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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第九章 切り拓かれた宿命 ~失われし記憶~
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第135話 二重セキュリティ

「なんとか乗り切れたな。お前が無事でよかったぜ」


「ありがとう、阿岸君もお疲れさま! はぁ~~緊張したなあ」


 残っていたお茶を飲み干しながら、佳果と楓也がねぎらい合っている。それを囲む陽だまりの風はみな安堵あんどの表情で彼らの健闘をたたえた。


 二人が世界悪意の浄化に成功した今、いよいよ主目的である魔境入りが差し迫っている。しかし高揚こうようする一同をよそに、ムンディは何の脈絡もなくゴルフの素振りのような動きを始めて言った。


《なかなかやるじゃんか。こうなりゃ、俺様が通せんぼする理由はない。……認めよう。あんたらにはあの門をくぐる資格がある》


「! ほんとですか!」


「やったな楓也! ……で、その動きはなんなんだ?」


《ん、こういうおっさんよくいるだろ。しかしスポーツって面白そうだよな。俺様は骨だから、筋トレとかできないのが悔しいぜ》


「……いったいどこから突っ込めば良いのでしょう」


「ほんと、ぞくっぽい魔神様だよなぁ」


 零子とシムルが苦笑する。和やかな雰囲気が戻ってきたところで、ヴェリスは嬉しそうにノーストの前へ立ち、ガッツポーズをしてみせた。


「ノースト、これで魔物みんなを守れるね」


「……ああ。うぬらのおかげだ」


 魔人である彼は、先ほど佳果たちが世界悪意と対峙していた様子の一部始終を見ていた。その結果、どんなに魔の汚染が進んでいようとも、失われない希望の光があるという前向きな真実を知ることとなった。


 自分たちを無償でここまで導いてくれた陽だまりの風。そんな彼らをノーストが同胞どうほうとして受け入れるのは、もはや当然の帰結だった。ヴェリスに微笑ほほえみ返す彼は、これまでで一番(おだ)やな雰囲気をまとっている。

 アーリアは目を細めると、ひとつ深呼吸してから改めてムンディに尋ねた。


「……ムンディさん。門の封印は、わたくしがじょうに触れることでけると聞きました。ですが、その後はどうしたら良いのでしょう? 先ほどの警告から察するに、むやみに開けるのは危険のようですが」


《あーそういえばまだ説明してなかったか。まず、あの門を開けると中から大量のガスが吹き出してくる。それは負の感情や瘴気とだいたい同じ性質のもので、一番近いやつから順番に汚染しようとするんだ。まあこれについては佳果ボーイが先頭に立っとけば、ひとまずたて代わりに使えるから大丈夫だろう》


「おい、なんか扱いがひでぇ気がするんだが」


《問題はそこからだ。開けてすぐにある玄関(・・)には結界が張られている。これは魔族や魔物だけじゃなく、愛の光がつよい人間も通さない仕様になっていてな。もちろん、そこのガキンチョ二人も例外じゃない》


「え、じゃあどうすりゃいいんだよ!?」


 またもや木偶でくぼうになるのかとシムルが焦っている。ヴェリスも不満そうだ。


《つまり中に入れるのは実質、調節のできる楓也ボーイだけだ。結界は内部から愛の光を当てれば崩壊するから、最初は魔を偽装して侵入、その後に光を戻せばいい》


「なるほど……先日同じようなことをする機会があったので、要領はわかっています。お任せください」


《まあせいぜいがんばれ。ちなみにその後、ガキンチョや姉ちゃんたちにもちゃーんと大事な仕事があるぞ。玄関に入ったら、さっきみたくお祈りしてみな》


「お祈り……? どなたに対してでしょうか?」


 疑問符を浮かべる零子。ムンディはヴェリスのほうを見つめて返答した。


《"世界の光"っていえばわかるだろ? あとはやってみてのお楽しみだ》

結界は誰が張ったのか。


※お読みいただき、ありがとうございます!

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