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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
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第241話 廻心

「神気、廻心えしん……?」


 何やら仰々(ぎょうぎょう)しい名称に佳果は面食らった。加えて、免許皆伝(かいでん)の際に会得した奥義(ゾーン)以外にも、まだそのような技術が秘匿ひとくされていたという事実に困惑する。


「じっちゃん、俺がここを出ていった時は『もうお前に教えることはない』って言ってたじゃねーか」


「あの時はな。だが今は違う」


「?」


「お前は今日、己の自由意志をって神への接触を求め、この道場に戻ってきた。……察するに、ここまで多くの導きがあったのだろう。言わずともわかる――お前の神気は、既に顕在化(・・・)しているはずだ」


「!」


 小鉄こてつの指摘にたがわず、今の佳果はアスターソウルでの旅を経て、みずからの魂に宿っていた太陽神(スーリャ)のエネルギーを顕在化し、活用できる状態になっている。しかしそれとひもづいていた"太陽の雫"はいつも受動的に発動するばかりで、能動的に神気をつかった実感があるのは現状、零子たちと魔神にあらがった熊本での一幕ひとまくだけである。


「……なあ、神気ってのは結局なんなんだ? 確かに、そういうエネルギーが俺んなかにあるのは間違いねぇ。でも正直いうと、まだちゃんと理解できてなくてよ」


「よろしい。では秘技を伝授する前に、そこをつまびらかにしておくとしよう」


 ――いわく、人間の魂には必ず所縁ゆかりの深い神が存在し、現世に生まれる際は、その神から愛のエネルギーを分けてもらえるそうだ。この光を神気と呼ぶ。


 しかしその一方いっぽう、魂の構成要素には奥魔おうまと称される魔のエネルギーも混じっており、大半の人間は愛の光よりも、こちらの闇が強く感情に作用する関係で、我欲がよくの制御が難航なんこうし、神気はおおい隠されてしまうことが多いのだとか。


(……似たような話をウーやチャロもしてたな)


「また、我欲をある程度コントロールできるようになった魂であっても、神が"必要なし"と判断すれば顕在化は起こらない。この場合、その者は霊的、非科学的な情報と縁遠えんどおくなり、たとえ触れる機会がおとずれても特に関心を示さず、ごく普通の人生を送ることとなる。因果がそう帰結するように巡るからだ」


「因果って……やっぱスケールでけぇなこの手の話は。……んで、つまり自主的に神への接触を求めてここへ来た俺なら、顕在化してないはずがねぇって道理か」


左様さよう。そして――顕在化した魂でなければおさめられぬ秘技。それが神気廻心だ」


 小鉄によると、の技は自己の内側にある神気を、神符しんぷなど外側にある神気と同調させることで、大元おおもと鎮座ちんざしている5次元領域の神と意識を合わせられる、という効果を持つらしい。


「意識を合わせれば、神の声を聞いたり、条件にもよるが利益りやくあずかるケースもある。ただしこちら側から意見や質問を投げかけるのは不可能、一方的にちからたまわるだけにとどまる」


「え? んじゃあ働きかけること自体はできても、あれこれ相談するのは無理なのかよ?」


「うむ。意思の疎通そつうをおこなうには別途、『しんてんじょう』というさらなる秘技が必要になるからな」


(!? それって確か、シムルが使えるようになったっつう、あの……!)


「が、そっちは生まれついての強力な霊感(・・・・・)が必須。残念ながら、俺にもお前にもその才能はない。いくら修行したとしても、絶対に会得えとくすることはできないだろう」


「なっ……!? なら一体どうすりゃ……」


「そのために今、家内かないがこちらへ向かっているというわけだ。……あれは神気纏繞を行使できる」


 小鉄は口ひげを触り、ニヤリと笑った。

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