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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十二章 愛の因果律 ~掴みかけた夢~
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第204話 どちらの

《……まいったな》


 "門"の前にて、念話によるウーの報告を聞いたムンディが頭蓋骨をいている。

 ――本日未明(みめい)、はざまを守護する精霊()がらすと天使らが魔獣たちの足止めに失敗した。相手は異常なまでの戦闘能力を有しているだけにとどまらず、未だ成長を続け、さらにその脅威度を上げているという。ウーは深刻な声色こわいろで続けた。


魔獣かれらのアスターソウル入りは、もう目前もくぜんに迫っている。こちらも最低限の策は用意したけど……予定より進行が早すぎて、正直かなりこころもとない状況だね』


《ま、当然そうなるよな……。クソ、俺様が動ければ"魔神ましんパワー"で多少なりとも戦局せんきょくを変えてやるのに》


 彼は現在、謀叛むほんさとられぬよう水面下で動いている。格上の力を持つ上司が絡む以上、おもてった干渉かんしょう消される(・・・・)リスクを高めるからだ。


《……今は我慢がまんせよムンディ。万一まんいち私たちが捕捉ほそくされた場合、万策ばんさく尽きるのは必至ひっし。ここで無明むみょう荒野こうやに飛ばされてしまっては、元も子もない》


わきまえてるよ。しかしいいのかクルシェ? このままだとあんた、眷属(ウー)が……》


 ムンディの隣で人型をかたどり、長い黒髪をなびかせる中性的な存在――クルシェと呼ばれた龍神は、彼の問いかけにまっすぐ答えた。


《今の私は黒龍こくりゅう、そして彼はこころざしともにする家族だ。我々は最後まで、この役割にじぬよう世界に尽力じんりょくするのみ》


《……ウーはそれで納得できるのか》


吾輩わがはい主様ぬしさまのおやくに立てるなら何でも本望ほんもうさ♪』


《……見上げた忠誠心なこった。けど、陽だまりの風はどうするんだよ》


『ヨッちゃんたちなら大丈夫! 彼らには太陽神様がついているわけだし』


《太陽神ねぇ。なあクルシェ、こんな劣勢れっせいであいつが勝てる見込みなんてあるのか?》


無論むろん。彼女は今や、上位誠神(せいしん)相応ふさわしい神格しんかく昇華しょうかしている。私やなんじのすべきは、その正道せいどうかげから切りひらき、支えること――昔とそう変わらない》


 柔らかく微笑ほほえむクルシェ。ムンディはつまらなそうに「あっそ」と言って、眼前がんぜんに広がる漆黒しっこくを見つめた。


(さて、一世一代の大勝負。……宇宙はどちらの意志を尊重そんちょうする?)



「マジかよ!?」


 同じくウーの報告を受け、あせりの表情を見せる佳果。昨日きのう諸々の準備に奔走ほんそうしていた陽だまりの風は、一晩休んでから再びラムスに集結し、追加の対抗策を練っている最中であった。残された時間は少ないことを知らされ、各々(おのおの)起きぬけの頭が一気に覚醒かくせいしてゆく。


「……まだ色々と不十分ですが、こうなってしまった以上はやむを得ません。皆様、配置につきましょう。実際に魔獣が出現するタイミングにつきましては、直前になればわたしが次元の揺らぎを感知してお伝えできるかと存じます。それまでは現場で待機――心の準備をしておいてください」


 チャロの言葉に、一同はかつてない緊張感に包まれながらうなずいた。

 決戦の時が、刻一刻と近づいている。

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