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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第250話 活路

「ウーが救済可能な状況!?(じゃあ、もしかしてさっき俺に二択を突きつけたのは……!)」


 創造神のはからいを理解し、意地がわるいなどと悪態あくたいをついてしまったの己を恥じる佳果。考えてみれば、相手はすべての根源なのだ。こちらのペースに合わせているだけで、本当は何もかも見透かした上で対話に付き合ってくれているのかもしれない。


 そうした気づきを得て、彼が羞恥しゅうち礼賛らいさんを持て余しているさなか。

 岬季は冷静沈着に、念のため腑に落ちない点の追求をおこなった。


「……しかし創造神様。グナが規定の水準に達したとしても、ソウルメイト同士でなければ提供が叶わぬのでは……?」


《そこは心配ありません。ソウルメイトとはわば、"魂がきずなで結ばれた家族"のことです。……ふふ、佳果くんたち陽だまりの風とウーちゃんは既に、これまでの旅路でそういう関係をきずき上げてきておりますから》


「なるほど、そういうことでしたか」


「……なら、あとは俺たちの心がけ次第ってわけだ。振り返りの代行とかいうのは、どうやらこっちで探すべきものみたいだしよ」


 先刻、創造神は『方法さえ発見できれば』とえて答えをぼかしていた。つまりこれに関しても、やはり自由意志で打破せよという示唆しさなのであろう。そしてその裏には、底知れぬ慈愛の精神が発揮はっきされているに違いない。


(段々と誠神のやり方がわかってきた気がするぜ。ちょっと前までは、なんでそんなに遠回しなんだよって思うパターンも多かったが……ぜんぶ、"みんなを想うからこそ"だったんだな。かか、まるで夕鈴(あいつ)の生き様みたいじゃねぇか)


 彼女の笑顔を思い浮かべ、知らずらずのうちに受けていたおおいなる恩の数々を実感する佳果。――それらの善意にむくいるためにも、ここから先が正念場となる。彼が気を引き締め直していると、不意に創造神は言った。


《……さて、それではそろそろお開きといたしましょう。岬季さんの神気纏繞(てんじょう)も限界に近いようですし》


「ええ、御心みこころに感謝いたします。此度こたびは誠にありがとうございました」


「限界……? っておいおい、大丈夫かよ岬季さん」


「ああ、神気が尽きそうになっているだけさ。向こうへ戻ったらちと重い反動(・・)が来るだろうけど……あたしらの肉体は今、道場に安置されている。特に問題はないよ」


「! そうか。神気を使うと、あとで昏睡こんすい状態になっちまうんだったっけ」


《お二方ふたかたとも、本当にお疲れさまでした。今日はゆっくりお休みくださいね。……それと佳果くん。最後に二つほど、重要事項をお伝えさせていただきます》


(な、なんだ?)


《ひとつめは自己犠牲についてです。あなたは一足ひとあしさきに向き合いかたを見出みいだされましたが……陽だまりの風にはいまだ、その暗闇を祓いきれずにいる人が散見されます。どうか、あなたが照らしてあげてください》


「…………」


《ふたつめは、エピストロフ習得までに残された時間について。最初にチャロさんがあなたに伝えた一年というタイムリミットは、こと夕鈴さんを助ける場合において、エピストロフが有効にはたらく期限を表しています。現時点であれから約半年が経過しました。つまり最長でも、あと六ヶ月ほどの間にSS(10)へ到達する必要があるということです。くれぐれもお忘れなきよう》


「……わかったぜ。二つとも肝にめいじておくって伝えてくれ、岬季さん」


「あいよ」



 こうして創造神との掛け合いを終えた佳果と岬季の意識は、現実世界へと帰還した。依然として課題は山積さんせきしているものの、おかげでやるべきことは明白である。二人は心地よい疲労感に揺蕩たゆたいながらかろううじてマットをき終えると、その日は泥のように眠り込むのだった。

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