3日目 路地
かなり短いので本日2つ投稿します。
「こんにちは。」
学校終わり。青年は独り人気のない路地に居た。相手はいるが暗く、青年からははっきり見えていない。そこは学校からそれほど遠くなく、そして青年の指定した場所でもあった。青年が挨拶をしてもその男は返事をしない。
「なかなか妙な格好してますね。」
緊張混じりに青年は言う。その男は鼠色のローブ深く被った怪しげな格好をしていた。青年な警戒はしつつもチラシから予想のできる格好でもあったと思っている。
「珍しいな。」
フードの男は元々低い声をもっと、無理矢理低く、暗くしたような声色で言う。何が珍しいかなんて言わなくても伝っているだろうと言わんばかりに。
「そうか。ところであのことは本当か?」
「私は嘘を吐かない。汚い方法で金を取るお前らとは違う。」
言葉を濁して問う青年は返答に確信をもつ。この胡散臭い状況にきな臭い言葉に。それが本当かどうかなんて誰にもわからない。ただ確定で言えるのはローブの男も青年もそれを信じなければいけない。いや信じたいこと。もしも嘘であれば、片方が嘘ならもう片方は事実上死ぬ。それは両者が理解していることだった。
「時がたっても気が変わらまければまた連絡しろ。」
「まだ無理ってことか。」
青年は踵を反し帰路を辿る。ローブの男はそれを見届ける。そしてローブの男から青年が見えなくなった時、空の鞄を見下ろした。