表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
248/356

第240話 僥倖

 佳果は心のなかで、事の次第しだい端的たんてきに念じた。そして先刻のごとく「仲間(ウー)を助けるために神へ掛け合いたい」という本懐を述べ、締めくくる。


(――大筋おおすじはこんな感じだな。うまく伝えられたのか、あんまり自信ねぇけど……どうか俺に力を貸してほしい。このとおりだ、よろしくたのむ)


 合掌がっしょうしながら一礼し、ゆっくりと目を開けてみる。するとロウソクの火がつうと縦に長く伸び、ほんの数秒間、20センチほどの小さな火柱ひばしらを形成した。しかし次の瞬間、どこからともなく吹きつけた強風によって、ふっとき消えてしまう。


「な、なんだぁ……!?」


 思わず独りで驚きの声を上げ、密室を見渡す佳果。これまでの旅路たびじで散々不思議なことを体験してきた彼ではあるが、相手あいてかたとの疎通そつうはかれぬ状態で怪奇現象をの当たりにしたのは今回が初めてだった。現実世界の、それも住み慣れた古巣ふるすでこのような出来事に遭遇そうぐうするとは夢にも思っていなかった佳果は、呆気あっけにとられつつも、火の消えたロウソクと向き合って冷静に状況を分析ぶんせきする。


(……そういや以前、楓也と黒龍(クルシェ)が"全ての次元は繋がってる"的な話をしてたような。ともすりゃ、今のが神のリアクションだった場合……それって僥倖ぎょうこうなんじゃねーか? ムンディのいう"灯台とうだい下暗もとくらし"ってやつのしんぴょうせいが、俄然(がぜん)増してくるわけだしよ!)


 誠神に働きかけられる存在が唯一、現実世界の人間であるという盲点もうてん。依然として具体的な方法は見えてこないものの、今しがたの現象は否応いやおうなしに次元の繋がりを感じさせ、眉唾まゆつばであったムンディのげん確度かくどを押し上げた。


 にわかに前向きな手応てごたえを感じ、彼はこぶしをぎゅっとにぎりしめる。そうして希望を胸にいだきながら立ち上がり、祭壇のをあとにした。



 道場へ移動すると、中央で正座している小鉄こてつの背中が見える。


「おーいじっちゃん、終わったぜ」


「……そのようだな」


「?」


 どこか含みのある言い方に首をかしげる佳果。そばまで行くと、小鉄は旧型の携帯電話を彼に見せた。画面には「すぐ戻るから、坊やにアレ教えといて」という内容のメールが表示されている。しかし件名にRe:の文字はなく、送信者の欄も空白だ。


「これ……ひょっとしていま奥さんから送られてきたのか?」


「ああ。家内かないは携帯など持っていないんだが……俺も毎度、驚かされるばかりだ」


「……」


 どうやらとんでもない人物がこちらへ向かっているらしい。ところで、文面にある"アレ"とは何を意味しているのだろうか。佳果がそう質問すると、小鉄はふところから一枚のふだを取り出した。


「――今からこの神符しんぷもちいて、お前に『しんしん』と呼ばれる秘技をさずける」

諸事情により今日は少し短めです。


※お読みいただき、ありがとうございます!

 もし続きを読んでみようかなと思いましたら

 ブックマーク、または下の★マークを1つでも

 押していただけますとたいへん励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ