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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十四章 幸せの表現法 ~自分のためは、世界のためで~
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第272話 リスク

「シムルさん、こちらが今日のリストです」


「あいよ~っと。……なかなか多いなあ」


 チャロに渡された書類を見て苦笑するシムル。そこには身体が不自由などの理由で、町まで魔除けを入手しに行けない人々の情報がずらりと列挙されていた。


 ――例によって、魔除けはフルーカが国璽こくじを付与した段階でレアリティが最高値に達し、一人一個までしか所持できず、また譲渡じょうとも不可能な仕様となる。つまり彼らは代理人を立てて受け取ることもできないため、こうしたケースでは管理者サイドが便宜をはかる必要があるのだ。


「じゃ、さっそく始めるとしますか」


 軽く体操を済ませたシムルが、リストに書いてある人物たちの魂を捕捉ほそくし、彼らの住居まで瞬間移動して、次々と魔除けをポスト投函してゆく。ちなみにお代は後払あとばらい式にしているゆえ、かなり機械的かつ効率的に配達が可能だ。とはいえやはり量が多すぎて、一日あたりの処理数には限度があるし、彼の体力や精神力への負担も計り知れない。


 チャロは眼前がんぜんで消えては現れるシムルの働きぶりを見て、たいそう心配した。


(……何かわたし達にもできることは……)


「お困りのようだね」


 突然、背後から胡散うさん臭い声が聞こえた。

 彼女は振り返らずに答える。


「……ねえ明虎あきとら。カルマのリスクはよく理解していますが、この件に関しては正直……あなたの力が借りられたら、どんなにありがたいかと考えてしまいます」


「……」


「今だけでいいのです。陽だまりの風として、わたしたちとともに歩むことはできませんか?」


 チャロがうれいを帯びた表情で見つめてくる。

 彼は「ふむ」と小さく言って両腕を組んだ。


「知ってのとおり、私のこころは既に人の領域からはずれたところにある。この状態で特定の活動に寄与したり、因果の流れがかたよる方向に加担かたんする場合――それが人の自由意志に関わる範疇はんちゅうであってはならないのだ。君の理解にたがわず、夕鈴ゆうりと同じてつを踏まぬためにもねぇ」


「……あなたをそうさせてしまった張本人であるわたしが、こんなことを言うのは滑稽こっけいですけど……もう、戻れないのでしょうか? ともに旅をしたあの頃みたいに……皆と笑い、一緒に光へ向かって前進していたあの日々には……」


「少なくとも今は無理だ」


「そう、ですか……」


「ただ」


 明虎は、魔除けを補充しに現れたシムルをむんずとつかんだ。


「ひゃわあっ!! って明虎さん!?」


「これまでと同じく、彼が自力で(・・・)成長する分には無問題といえる」

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