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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第246話 創造神

 天空を超え、小宇宙、ゆう輪郭りんかく、大宇宙をて、ついにすべての外側(・・・・・・)へと至った佳果と岬季みさきの意識。そこで待ち受けていたのは果たして、創造神と思われるどこまでも清浄しょうじょうで、灼然いやちこなる神霊しんれいであった。姿かたちはなく、もはや光を超えた何かとしか形容できないその存在を前に、二人は本懐ほんかいを遂げるべく対話を試みる。


「……いつぞやに一度だけ、御神おんかみのご神言(しんごん)たまわりたく、こちらへ参上したことがございました。そのせつは身のほどもわきまえず、散りぢりになってしまったわたくしめの魂を繋ぎ合わせてくださり……深く、深く感謝いたしております。私、名を――」


《ふふ、こんにちは岬季さん。遠路はるばるようこそいらっしゃいました。またお会いできて嬉しいです》


「!」


《今回は不足がなかったようで何よりでした。あれから、こうして語らう日を楽しみにしておりましたよ》


「お、おぉ……」


 創造神の言葉を聞き、何やら感涙にむせび始める岬季。文脈から察するに、かつて自らの危機を救われた経験があるようだ。彼女がオリジナルの"見えない神符"を構築できたのは、その時に結ばれたえんによるものなのかもしれない。


《佳果くんもすっかり大人になりましたね。……太陽神(スーリャ)さんにあなたを見出みいだしていただいて、本当によかったです》


「!? ――」 


 驚いて声を上げようとする佳果。しかし神気廻心(えしん)は受信専用のため、送信はできない。創造神は申し訳なさそうに、そしてほがらかに言った。


《ごめんなさい。本当はあなたともゆっくりお話しをしたいのですけれど……それは機がじゅくすその時まで、とっておくとしましょう。暗黒神が退しりぞいた今、陽だまりの風は自由に世界を吹き抜けることができます。そう遠くない未来で、みなさんとの邂逅かいこうをお待ちしております》


「――」 


 どうやら創造神は、その名にたがわず森羅万象の淵源えんげんに在るらしい。もはやこちらの事情について、細かく問答する必要はないのかもしれない。岬季は恐る恐る確認をおこなった。


「……創造神様。もしや、私どもの目的はご存知で……?」


《はい。黒龍クルシェさんの眷属けんぞく――粒子精霊ウーちゃんの、輪廻りんね転生をご所望しょもうですね?》


 岬季は佳果に意識を向け、「間違いないかい?」とうったえかけた。彼は「おう」と力強く返事する。現在(たが)いに身体を失っている状態ではあるのだが、この二人においては通話のごとく意思疎通(そつう)が可能だ。岬季は「仰せのとおりでございます」と肯定した上で、さらに続けた。


「我々は、如何いかようにすべきでしょうか」


《……転生とは魂の循環じゅんかんです。それは自由意志を獲得したのち螺旋らせんを描きながら唯一ゆいいつせいを目指す円環えんかんとなり、やがては光とまじわって愛をはぐくみます》


「ふむ……」


《そのことわりは、いかなる存在にもじ曲げることはできません。……それでも"ウーちゃんにもう一度会いたい"とおっしゃるなら、佳果くんにお聞かせ願いたいことがあります》


「?」


《ウーちゃんを救えば、夕鈴ゆうりさんとはもう会えなくなる。それでも……あなたの想いに変わりはありませんか?》


「!!」


 予想だにしない究極の二択にたく。にわかに張り詰めた佳果の意識に、岬季は静かな口調くちょうで言った。


「坊や、心の声に従って答えを出してみな。あたしはそれをそのまま、創造神様に伝えるから」


「……はぁ、んなの決まってるじゃねぇか。俺にどちらか一方いっぽうを選ぶなんて真似まねはできねぇ。そういう話になっちまうってんなら……俺たちはあくまで、両方が助かる方法を自力で見つけ出してやるまでさ。チャロのときみてぇによ!」


「……あっはっは! なんだい、どうやら杞憂きゆうだったようだね」


 岬季が彼の心を一言いちごん一句いっく、正確に創造神へ伝える。

 するとの神は意外な返答をした。


《なるほど、素晴らしいお考えです。ではその"両方が助かる方法"に――あなた自身の魂をささげるという選択肢があるとしたら、どうされますか?》

お読みいただき、ありがとうございます!

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