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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第252話 見つけた

(ん! 今日はもうログインしてるみたいだな)


 早々に明虎あきとらの魂を発見したシムル。神気纏繞(てんじょう)は、どの次元で行使するかによって微妙に効果が変動する高等技術である。アスターソウルにおいては、どう次元じげんないに存在する全ての魂に向かって念話や瞬間移動が可能だ。彼は念話のほうを使い、現在会議(かいぎ)ちゅうむねを伝える。


『おはよう明虎さん。温泉で話してた件だけどさ。兄ちゃんは約束?どおり、昨日のうちに"とある真実"まで辿り着いたよ。今それについてみんなと話し合ってて』


『ふむ。昼過ぎまでは昏睡しているものと思いましたが、佳果くんはもうお目覚めですか』


『ああ、いま一緒にいる。でさ、実は――』


「説明は必要ありません」


 シムルの真後ろに、明虎が忽然と現れる。何度やられても慣れぬ不意打ちに、彼は椅子から飛びのいてヘンテコなポーズをとった。その光景に苦笑し、チャロが語りかける。


「来てくれましたか明虎。……聞けば、阿岸佳果に零気れいきを取り戻させようとしているらしいですね? 今回はその一環でウーさん救出の助け船を出してくれたそうですが……一体どういう風の吹き回しなのですか?」


「無論、布石ふせきだよ。真のエンディングとやらを見るための」


「!」


「……さて、時間がしい。さっそく仕上げといこうか」


 彼はフードを取ると、宇宙の瞳で天をあおいだ。そして先日、暗黒神と対峙たいじする直前にホウゲンが見せた技のごとく。神気で辺りを包み込むと、一時的に次元が切り替わった。


「こ、こいつぁ!?」


「きれい……」


 宇宙空間に投げ出された佳果やヴェリスの目に映っているのは、遠方えんぽうに浮かぶ地球と、その周りをおおうように流動しているきらきらとした粒子である。唐突な場の変化に他の面々もたいそう驚いているが、チャロだけは少し反応が違った。


(あれは……)


 そんな彼女をよそに、明虎が次の指示を出す。


「シムルくん。今ならば、輪郭りんかくを失っている粒子精霊の座標もわかるはず。捕捉したまえ」


「へっ!? あ、ああ……よくわかんないけど、とりあえずやってみるよ」


 先と同じ要領で神気纏繞をおこなう。すると流動体のはしっこに、親しみぶかい波動を感じた。あれは間違いなく――ウーの魂だ。


「! 見つけたぜ明虎さん!」


「よろしい。ではテレポーテーションで彼のもとへ。ひもづけは私がにないます」


「? ……おっけー」


 はてなを浮かべつつ、シムルは言われるがままワープを実行する。刹那、場にいる全員が同じ座標への転位に成功した。どうやら紐づけとは、グループ単位での瞬間移動を可能にする何らかの技術を表していた模様だ。


 そうして先ほど眺望ちょうぼうしていた粒子のすぐそばまでやってきた一同は、そこに見慣れた光景が広がっていることに気づく。


「あっ! あれ見てよ阿岸君!」


「ん? ……っ!!」


「まあ!」「わぁ~~、えへへっ!」


 ある地点を興奮気味に指さす楓也。そこに視線を向けた佳果は、一瞬(のど)にせり上がった感情を飲み込み、目頭を熱くしながらゆっくりと息を吐いた。アーリアと零子は手を取り合い、満面の笑みを浮かべている。


「……ヌハハ! 皆でむかえにきたぞい!」


「まったく……勝手に居なくなりおって。こやつらの光が、それを許すとでも思ったのか?」


 仁王におうちで豪快に笑うガウラに、両腕を組んで静かに目を閉じるノースト。その横では、ヴェリスとシムルがハイタッチして喜んでいる。


 ――地球を囲む粒子の一部分。その表面に、巨大なÜが剥き出しとなっていた。

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