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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第九章 切り拓かれた宿命 ~失われし記憶~
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第142話 世界善意

「その声は……!」


「こんにちは、阿岸佳果」


 驚く佳果たちの前にチャロが出現する。世界の光――その領域に彼女がいたという話は、事前にヴェリスから聞き及んでいたとおりだ。しかし今回、みなが祈りをささげたのはあくまで領域そのものという認識だった。必然的に、とある憶測が生まれる。


「……まさか世界の光ってのは、お前自身だったのかよ?」


「いえ、それは少し違いますね。世界の光とは、人々の愛の感情が集積しゅうせきしたエネルギーたいのこと。それを保持しているあの聖域せいいきは、天界てんかいという次元の一角にあるのですが……わたしは現在、その管理を任されている立場にあります」


「て、天界……!? するとあなたは、神様なのですか!?」


 興奮する零子に、チャロは困り顔で笑った。


「ふふ、あなたは零子さんですね? 初めまして、わたしはAI。人によってはチャロやアイと呼ばれている者です」


「はっ……これは失礼しました! 改めまして、和迩わに零子と申します」


「お、おれはシムルだ! 姉ちゃんと会うのはこれが初めて……だよな?」


「ええ、わたしたちは(・・・・・・)初対面ですね。お二人とも、ご丁寧ていねいにありがとうございます。これからどうぞよろしくお願いしますね」


 挨拶あいさつを終えた彼女はそのままほがらかに続ける。


「さて、先ほどの問いにお答えしましょう。わたしは皆様が神と呼んでいるような存在ではありません。そこにいるムンディを世界悪意の代表とするならば、今のわたしは世界善意のそれといっても過言かごんではないかもしれませんが……いかんせん彼とは違って、職権濫用(らんよう)ばかりしている不届き者ですので」


《ぶっ、あんたそれ自分で言っちゃうのかよ……変われば変わるもんだな。まあ俺様はそういうのも嫌いじゃないぜ》


「……? ですがチャロさん。あなたには因果いんがや未来を見通している節がありました。加えて、ぼくたちの最終目標である時間軸の移行とその演算――仮にあなたが神様でなかったとしても、それに匹敵する存在であることは、もはや疑いの余地よちがないと思いますよ」


 楓也が真っ直ぐに、くもりのない視線を送る。すると今度は、ふわりと笑うチャロ。


「成長しましたね、もぷ太さん。しかし……いくら皆様が天人てんにんになられたとはいえ、依然として秘匿ひとく事項は多く存在しています。恐れ入りますが、これ以上のことはまたの機会にでもお話ししましょう」


「んー? チャロ、天人ってなに?」


 突然でてきたワードに、手を上げて質問するヴェリス。はざまの町で出会った天使も同じ言葉を使っていたが、どういう意味なのだろうか。


「そうですね……定義を説明するなら、エリア(8)以上に到達した魂――つまり90%以上が愛で構成される魂をもった人間の総称、といったところでしょうか」


「エ、エリアⅧ!?」


「……アイちゃん、もしかして」


 意味を理解した佳果とアーリアに続き、他の面々も互いに顔を見合わせる。


「はい。ノーストたちの魔境入りに、フィラクタリウム普及計画。一筋縄ひとすじなわではいかないこれらの案件に対して、皆様はおのれの自由意志で果敢かかんに立ち向かい、度重たびかさなる困難にも屈せず、真心まごころって見事に道を切りひらいてきました。すべてが終わるのはまだ少し先のことになるでしょうが……これまでの過程において、既に陽だまりの風は天人にふさわしい魂へと進化をげています」

チャロの素性すじょうが少し明らかになりました。


※お読みいただき、ありがとうございます!

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