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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第242話 一番弟子

 小鉄こてつの話をまとめると、どうやら"神気纏繞(てんじょう)"を使える彼のつまが佳果の代弁だいべんしゃとなり、また神との相談役もねてくれるらしい。そしてあらかじめ"神気廻心(えしん)"を修めておくことで、佳果がその対話の様子を傍観ぼうかんできる状況をつくりだす算段があったようだ。


「なるほど……じっちゃんも奥さんも、マジでサンキューな! んで、肝心の神気廻心はどうやればいいんだ?」


「まずはこの神符を両手で挟み込むように合掌する。……やってみなさい」


「ぶっつけ本番か。うし、こうだな」


 手を合わせた瞬間、佳果は内外の神気が混ざり合うような感覚をおぼえた。同時に身体のしんがぽかぽかと温まり、頭はすっきり冴えわたって、自分という個が世界全体と融和している――そんな確信が心のなかに芽生え始める。この無我の前兆のような感覚を、彼はよく知っていた。


(……これ、やっぱあんときと同じ……!)


「佳果よ、そこからが難しいのだ。俺たち人間はみな生命エネルギーというものをまとっているのだが、目には見えぬそれを、感覚だけを頼りにして――」


均一化(・・・)を図る……それが神気廻心ってことだろ? じっちゃん」


「! お前、まさか」


 零子と魔神を封じた際、直感的におこなった生命エネルギーの操作。それはかつてフルーカから教わった超感覚の制御法、すなわち奥義(ゾーン)の先にある境地へ至る過程で見出みいだした、既に会得えとく済みの技術だった。成功のあかしとして、彼の周囲がうっすらと輝きはじめる。小鉄は驚いたように口元をほころばせた。


「……ふふ、いったい誰の指南しなんだ?」


「とあるカッケェばあさんからちょっとな。ま、元をただせば変人のおっさんが編み出したっつう技術をかじったんだが……ちなみに初めてやったときも一発成功だったぜ? 俺も、俺の大切な仲間もよ」


 ククと得意げに笑う佳果を見て、小鉄は満足そうに目を細める。


(……まったく、よい顔をするようになったじゃないか。孤独に打ちひしがれていた頃のお前は、もう居ないのだな。……男子三日会わざればとはよく言ったものだ)



 その後、小一時間ほどが経過して。土産みやげばなしに花を咲かせる師弟していの元へ、サングラスをかけた白髪の女性が現れた。ジャージ姿の彼女は後ろでたばねた髪を上下に揺らしながら二人に歩み寄り、開口一番でこう言った。


「遅くなってすまないねぇ。改めて、あたしが雨知あまち岬季みさき――そこの老木の伴侶はんりょだよ。ま、居候いそうろうしていた間に何度か顔は見てるだろうし、別に今さらどうでもいいか」


「お、おう(だいたい留守るすだったし、直接話すのはこれが初めてだな……しかし相変わらず、よくわからねぇバイタリティに溢れてるぜ……)」


「さて、さっそく本題だ。あんた精霊を転生させるために上位誠神と掛け合いたいって言ってたけど、相手は創造神(・・・)で間違いないかい?」


「! ……ああ、そのとおりだ」


「となると……あたし一人の霊力じゃ少々厳しいかもしれないね。やはりあの子も駆り出さないと」


「あの子?」


「坊やもよく知っているだろう? 和迩わに零子――あたしの一番弟子のことさ」

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