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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第253話 代行

『ヨッちゃん……みんな……!』


 いつもと変わらぬ表情で、とても嬉しそうに返事をするウー。しかし当然、お得意の変化(へんげ)や、皆の周りを生き生きと旋回せんかいする仕草しぐさは見られない。少しの間をおいて、彼はいくらかトーンダウンした声で言う。


『どうやってこんなところまで来たのかはわからないけど、またみんなと話せて嬉しいよ! 会いに来てくれて……本当にありがとう! でもね、吾輩わがはいはいま星魂せいこんの一部になっている関係で、ここを動けなくて――』


「『帰ることができないんだ』ってか」


『! ヨッちゃんたち、もしかして知った上で……?』


「んにゃ、一ミリも知らねーぜ? そんな辛気しんきくさい事情はよ」


 いまいち話が見えず、ウーは顔をかたむけて疑問符と三点リーダを浮かべる。すると一歩いっぽ前に出た佳果は、自信たっぷりに宣言をおこなった。


「俺たちはお前を"転生"させにきた。……つまりあれだ。お前に帰る気があろうとなかろうと、勝手に連れ戻してやるつもりだから覚悟しとけっつう話さ」


『て、転生!? でもそんな離れわざ主様ぬしさまにだってできないのに……!』


「まあ実際のところ、細かい部分は他力本願になっちまうんだけどな。明虎、さっき"仕上げ"って言ってたからには、この場でなんとかできる算段が整ってるってことだろ?」


左様さよう手始てはじめに、まず精霊殿のカルマとグナ。その認識と把握を済ませてもらいましょう。……《オクリアクト》」


 明虎が固有スキル名を唱えると、彼の手先から黒の勾玉まがたまのようなものが大量に放出され、ウーの魂に溶け込んでゆく。伴って、彼のそばにごく少量の黒いガス――カルマの片鱗が生じた。そしてそれはまもなく球体へと変化し、まるで魔境における魔珠ましゅのような様相をていする。


「ゾグ、反転(・・)を」


《ほいきた》


 明虎の合図あいずで、横に牛頭ごず天王てんのうのゾグがボフンと現れる。彼はたずさえていた杖をかざし、オクリアクトに干渉した。徐々に黒から白へと変化した勾玉は案の定、今度は愛珠(あいしゅ)のようなものを生成する。


「ほう、さすがに精霊ともなるとコントラストが高いねぇ。グナの輝きに比べて、カルマのくすみなど微々たるものだ」


《ちなみに吾のはもっと芸術的だぞ~?》


「……無駄口は結構。はやく旅をさせてやりたまえよ」


《ぐぬぬ、相変わらずつっけんどんな男だの》


 ゾグは二つの珠を、念動力で再びウーの魂へと戻した。刹那、Üの周りでゆっくりただよっていた粒子が高速回転し、まばゆく光り始める。


「! おい明虎、こりゃどういう状況だ?」


「精霊殿は現在、自らが前世でつむいだ因果の行方ゆくえ、およびそれによって積み上がったカルマとグナについて強制的に(・・・・)振り返りをおこなっている次第。さながら走馬灯そうまとうの旅のごとく」


(ふ、振り返り!? それって波來ならいさんとゾグさんだけで"代行"を成し遂げたってこと……? うーん、さっきのオクリアクトって固有スキルの詳細も気になるところだけど、そもそもこの人、なんでこんなに神仏しんぶつの協力を……)


 楓也があれこれとかんぐっているさなか。

 くるりと振り返ったゾグは、佳果に杖を突きつけた。


「な、なんだよ?」


《次は坊主ぼうずの番だ。"上"から聞いてるだろう? 転生に必要なエネルギーは、ソウルメイトであるおぬしのグナ。さあ、同時進行で済ませようぞ》


 彼の言葉に従い、明虎がこちらへ手を向ける。佳果は白の勾玉に包まれた。

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