表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十四章 幸せの表現法 ~自分のためは、世界のためで~
296/356

第288話 三つの気

 かつて、魔神ムンディの放つ"世界悪意"を受けたときのごとく。美しい輝きをまといながら毅然きぜんと黒に立ちはだかる佳果を目の当たりにして、零子は思った。


(……佳果さん。あなたはあたしよりずっと年下とししたで、この手の相手は畑違いのはずなのに……どうしてそこまで背中が大きく見えるのでしょう? そんな光を見せられちゃったら、ひとりでべそをかいているわけにはいかないじゃないですか)


 心が震え、おもむろに立ち上がろうとする零子。佳果の迫力に気圧けおされていた桐彦きりひこたちは、ハッとして臨戦態勢に入った。また彼女に拘束術を使われては厄介だ。ここは一気にかたをつけねばなるまい。


『ならば望み通り、引導を渡してくれる! やれ、福丸!』


数多あまたの恨みが凝縮されたこの波動……受けられるものなら受けてみよ!』


 瘴気しょうきに似たエネルギーが佳果をめがけてほとばしる。目をおおいたくなるほど禍々(まがまが)しい衝撃が襲いかかるが、彼は瞬きひとつせず正面からそれを受け止めた。そして双方がぶつかり合った瞬間、佳果の魂が放つ勇・零・神――三つの気が邪念を包み込み、怒涛どとうの勢いで浄化が始まる。


『なっ……!』


『よもや出力が足りぬとでも……!? ええい! くなる上は、我ら以外の黒もかき集めて利用するまでよ!』


 岬季みさきが対処しきれずあぶれてしまった付近の闇を吸収し、波動を強める福丸。しかし佳果はいっさいおくすることなく一歩、また一歩と彼らのもとへ近づいてゆく。そのまばゆきたたずまいの根底に、桐彦はどこか懐かしいものを感じてやまなかった。


《ほら、元気だして》


 にわかにフラッシュバックしたのは、あの日あたたかい飲み物をくれたおじいちゃんの笑顔。刹那、彼は福丸の頭を撫でて攻撃を制止していた。


『! なぜ!?』


『福丸、あいつがあそこまで食い下がれる理由……それを見極めるぞ』


 佳果の到着を静観せいかんし、直接(ちょくせつ)魂の光に触れる両者。すると彼が今まで経験してきたと思われる記憶のかけらが流れ込んでくる。そこには家族や大切な者の命が失われた忌まわしき事件が含まれており――その背景に因果(・・)垣間かいま見た桐彦と福丸は、互いに顔を見合わせると臨戦態勢をくに至った。

お読みいただき、ありがとうございます!

もし続きを読んでみようかなと思いましたら

ブックマーク、または下の★マークを1つでも

押していただけますとたいへん励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ