ああ、やってしまった
私はうっとりとしてふらふらとソファーまで歩き、ポスリとクリスの横に腰を下ろした。
そしておもむろにクリスの顔を覗きこみ、熱の籠った目で囁いた。
「クリス。私、貴方の事がずっとずっと···」
私は慌てて自分の手をつねった。
痛みが走り涙が出る。
ヤバいヤバい。
なに言ってるの私ー!
コクるとこだった。
違う意味でドキドキするでしょう。
冷や汗がでる。
こういうときは、そうだ!深呼吸するといい。
私はすーはーと深く呼吸をする。
ここにいると何を言い出すか分からない。
そうだ!もう帰ろう。
私は立ち上がろうとしたけど、自分の意思に反して足腰が言うことを聞かない。
そして、いつの間にか私の手はクリスの手を握りしめていた。
クリスは目を見開き、私を穴の開く程見つめている。
ギャー!
何やってるの私!?
「シルフィ、お前は···その」
「黙って」
私は人差し指でクリスの唇を押さえ言葉を遮った。
そしてクリスの首に腕を回し目を閉じる。
はっと気がついた時には、私はクリスを強く抱きしめ熱い口づけを交わした後だった。
ああ!!
やってしまった···。
何をしてるんだろう私···。
泣きたくなってくる。
もうすっかり私はクリスにメロメロだ。
これ以上ここにいたらどうなってしまうか分からない。
〖媚薬〗の影響は物凄く、理性を保つことなんて出来はしないのだ。
離れたくないけど無理やり腕をクリスからひっぺがし、自分の頬を強く叩いて何とか一時的に正気を保ち立ち上がった。
「クリス、ごめんなさい。今の全部忘れて」
「シルフィ、待って。話があるんだ」
ダメだ。
これ以上はまずい。クリスに吸い寄せられる。
クリスは私を引き留めるために腕を掴もうと手を伸ばした。
私は首を横に振り、その手を振り切ってクリスの部屋を出る。
走り出した私はとても虚しくなった。次から次へと涙が溢れてくる。
薬の影響とはいえ、あんなことをしてしまったのだ。
〖媚薬〗を試すだなんて、私はなんて事をしてしまったのか。考えが浅はか過ぎた。
人の心を弄ぶなんてしてはいけないことだった。
クリスにとても悪い事をした。
後悔だけが胸の中に残る。
自分の部屋に戻った私は、着替えもせずにベッドに潜り込んだ。