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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第四章 雷雨をこえて架かる虹 ~あまねく愛のまぼろし~
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第51話 みちしるべ

「お疲れさまでした」


 消耗した二人をねぎらい、フルーカが回復薬を振りまいた。

 そうして一同はテーブルへ戻ると、今の訓練方法についておさらいする。


「要するにヴェリスが無の境地(てき)なものに入っちまえば、超感覚のやべぇ側面に対策できるってわけか」


「はい。当面は先ほどの要領で反復練習が必要になると思いますが、次第に自分の力だけでも至れるようになるでしょう」


「わたし、がんばってみる」


「偉いですわヴェリスちゃん!」


「でもさ兄ちゃん、毎回あれやるってなると結構しんどいだろ? おれも協力するから、ゾーンってやつの入り方おしえてくれよ」


「そりゃ構わねぇが、一応は奥義のたぐいだしな。習得すんのは相当きちーと思うぞ」


「……だとしてもだ。ヴェリスを助けるためならやるよ、おれ」


 シムルの瞳に信念の炎が灯っている――覚悟を決めたおとこに二言はない。

 佳果はふっと笑って拳を前に突き出した。意図を察し、シムルも同じように拳を突き出す。コツンと響いた音は誓いへと代わり、彼らはお互いに小さくうなずいた。


 その光景にはにかんだヴェリスの両肩には、楓也とアーリアの手が置かれている。だまりのバルコニーに、爽やかな風が吹き抜けていった。


「あなた方を見ていると、とても優しい気持ちになれますね。幸せをおすそ分けしていただいた気分です」


 微笑むフルーカは、そのまま続ける。


「……さて、そろそろいい時間でしょうか。ヴェリスちゃん、最後に一つだけ」


「?」


「超感覚のコントロールに成功すれば、あなたはあらゆる魂を鑑定できるようにもなります。そのことを覚えておいてね」


「かんてい?」


「ええ。鑑定とは、その人の本質を知ること。とりわけ魂のもろい領域――何を恐れ、何にいかり、何が悲しくて、何が許せないのか……そうした暗い部分に光を当てることで、苦しみの根源が浮かび上がって、エリア移動の手がかりが見えてくるのです。……ぜひその力で、皆さんを導いてあげて」


「……わかった」


(エピストロフへの到達に超感覚が役立つって、そういう意味だったんだ)


「ふむ……そうなりますと、エリアの進行度からして最初の鑑定は佳果さんが受けるか、ヴェリスちゃんがセルフチェックするのが順当ですわね」


「だなぁ。しっかしよー、まさかもうヴェリスに追いつかれちまってるとは……シムルに至っては楓也と並んでるようだし」


「へへっ、どんなもんだい!」


「ま、ちょちょいと追いついてやるけどな。待ってろよ二人とも!」


 佳果がおどけたテンションでシムルと楓也に肩を組む。しかし彼の表情はさっきまでと違い、どこかこわばっているように見えた。ヴェリスはあえてそれに言及せず、フルーカに別れのあいさつを切り出す。


「おばあちゃん、今日はたくさんお話してくれてありがとう!」


「まあまあ、どういたしまして。私もこんなに楽しかったのは久しぶりです。こちらこそ、素敵なひとときをありがとうございました」


「んじゃ、また適当に遊びに来るぜ」


「貴重なお話を聞けて良かったです」


「それではフルーカ様、ごきげんよう」


「お菓子ごちそーさんでした!」


 こうしてアスター城を後にした一行は、城下町へと繰り出す。

このお話に出てくる情景は後々(のちのち)に繋がっていきます。


※お読みいただき、ありがとうございます!

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