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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第243話 ベテラン

「は……ばっちゃん、零子さんの師匠ししょうなのかよっ!?」


「こら坊や。なんで零子はさん付けであたしは年寄り扱いなんだい。同じように岬季みさきさんとお呼び」


 くいっとサングラスを頭に上げ、ギロリとこちらをにらむ岬季。これは怒らせたらまずいパターンだと直感した佳果は、「わ、わかった。すまねぇ岬季さん……」と萎縮いしゅくしつつ謝罪した。二人の問答に、小鉄はあきれ顔でゆっくりと首を横に振っている。


「あっはっは! 素直に謝れる男は嫌いじゃないよ。……とまあそれはさておきだ。ここへ来る途中で霊視れいしさせてもらった結果、坊やの記憶のなかに零子に関する情景がたくさん浮かび上がった。あんたたち、いま志を共にしているんだろう?」


「あ、ああ……(俺たちの関係を見透かしたのは、その霊視ってやつの効力か。すげーなこのばっちゃん)」


「やっぱりね。……問題はそこからさ。物のついでにあの子をようとしたら、どういうわけか捕捉ほそくができないときた。現状から考えられる理由はひとつ。事情はどうあれ、零子の意識はいま別の次元にいる――違うかい?」


「! そんなことまでわかるのか!」


「ベテラン霊能者をナメちゃいけないよ。……で、特段とくだん霊感の高くない坊やが"精霊の転生"、"創造神"なんて普通じゃ知り得ないような高次の話を持ちかけてきたことも踏まえて、改めてたずねさせてもらうけどね。あんたたち、何をやっている(・・・・・・・)?」


 つよい眼力で射竦いすくめる彼女に、佳果はまっすぐ答えた。


「……そいつを話すにゃ、『アスターソウル』っつうゲームを語る必要がある」


「ゲームだって? ……そういえばあの子も昔、そんな名前を口にしていたような……あたしゃ機械に興味ないからよく知らないんだが、いったいなんなんだいそれは?」


「説明する。じっちゃんも聞いててくれ」


「うむ」



 佳果は掻いつまんで、これまでの経緯いきさつを二人に話した。彼の言葉を静かに聞き届けた老夫婦は互いに顔を見合わせると、深くうなずいた。


「これは思っていたよりもはるかに重要案件みたいだねぇ。地球――ひいてはこの宇宙全体にとっての」


「ああ。俺たちも全面的に協力すべきだろう」


「……というわけで坊や。今日から最優先で、あんたたちの旅路を支援させてもらうよ」


「マジか!? ははっ、じっちゃんたちが手伝ってくれるなら百人力だぜ!」


「ま、大船に乗ったつもりでいるといい。……しかし小鉄(あんた)には取り急ぎやってもらわなければならないことができた。今すぐ海外渡航(とこう)支度したくをしてきな」


「また急な申し付けを……が、相分かった。佳果よ、久しぶりに話ができて楽しかったぞ。いずれまたまみえるとしよう」


「お、おう……?」


 小さく手を上げ、去りゆく小鉄を見送る佳果。残った岬季は道場のはしから座布団を二枚持ってきて、自分と佳果のほうへポイっと敷いた。


「ケツ痛いだろ。そこ座っとき」


「サンキュー」


「それで、アスターソウルってのは何次元にある世界だって?」


「チャロ――俺の仲間が言うには、4.5次元にある特殊な領域らしいぜ」


「4.5か……ま、なんとかなるだろう。ちょいと行ってくるから、坊やは瞑想めいそうでもして待っててくれるかい」


「? 岬季さん、そりゃどういう……」


 咄嗟とっさに問いかける佳果。しかし彼女はすでに意識を失ってしまったらしく、座ったまま項垂うなだれ、ピクリとも動かなくなった。


(お、おいおい……まさかとは思うが、デバイス無しでログインしようとしてんのか!?)

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