表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十三章 献身の美醜 ~それぞれにできること~
246/356

第238話 灯台下暗し

《精霊の転生ねえ》


 門をくぐって次元のはざまに至った二人。弾力のある白い煙の床に座りながら、佳果はノーストとムンディにみずからの目的について詳しく話した。上位誠神(せいしん)に接触しなければウーを助けられる見込みが立たないこと。その足掛かりを得るために、魔神である彼を頼りにここまでやって来たこと。包み隠さず、全てを告白する。


「つーわけでさ。ムンディ、なんとかならねーか?」


「……魔神よ。うぬは以前、"法廷"なる転生(がら)みの仕事に関わっていると明かしていたはずだ。よもや何の情報も持っていないとは言わぬだろうな?」


《そうにらむなって。……まあ、別に隠蔽いんぺいする必要もないしな。結論から言うと、俺様のちからやツテで、転生うんぬんに介入するのはまず不可能だ。残念ながら》


「! そんな……」


《さらに言えば、上位誠神である太陽神――スーリャや、ウー(あいつ)つかえていた黒龍クルシェ、夕鈴ゆうりガールを守護していたまがかみのホウゲンであっても、生まれ変わりにまつわるシステムには手出しできない。なぜなら担当がもっと()だからだ》


 ムンディによると、魔神界隈(かいわい)と同じく、誠神も神格しんかくによって出身の次元、およびちからを発揮はっきできる分野や管轄かんかつが異なるらしい。クルシェとホウゲンは5次元、スーリャは6次元の誠神に当たるという。つまり、輪廻りんね転生をつかさどっているのは。


「7次元……あの暗黒神とかいう黒幕くろまくと、同じレベルの誠神ってことかよ」


《ああ。通称つうしょう、創造神と呼ばれる存在でな。雲の上すぎて正直、俺様たちもあまり詳しい事情は知らない》


「……ちなみに、うぬは何次元の魔神なのだ?」


《俺様は6に限りなく近い5次元ってとこか。これでも昔に比べりゃ、だいぶ出世しゅっせしたほうなんだぜ》


「昔だぁ? ……そういやお前って、どういう経緯いきさつで魔神になったんだ? つか、よく考えると誠神側との関係も謎だよな。やたらフランクに接してたけどよ」


《クク、そのへんはいつか機会があったら教えてやる。それより今は、ウーを助ける方法が知りたいんだろ?》


 胡座あぐらいていたムンディがゆっくりと立ち上がる。

 不敵に笑う彼を見て、ノーストはため息をついた。


「何を言っている。たった今、そんな方法は無いとわれらに現実を突きつけたのはうぬではないか」


《いいや。俺様たちに介入はできないとは言ったが、"他の切り口がない"とは言ってないぞ》


「!? ムンディ、そいつは一体……」


灯台とうだいもとくらしってやつだ。全世界、全次元のなかで唯一ゆいいつ、誠神に働きかけることのできる存在がいる。それは――あんたら現実世界の人間(・・・・・・・)だよ》


 そう言い放ち、黒の空間に現実世界のビジョンを投影するムンディ。

 そこにはかつて、佳果が散々世話になった場所が映し出されていた。


「こりゃあ……じっちゃんの道場じゃねーか!?」

お読みいただき、ありがとうございます!

もし続きを読んでみようかなと思いましたら

ブックマーク、または下の★マークを1つでも

押していただけますとたいへん励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ