青で、シムルはオレンジだね。みんな水みたいな感じだけど……どうやったら、アーリアみたいにきらきらになれるのかな)


 エリアⅨにいるアーリアは、ほんのりと紫色に輝く光の魂をもっていた。おそらくⅦ、Ⅷと移動してゆくにつれ、あの状態に近づくことになるのだろう。


(……前と同じように、光をたべてみよう)


 世界の光とつながり、ヴェリスが各々(おのおの)の魂を照らしてみる。浮かび上がった黒いモヤのさらに奥――不純物のごとくにごりが発生している部分をさぐると、内なる声が木霊こだました。


 認められたい。与えたい。これは自分の魂。

 辿り着きたい。救いたい。これは佳果の魂。

 気づかせたい。教えたい。これは楓也の魂。

 成し遂げたい。支えたい。これはシムルの魂。

 差し出したい。導きたい。これはアーリアの魂。


「ぷはっ」


 超感覚が解け、ヴェリスが息を吐く。

 深呼吸する彼女の背中をさすって、アーリアは心配そうに言った。


「大丈夫ですか? わたくしにはあなたと同じものを見ることはできませんが……暗い部分をのぞくということは、おそらく相応の()にも触れているのでしょう?」


「……ヴェリス自身が、それはこわいものだって言ってましたもんね」


「えへへ、へいきへいき。おばあちゃんに何も教わらず触ってたら、大変だったかもしれないけど」


(黒か……やっぱ俺たちが京都で遭遇そうぐうした、あのやべぇ存在も関係あんのかな。チャロは『邪魔そのもの』だとか言っていたが)


「しっかし、超感覚ってのは夕鈴ゆうりっていう姉ちゃんが持ってた力なんだろ? そもそもの話、どうしてヴェリスにも発現したんだ?」


「そりゃ未だに謎の部分だな。ただ……夕鈴あいつが目覚めた理由なら知ってるぜ。もしかすると、同じなのかもしれねぇけど」


「そういえばまだ聞いたことなかったね、押垂さんに超感覚がそなわっていた理由」


「……佳果さん、無理に話す必要はありませんのよ?」


「いや、ちょうどいい機会だ。ヴェリスから鑑定結果を聞く前に、休憩がてら話しておくとするぜ。あいつが目覚めたのは……俺が原因(・・・・)だったんだよ」

お読みいただきありがとうございます。

キリの良いところで区切った結果

今回は短めになってしまいました。

次回、超感覚について少し掘り下げます。


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