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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第十二章 愛の因果律 ~掴みかけた夢~
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第200話 協力

「ごめんなさい、二人とも。お話の途中でたいへん失礼しました」


 戻ってきたフルーカが申し訳なさそうに、あやまりながら席についた。サブリナはてきぱきと三人分の紅茶をれ、お菓子を添えて「どうぞ」とテーブルへ置く。


「ありがとう姉ちゃん!」


「これ、わたしが好きなやつ……!」


「はは、以前お越しいただいた際、お気に召したとうかがいましたゆえ。僭越せんえつながら同じものをご用意いたしました」


「サブリナはいつも気がくわね。……あら、でもあなたの分がないようだけど」


「いえ自分は……」


「そうだ、ならわたしが淹れてあげましょう。ちょっと待って――」


「わ、わかりました女王陛下! こちらでやりますから、どうかそのままで!」


 普段クールなサブリナも、フルーカの前では形無かたなしである。二人のほがらかな関係性に、シムルとヴェリスは顔を見合わせて笑った。



 程なくして、席についたサブリナをまじえ本題に入る一同。

 フルーカはシムルの懸念けねんを聞き、ふむとあごに手を当てた。


「"ひずみ"……シムル君、それは全部でどのくらい見つかったの?」


「んとね、五箇所あったよ。まずヴァルム方面に一つ、それと今(はな)した、このお城に近い場所に一つ。まあ一応どっちも僻地へきちではあるんだけど……他の三つと比べると人里ひとざととの距離が近くってさ」


 マップを出し、その危険性をくシムル。戦闘が始まったあと、魔獣がどのような動きをするかは正確に予測しがたい。万が一逃走(とうそう)された場合など、もし足止めに失敗すれば、町に被害が及ぶ可能性も考えられるのだ。


「もちろん、できるだけそうならないように頑張るつもりだ。でも予防線で、ヴァルムとアスター城下町には避難勧告を出しておいて、随時ずいじ誘導とかもおこなったほうがいいんじゃないかなって」


「……確かにそうするのが無難ぶなんね。サブリナ、頼めるかしら」


「はっ。全霊であたります」


「あとは……二体の魔獣が、同じひずみから出てくるとは限らないわね。もしそれぞれ違う地点で出現したときの対処方法も、今のうちに考えておかないと」


「それなら大丈夫だよ、おばあちゃん」


「? 何か妙案みょうあんでもあるの?」


「うん、シムルが瞬間移動を使えるようになったから。あらかじめ一人ずつ五箇所で待機しておいて、実際に魔獣が出てきた場所にいる人が、チャットでみんなに合図あいずを送るの。そしたらシムルの瞬間移動で、全員を集めて適正配置につける予定なんだ」


「! シムル殿、とうとう瞬間移動をモノにしたのですか!」


「ああ、明虎あきとらさんのおかげでね! といっても、おれのこれは愛の光がある存在じゃないと動かせないから、魔獣側を強制移動させるのは無理でさ。あくまでも作戦通りの陣形を組むところまでしか、役に立てそうになくて……」


「いえいえ、それでも十分なアドバンテージですよ! すごいですね!」


 興奮こうふん気味にたたえるサブリナに、シムルは気恥ずかしそうに頭をかいた。いっぽうフルーカは、明虎の名を聞いて考え込む。


(……そう、あの人が……彼は今、どこで何をしているのかしら? おそらく、またひとりであれこれ奔走ほんそうしているのでしょうが……)


「ちなみに二手に分かれた場合の配置だけど、片方はノーストさんと配下はいかの魔物たちが、もう片方はおれたちが担当するぜ。……出だしの戦略はこんな感じかなあ」


「なるほど、おおよそイメージはつかめました。では次に、戦術のほうを――」



 こうして、無事に王国との協力を取り付けたヴェリスとシムル。

 二人がラムスに戻る頃には、準備を始めて一日目の夜をむかえていた。


 ――その同時刻。

 ガウラは再び、ノーストとともにあの隠れ里に訪れている。目の前にいるのは、里長さとおさ賢者けんじゃという二足にそく草鞋わらじく、周治しゅうじ刻宗ときむねであった。


「お二方ふたかた昌弥まさやを送り届けてくれたこと、心より感謝いたす。して……此度こたびは何用か?」

とうとう200話です。

いつもお読みくださっているかた、本当にありがとうございます!

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