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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第三章 円をえがく道 ~負けられぬ理由~
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第29話 プレゼント

「じゃーん、いかがかしら?」


「わ、さすがアーリアさん! 見違えたよ阿岸君!」


「そ、そうか……?」


「ん、佳果いいかんじ」


 アラギの町は他所よそと比べてもショップが豊富で、装備はもちろん、外見を変えることのできる"おしゃれ着"の品揃しなぞろえもよい。イメージチェンジするにはうってつけの場所であるゆえ、長らく無難な格好をしていた佳果とヴェリスは現在、アーリアの厚意によって着せかえ中である。


「自分に関してはよくわかんねぇけどよ、ヴェリスは似合ってると思うぜ。まあ本職? のアーリアさんが見繕ってくれたわけだし、当然っちゃ当然か」


 足首まで丈のあるマントのようなアウターに、アシンメトリーの肩アーマー。白と青を基調とした軽装鎧は清廉さいれんさとワイルドさが調和していて、彼の品格にぴったりだ。この世界の服は適宜てきぎ、物理的に透ける機能がそなわっているため、動きやすさにも支障はない。


 対してヴェリスは黄色とオレンジを中心にスカートとケープをまとい、髪飾りやペンダントなどのアクセサリー類もつけている。一気に華やかな雰囲気となった彼女は、あどけなさを残しつつも妙齢と錯覚させるような、上品かつ健康的なたたずまいに変身している。


「うふふ、二人ともとってもまぶしいですわ! この町に来たら服をプレゼントしようとずーっと考えていたので、感無量です!」


「そうだったのか。恩に着るよアーリアさん」


「ありがとうアーリア!」


「どういたしまして! それでは会計してまいりますわね。店員さーん」


 ご満悦でレジに向かうアーリア。楓也は改めて二人のコーディネートを眺め、しきりにうなずいている。


「うんうん、よかったね! そのロッドや剣もさまになってるし!」


「ま、得物えものとして使うかはまだわかんねーけどな。やっぱ男は拳だろ!」


「拳だね!」


 一緒になって左の手のひらにパンチするヴェリス。アスターソウルでは61レベル以降から武器が解禁されるということで、彼女はロッド、佳果は剣を買ってもらった。しかし彼らは運動能力が高いステータスのため、格闘路線のほうが性に合っているのかもしれない。武器はあくまでも、飾りとして携帯する未来がみえる。


「ん~、阿岸君はともかく、ヴェリスはたしなみ(・・・・)を覚えたほうがいいかもなぁ。……色々と便利だよ?」


「便利?」


「おい楓也、ちょっと悪い顔してんぞ」



 買い物を終えた一行は、今日も今日とてレベリングを行うべく郊外に向かっていた。ヴェリスは新しい自分がよほど気に入ったのか、くるりと回りながら先行している。


「ご機嫌かよ、あいつ」


「ふふ、こちらまで嬉しくなりますわ。ゲーム内の服はよごしたり破けたりしても、お店に行けば一瞬で直せますし……いくら動いても邪魔にならないから安心です」


「オシャレ好きにとっては天国みたいな環境ですよね」


「ええ、本当に」


「……今まで考えたこともなかったが、そういう世界もあんだな」


「お、興味もった? 阿岸君もこっちへ来るかい!?」


「いや、お前のはなんか違う気がすんだけど……」


「ねーみんな!」


 唐突に、前方のヴェリスが声を張った。


「あー? どした」


「わたしもみんなに、ぷれぜんとあげたい!」


「まあ!」


「えへへ、あの子はどんどんかわいくなっていくね」


「親バカみてーだぞ。……でもよおヴェリス! なんか買うためには結構、金がいるんだぜ?」


「うん……モンスター倒すだけじゃ足りないよね。なにかいい方法ない?」


「でしたら、あれ一択でしょう!」


「あれ?」


 佳果とヴェリスは、彼女の指さす方向を見る。そこに構えていたのは、観覧車からも見えたあの闘技場だった。

お読みいただき、ありがとうございます。

「最後に服買ったのいつだっけ……」

と思った方がいらっしゃいましたら、

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