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謎は解けた

な、なんで?




クリスがテーブルに置いた〖媚薬〗に目が釘付けになった。


私がクリスの部屋に忘れてきた〖媚薬〗。なんだか分かる?って聞かれたけど、クリスはこれが何なのか分かって言っているんだろうか?




そういえば、時間切れと言っていた。


時間切れとはまさに〖媚薬〗の効果の切れる時間の事を指しているのではないのか?




まさか、バレてるとか。


わざわざこれを目の前に出すと言うことはその線が濃厚だ。


これは探りをいれて様子を見るしかない。




「クリス、これは···お薬よ」


「うん。確かにこれは薬だが、とんでもない効果が付いてくるよね」


「···あの、貴方はこれが何か分かって言っているの?」




クリスは頷いてまたもやスーツの内ポケットから何やら取り出して、〖媚薬〗の小瓶の隣に置いた。




ああっ!




〖媚薬〗の小瓶の隣には、全く同じ小瓶が並ぶ。


どういうこと!?


どこからどう見ても二つの小瓶は同じものだ。なんで〖媚薬〗が二つもあるの??


私がクリスの部屋に持っていった〖媚薬〗と、もう一つはどう考えても私のものではない。


ということはもう一つの〖媚薬〗はクリスの物である。




···彼は最初から全て分かっていたのだ。


私がお茶に仕込んだのが何であるのか分かっていたから、飲むふりをしていたのだろうか?


そして、私だけが〖媚薬〗を飲んでクリスにメロメロになった。




そうか···。


分かっているのなら今まで私がやらかしたことは〖媚薬〗の効果によるもので、私の本心ではないと開き直ることもできる。


安心した。


でも、なんだかクリスの掌の上で踊らされていたような気もして悔しいし、恥ずかしい。


いや、そもそも私が〖媚薬〗の効果を試そうだなんて浅はかな事をしたのがまずかったのだ。


ここは素直に謝っておこう。




「これは〖媚薬〗よ」


「そうだね」


「なぜ貴方がこれを持っているのか分からないけど、知っているのなら話は早いわ」


「······」


「クリス、本当にごめんなさい。私は浅はかにもこの〖媚薬〗を貴方に使い、そして私も飲んでしまった。今までの奇行は〖媚薬〗の効果によるもので、私の本心じゃないの。だからさっきの約束は全部無かったことにして」




クリスは目を見開き、とても悲しげな瞳で私を見た。


私の言葉でそんなに悲しい顔をするなんて思わなかった。なにかとても悪い事を言ったみたいで、正直にいうとそんなクリスの顔は見たくない。あの笑顔がもう一度見たい···なんて思ってしまった。




あれ?


私は自分の心の変化に一瞬戸惑った。

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