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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十四章 幸せの表現法 ~自分のためは、世界のためで~
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第273話 自由と伝説

「なになに! なんの話!?」


 急に捕まえられ、慌てふためくシムル。

 明虎はおもむろに掴んだ手を離すと、近くの柱に寄りかかって言った。


「シムルくん。あなたはこれまで、兄にかんがみた上で固有スキルを応用し、見事ゾーンと無意識のコントロールを身につけた。さらに持ち前の霊感を駆使して自然との繋がりを深めるうち、万物ばんぶつにおける集合意識の流れを見つけ、神気(てん)じょうをも会得えとくした。そうですね?」


「う、うん……おかげでこうして、瞬間移動とか、念話も使えるわけだけど」


「ではそれらの技術について最初に説明した際、私が何と言ったか覚えていますか?」


「えっ? ん~……あ! 普段、太陽をってるって聞いた気がする!」


「……その少しあとです」


 当時どんな対話を繰り広げたのやらと苦笑するチャロ。しかし文脈からして、明虎が何か重要な助言をおこなおうとしているのは間違いなかろう。彼女は静かに二人のやり取りを見守った。


「少しあと? ……あ、だんだん思い出してきた! 確か『フローティングとタイムストップについてはまだ時期尚早』とか言って、どこかへ消えちゃったんだっけ!」


「忘れていなかったようで重畳ちょうじょう。……そう、要するにあなたは、まだもう一段階ほど成長の余地を残しているということです」


「も、もう一段階?」


 真剣な顔になってオウム返しするシムル。

 明虎はにわかに輝きをまとうと、不敵な笑みを浮かべた。


れい纏繞――これをおさめたとき、あなたは真に自由な存在となるでしょう。空中浮遊(フローティング)時間停止(タイムストップ)にとどまらず、念動能力(サイコキネシス)を使って大量の魔除けを一瞬で配達することも可能になりますよ」



 その頃、魔境にて。リザードマンの集落で働いている零子の恋人、昌弥まさやの元へ訪れたガウラとノーストは、とある情報について彼に共有していた。


「――というわけなんじゃよ」


青生生魂(アポイタカラ)、ですか……まあこの地になら、そういうものがあっても不思議はありませんよね」


 それはいわゆる、伝説上のものとうたわれている幻の金属だった。なんでも魔境のどこかに実在しているそうだ。


「あの里長いわく、われの魔剣も元は青生生魂からつくられたものらしい。強力な素材という点では、喉から手が出るほど渇望かつぼうする者も多くいるだろう。然るべき場所でりにかければ、おそらく相当量の愛珠あいしゅを獲得できるはずだ」


「加えて詳しい理屈はわからぬが……その金属がちょっとでもあれば、わしら人間はこちらで魔の影響による自我崩壊を防げるようになるとも聞いた。これはもう、探しにゆかねば損というものじゃわい!」


「なるほど、それで今回オレを誘ってくださったんですね。……パリヴィクシャさん、行っても来てもよろしいでしょうか」


 横で事情を聞いていたこの集落の首長しゅちょう、パリヴィクシャは大きくうなずいた。


「無論、構わぬ。これを機に邁進まいしんするとよい」


「あ、ありがとうございます!」


「ただ……ノースト様。たいへん恐れ入りますが、その旅……あれの同行も許可していただけないでしょうか」


 パリヴィクシャが指差す方向。

 そこには彼の弟、トレチェイスの姿があった。

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