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魂が能力になるVRMMO『アスターソウル』で死んだ幼馴染と再会したらAIだった件  作者:
第八章 影のなかで ~救い、救われし関係~
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第113話 周波数

「あなたはどうやって私に念を飛ばしたのか、今一度よく考えてみてください」


「え? そりゃ……えないものが感覚でつかめてる状態なら、神出鬼没なあんたでもひょっとして捕捉ほそくできるんじゃないかと思って、さぐって……」


「ではその際、捕捉したのは私のなんだったのですか?」


「……たぶん、魂」


「よろしい」


 そう言うと、急に明虎あきとらが視界から消えた。面食らって周囲を確かめたところ、彼は超感覚を制御中のヴェリスの後方にて、腕を組みながら木に寄りかかっている。何が起きたのか理解しようとつとめるシムルの脳内に、彼の声が響きわたった。


(今のはヴェリスさんの魂を座標にして移動したのですよ。同じ理屈で、このようにテレパシーを送ることも可能。先刻あなたが私を呼び出した方法がこれです)


(! じゃあやっぱり……! ってあれ?)


 念話を続けようとするも失敗してしまう。明虎の登場に驚いて集中が切れていたことを思い出したシムルは、むなしく舞った心の声に赤面した。彼はその様子に肩をすくめると、浮遊しながら再び目の前へとやってくる。


「あなたの場合、ゾーン状態でエネルギー均一化を行った上で、固有スキルによる無意識の拡張がなければ捕捉自体が成り立たないようですね。まだまだ不自由きわまりない」


「……ん? それってさ、逆にいえば明虎さんは常にそう(・・・・)ってこと?」


しかり」


「!? いやいや、そんなの普通に考えてあり得ないでしょ! いったい何を食べて育ったらそんなふうになれるんだ!?」


「太陽」


「はぁ!?」


「無論、そのまましょくしているわけではありませんけどね。さておき……捕捉する対象を魂に限定すればテレパシー。魂およびそれが存在している周辺空間へ広げればテレポーテーションが使えるようになるわけです」


「……ちなみにその限定とか拡張とかってのは、スキル無しの場合どうやって制御したらいいの?」


「捕捉とは、自我と対象物の周波数をそろえること。あとは自力で考えてください」


「ちぇ、わかったよ。じゃあ残りの二つのやり方は?」


「フローティングとタイムストップについてはまだ時期尚早(しょうそう)です。ということで、用が済んだなら私は失礼しますよ」


「あ!」


 取り付く島もなく、明虎はまたどこかへと消えてしまった。一切ためらいのない去りぎわだったが、もしや多忙なのだろうか――彼のことは相変わらずよくわからない。シムルがほうけていると、不意に後ろから声を掛けられた。


「シムル、どうしたの?」


「え? ああ、ヴェリス! そっちはどうだった?」


「んとね……」


 こうして、それぞれ大きな収穫を得た二人は情報交換しながらアスター城へと帰還した。力を行使した影響かお互いひどく気疲れしてしまっていたため、会議までの残り時間は仮眠して過ごすことにする。ゼイアに目覚ましがかりを要請した彼らは、フルーカの用意してくれたベッドやソファに倒れ込み、泥のように眠った。



 シムルへの助言を終えた明虎。

 彼は底なしの闇のなかで、とある存在と対峙たいじしていた。


「お前か。私のあみの目をくぐって、おろか者二号に処されたというのは」


《……何奴なにやつ


「いやはや、奥魔おうまもここまでくると感心してしまうねぇ。その吐き気をもよおす膨大な♯∽Δ�§¶……せいぜい無明(むみょう)荒野こうやへ至れたことに感謝するといい」


《殺すぞ》


「クク、出られもしないくせに随分と強気じゃないか」


《悠久など我らにとっては須臾しゅゆに過ぎぬ》


「しかし相応のむくいは避けられない――違うかい? そこでひとつ提案があるんだけどさぁ」


《……おのれは……》


「なに、別段べつだん難しい話ではない。ちょっと未来に貢献こうけんしてくれたまえよ」

太陽をかじる明虎さん(捏造)


※お読みいただきありがとうございます。

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 筆者の過ごす日々が彩られてゆきます。

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