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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十四章 幸せの表現法 ~自分のためは、世界のためで~
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第268話 会見

(あわ、あわわ)


 気がつくと町人たちがひざまずき、こちらに向かって礼拝れいはいしている。ヴェリスはその異様な光景にたじろぐばかりだったが、ふと見たことのある顔が目に飛び込んできて我に返った。横に広いお腹とオーバーオールの服、ハーフヘルメットのようなかぶとをかぶっている御仁ごじん。あれはかつて、シムルが闘技場で優勝した際チップを贈ってくれた人だ。


「あっ、そこのおじさん!」


「へ、へいっ!? 自分でございやすか!?」


 「ちょっとごめん」と人混みをかき分け、おじさんの目の前まで至る彼女。すると他の者たちは皆、なんだなんだと二人の関係性に注目した。


「おじさんならわかるよね? わたし、シムルの友達で家族のヴェリスだよ」


「! としも雰囲気もだいぶ変わっているし、まさかそんなはずねぇと思っていたが……あんたやっぱり、あんときの嬢ちゃんなのか?」


「ん! ……あのね。わたし、このとおり、ただのわたしなの。神様じゃないし、お祈りされるような存在でもない。だから……お願い。みんなに顔を上げてもらうよう、説得してくれないかな」


 切なげな笑顔でそう懇願こんがんするヴェリス。

 おじさんは数秒打ち震えたあと叫んだ。


「……う、う、うぉおぉぉおお!! いいかいあんたら! この子はよぉ、前にアラギの闘技場で最高の試合を見せてくれたレジェンドの一人、ヴェリスってお嬢ちゃんなのよ! 彼女は俺たちと同じ"人間"だぜ!? どうやら勘違かんちがいされてすっげぇ困ってるみたいだから、とりあえずあがめてる奴はすぐにやめてくんな!」


 よく通る彼の声が、辺り一帯に木霊こだまする。そしてにわかに騒然となる現場であったが――この事態の収拾しゅうしゅうは、まるで想定していなかった方向からつけられる運びとなった。


「はいはい~、只今より青空会見(かいけん)を開催しますよ~! 色々聞きたいことがあるって人は、挙手してヴェリスさんに直接質問してくださいね~」


 そう言って、広場を囲うように一瞬で大量の椅子やレジャーシート、座布団などをインベントリから出し、即席の会場設営をおこなう女性プレイヤーが一人。その背筋のよい美しきたたずまいと、トレードマークのはちまきにヴェリスは見覚えがあった。彼女とは以前、決勝戦で手合わせした記憶がある。名前は確か――。


「…………ソティラ!」


「えっへへ、覚えててくれるなんてお姉さん嬉しいな♪ ……さ、ヴェリスさん。わたしとこのおじさんが全面的にサポートするから、答えられる範囲でみなさんの質問に応じてあげて」


「それはいいけど……なんで会見?」


「こういうのはね、うわさに尾ひれがつく前に、こちらから堂々と情報を開示しちゃうのが手っ取り早いの! まあ個人的にも、あなたがどういう経緯いきさつで"お告げの神様"とまでうたわれる美女に成長したのか興味があるし……特等席で聞かせてもらおうかな。はいこれ」


 マイクを手渡されたヴェリスは、きょとんとした面持ちで御立おたちだいに上がった。

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