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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十二章 愛の因果律 ~掴みかけた夢~
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第207話 仮説

「あっぶね!」


 光線をギリギリでかわした佳果は、再び培養液に満たされ、復活をげるアパダムーラの様子を視界のはしにとらえた。あれが、天使の報告にあったという再生能力なのだろう。面や(コア)の割れは完全に治っている。


全快ぜんかいしてやがんのか……まずいな。これでもし仮説(・・)のほうも当たっちまっていた場合――いや、まだそうと決まったわけじゃねぇ。集中集中!)


 湧き起こった懸念けねん払拭ふっしょくし、周りを確認する佳果。幸い、今の光線による被害は出ていないようだ。ならばここは引き続き、情報収集あるのみ。


「依然として奴の動きは(にぶ)い! そしてわれは"超硬化"だけでも迎撃げいげきしのげるとわかった! ただちに二度目の速攻を仕掛けるゆえ、バリアの残っている者は続け!」


 パリヴィクシャの指揮しきで、先ほどと全く同じ流れが生じる。今回は佳果とアーリアも、それにじょうじてふところへと飛び込んでいった。ところが――。


「む!?」


 稲妻やエネルギー弾による牽制けんせいの衝撃に、一度目には感じなかった重さを感じるパリヴィクシャ。それでもなんとか本体の六角柱に辿り着いた彼は、面に向かって新しい槍を突き立てるも、その強度きょうどに攻撃がはじかれ、(コア)まで届かずに終わる。


(これは……!! 先刻より、奴の能力が上昇している!?)


「くそ、そんなのありかよ!」


 後ろから追撃ついげきに来た佳果は、えている大砲を次々と破壊しつつ、パリヴィクシャを抱えて離脱した。他の魔物たちについても、シムルが瞬間移動で元の位置へと戻してゆく。さなか、アーリアは"ノックバック"の効果がある蹴りを繰り出し、強制的に敵を後方へと押しやって距離を稼いだ。これらの機転により、一同は反撃をらうことなく、態勢を立て直すための時間を得た。


「おい佳果(にんげん)、あれはまさか……」


「ああ、今の攻防で確信したぜ。あいつは倒すたび、強くなって復活しやがる」


「なっ……!」


「最悪だね。これで、あの魔獣を討伐とうばつできる可能性はほとんどなくなった」


 楓也の言うとおり、たとえ数や戦術で相手を凌駕りょうがしようとも、蘇生そせい自体を止めるすべがなく、あまつさえ成長されてしまうようでは手がつけられない。できるのはせいぜい、町に被害が拡大しないよう足止めに専念することくらいであろう。しかし長期戦になるほど、ジリ貧に追い込まれるのも必至ひっしである。


チャロ(アイ)ちゃん、ウーちゃん。何か良い手はございませんでしょうか?」


 蹴りの反動を使って後方宙返りをし、着地したアーリアが両名にたずねた。ウーは真面目なトーンで答える。


「……方法がないわけじゃないよ。たとえば封印ふういんとか無明むみょう荒野こうやに飛ばすとか、そういうやり方もある。でも……」


「それはつまり、アパダムーラにとらわれている夕鈴ゆうり、またはトレチェイスさんの魂をあきらめるのと同義になります」


「!」


 チャロの言葉に顔をくもらせるパリヴィクシャ。その反応を見てガウラは思った。魔境の集落で話したときは"出来できの悪い"などとそっけない言いぐさをしていたが――この表情は、弟を大切に思っていることの証左しょうさに違いあるまい。佳果もすぐにそれを看破かんぱし、彼の気持ちを痛いほどに理解する。夕鈴しかり、人質ひとじちを取られている以上、選択肢はひとつしかない。


「……別の方法を探すぞ。きっと何かあるはずだ。ムンディも黒龍と打開策を用意するって言ってたんだろ? だから今はとにかく、持久じきゅうせんに持ち込んで時間を――」


「カイセキ カンリョウ シマシタ」


 突如、無機質むきしつな声が辺りに反響した。嫌な予感がして音のほうを見遣みやると、そこには先ほどまでとは比べ物にならないほど、多種多様な重火器をまとったアパダムーラの姿があった。


「センメツ カイシ シマス」

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