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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十四章 幸せの表現法 ~自分のためは、世界のためで~
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第271話 ちゃっかり

 ヴェリスや陽だまりの風の素性すじょう、魔除けの頒布がおこなわれた経緯いきさつなど、一般の人たちがイマイチに落ちていなかった部分が次々と判明してゆくことで、青空会見は大いに盛り上がった。


 その後もしばらく続いたこのイベントであったが――ヴェリスはフルーカの差し入れを買わねばならないため、そろそろ終わりたいむねをソティラに耳打ちした。ウィンクでOKと答えた彼女がめに入る。


「えー名残なごり惜しいところではございますが! もうすぐお昼時ですし、なにぶんヴェリスさんもご多忙な身の上ですから……ここいらでほん会見かいけんはお開きとさせていただきたいと思います! ふるってのご参加、誠にありがとうございました~!」


「ちぇー、もう終わりかぁ……楽しかったのに残念だ~」


「でも得るものが多いゲリラライブだったよな。よーし、さっそく他の町のやつにも色々と教えてやりに行こうぜ!」


「ヴェリスちゃ~ん! これからもがんばってね~!」


「"家族"のほうにも応援してるって伝えてくれよ~!」


 予想に反して、ブーイングどころか声援に包まれる会場。彼らの高いモラリティにソティラはほっと胸を撫で下ろした。これでヴェリスに対する誤解はおおむね解けたといえよう。見切り発車ではあったが、一肌ひとはだ脱いだ甲斐かいがあるというものだ。彼女は満足そうに空を見上げた。


 そしてあたたかな解散ムードがただようなか。

 ヴェリスは最後にお礼を言って頭を下げる。


「みなさん、わたしのお話を聞いてくれてありがとうございました。……あ、そういえば。魔除けの制作が終わったあとも、陽だまりの風は色んなことに挑戦していくよ! わたしは"魂の鑑定"をやるつもりなので、興味があるひとはぜひ利用してください」


「魂の鑑定……? お嬢ちゃん、そいつは一体どういう活動なんだい?」


 質問者から回収したマイクを使って、おじさんが問いかけてくる。


「んとね。何か悩みごとがある場合は、その原因と解決策を調べたり……あとは本人が気づいてない"いいところ"とか、しょうに合った生き方とかも見つけられるよ。そういうのをわたしなりの言葉でお伝えしたあと、手紙にまとめてプレゼントするって感じの活動かなあ」


「………え、めっちゃいいじゃんそれ」


 おじさんがぽつりと本音を吐露とろすると、周りからも「最高!」「ぜひ利用したいわ!」「楽しみだ~~!」などなど、好意的な意見が飛び交う。こうしてちゃっかり宣伝まで成功させたヴェリスは「よろしくね」とにっこり笑って皆に手を振ると、たちだいから降りてソティラにも感謝を述べた。


「今日はありがと。あとでちゃんとお礼したいから、よかったら夜ここに来て」


「これは……座標?」


「うん、今わたしが住んでるところなの。おじさんにも伝えてあげてね」


 そう言い残し、彼女は幸せそうな顔で"もちゃっこ茶屋"の方角へ消えていった。

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