1日目 アトリエ
こちらでは初投稿!よろしくお願いします。
「こんにちは。」
「こんちは。ここに来るのも慣れちまったな。」
「不服ですか?」
「悪くないな。」
男女の声がアトリエに響く。紙の日焼けを避けるため全くと言って良いほど日光は入るらないそこは暗闇に染まっている。そしてアトリエに不釣り合いなほどに良い肉体を持つ男は絵と話していた。
「毎日来るね。暇なの?」
「ダメなのか?お前がヒマしないように来てるんだが。どうせ話すやつもいないんだろ?自由なのに。」
少女は自由だ。キャンバスの中は彼女の独壇場。外国だってすぐに行けるし、好きなものをキャンバス内に出現させられる。ただキャンバスから出られないだけ。それ以外は自由だ。
「今度何処か連れて行ってやるよ。何処が良い?」
「うーん、、海!」
ニパッと笑う少女。しかし外には出られない。キャンバスごと持ち歩くにしても大きすぎて邪魔だ。日焼けもしてしまう。何より家主が許さない。だから少女は自分の周りを自分で描いて行く。ペンを出し真っ白だった背景に形、色を与えて行く。するとそれは海に。それは波に。それは音として存在するようになる。そしせひとつの世界が完成する。
「海と言ったらやっぱりアレだよね。」
「嗚呼。ビーチバレーだよな。」
「いや水着でしょ。」
少女は自分の隣に水着を描き初める。そして完成した水着を持って海にダイブ。水の中で着替える。
「じゃじゃーん!」
「………」
「無視するな!!」
空にも負けないような満天の笑顔で飛び出す少女。そして瞬時に頬を膨らませる少女。そこだけを切り取れば普通の少女だ。
「どうせ遊べないしコーヒーでも飲もうかと思って。」
「むぅ~。」
少女は遊べないと言う事実にさらに頬を膨らませる。青年はバッグから水筒を取り出しコップに注いでいる。その姿を見て少女は机を作り出し紅茶を作り出し、休憩の準備を進めていた。
それから彼女らは他愛のない会話をする。青年は学校であったことや愚痴。彼女はそれを聴いている。それを続けて。話し続けて数時間。
「そろそろ帰ることにする。」
夕日はギリギリ顔を出している。あと三分もたたない内に完全に沈みそうなそんな時間帯。青年は突然そう言うとイスを立ち水筒を片付ける。
「また明日。今日は部活で遅かったけど明日は日曜日だし、部活ないし。早めに来ることにする。」
「そっか、また。早く明日にならないかなぁ?」