ギモン
単純だか、さっぱりとした挨拶を交わすとお互いの帰途についた。
その帰途の途中、不意に身体が傾いだ。身体が何かに包まれたようになり、時間が止まったように感じた。そして、頭上から降る様に声が落ちてくる。
《彼女の父親は、敵と交戦した。一度基地を破壊され、辛うじて脱出した後、同じ敵と戦うように命じられ、命を落とした。》
これは、何の情報なのだろう?
誰が流しているのか、頭上を見上げて見るが、暗闇が広がるばかりでなにもない。
誰か、いるの?
頭上に声をかけてみる。すると、答えが頭に響いてきた。
《いるよ、君の頭の中に》
え?
ぎょっとなるものの、静かに次の言葉を待つ。
《本来は俺が君になるはずだったんだ。だか、何らかの影響で君がその中に入ってしまった様だね》
どういうことですか?
疑問を心の中で投げてみると、直ぐ様答えが返ってくる。
《君はここに来る前、黒くもやもやしたものに出会ったと思う。》
この世界に来る前のことが頭にちらつく。あの暗く光を通さない黒いもの。
《君はあれに飲み込まれ、ここへ送られたんだ。》
何故そんなことになったのだろうか? 黒いもやもやにとって何のメリットがあるのだろう?
《俺達が、ここに現れたのは、この世界のこの惑星を、人々を救済したいと願う人達の想いの結果だ
そして、黒いものは歴史を正すために動き出し、イレギュラーを抹殺し、正しい流れに導こうとしているものだ》
自分の他にも、他所の世界から来た人たちはいるらしいのだ。