秋葉原ヲタク白書29 萌えとニャンのためでなく
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第29話です。
今回は、振込ならぬ振付詐欺でアキバ発のミュージカルが公演中止に!裏に青龍刀を操る外国資本による地上げの影がw
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 振付泥棒を追え!
アキバ女子の最高峰、ひろみんが訴えられる。
「"萌え萌えニャン"は既に著作権登録されており、他者が有償で客に提供するに際し著作権使用料の支払い義務が発生する」
「そんな!"萌え萌えニャン"は誰のモノでもない。アキバのヲタク全員のモノょ!」
「然るに、貴殿は自ら国営放送の番組内で生みの親と号し"萌え萌えニャン"の著作権を著しく侵害している。著作権者に対し相応の使用料および損害賠償金を支払え」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"萌え萌えニャン"は、手でハート形を作り商品に愛を込める儀式サービスだ。
主にメイドカフェなどでドリンクなどをサーブする際にメイドにより行われる。
そもそも"萌え"という言葉自体が誰が言い出したのか今となってはワカラナイ。
昔から我こそ"萌え"の元祖と百家争鳴が続く中、この上"萌えニャン"までも…
「誰のモノでもイイんじゃね?」
「そもそも、ソレって何かに萌える度に誰かにお金払わなきゃイケナイってコト?」
「ところで"萌え萌えニャン"って最初に逝い出したの、実はヲレ(アタシ)なんだ(なのよ)」←
ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんが、メイド長を務める御屋敷だ。
ヲタクを次々と巨大引力で引き寄せるので"木星バー"とか呼ばれてる。
今宵は、ひとみんが何者かに訴えられた話題で持ちきりだ。
ひとみん率いる@ポエムのライバル社の陰謀説が専ら大勢←
「でも…最近、気になる話をよく耳にスルのです。アキバが何か大きなコトに巻き込まれてるような気配がします」
「わ!ランボー(者)さんキター。いつの間にってかお久しぶり?ESA事件以来ですか?」
「ランボー(者)さん絡みだと、またまたアッサリ世界と直結しちゃいそう。まさか国際著作権連盟の秘密エージェントがアキバに潜入したとか」
ランボー(者)さんは、政府非公認wのアキバ系高級娼館のマダムだ。
政府系の要人が顧客だが、ソコで語られた寝物語を政府に売ってるw
まぁ立派に闇の世界の住人ってコトだ←
元は援交シンジケートの元締でしたがw
「実は、この前…ウチに自己破産した地下アイドルの子が来まして。スゴくいい子で即採用だったんですけど、その子から気になる話が…」
「その手の話のデパート、ランボー(者)さんが、ワザワザ私達のトコロへお運びとは、余程のコトみたいね」
「ミユリ姉様。実は私も、今回は、姉様とテリィ様のコンビに何をお願いすればいいのか、よくわかっていないのです。とりあえず、話だけでも聞いていただけますか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
振付詐欺が流行っている。
振込ではなくて振付だょ。
最近はオレオレ詐欺とか有名になったけど、世の中には色んな詐欺があるモノで、ついにアイドルの振付にまで詐欺師が現れる。
手口はこうだ。
売れない地下アイドルの下に、ソコソコ有名な劇団の振付師を名乗る男が現れる。
男は、ソコソコ"映える"振付をしてくれ、お陰で曲はソコソコのヒットとなる。
すると、今度は劇団関係者が現れ、振付には著作権があり、公演での使用は有料、かつ無断使用は損害賠償の対象になると告げる。
その頃には、件の振付師は姿を消して、地下アイドルは訴えられて敗訴し、振付使用料と巨額の損害賠償金が確定して負債を負う。
彼女は、地下アイドルを廃業し、落とすトコロまで身を落として借金を払い続ける…
「あ、その落ちる先がキティ(サロン・ド・キティ ランボー(者)がマダムを務める高級娼館)と逝うワケでは決してナイのですが…」
「も、もちろん。そんなコトは絶対ほとんど全くチラとも考えたコトすらないょ」←
「ところで、彼女達の債務は、さらに次の業界へと引き継がれて逝くのです」
次の業界?
ソレは債権回収業界で、クレジット会社などは通常180日間の督促後、未回収債権を闇オークションで取立業者に売り飛ばすのだ。
つまり、債務者は180日間、クレジット会社の取立てをしのいだ後で、次に闇業者の取立てに遭って初めて?ホントの地獄を見る。
「あ、その闇サイトなら私、知ってるカモ。またまた私、テリィたんのお役に立てちゃうカモ。どーしよー」
「まぁスピアったら。御屋敷でイキナリ水着になったりするんでなければ大目に見るわ。闇サイトにメル友でもいるの?」
「うーん。お互いSNしか知らないンですけどね。多分会って話を聞くくらいなら出来るカモ」
ランボー(者)が横から口を挟む。
「よく聞く取立て屋がAPとか逝うンだけど、ボスの頭文字?何かご存知?」
「あ、ソレは社名です。AP。ヲタク相手の債務取立てで業績を伸ばして、今じゃ業界大手とか」
「ソレだけ、ヲタクの債務者が増えてるってコトか。妄想も金がかかる世の中とは世知辛い。ところで、AD(ランボー(者)の援交シンジケートで既に解散)と似た名前だなぁ。奇遇?」
第2章 裏マダムとの再会
セリナ?!
君なのか?
セリナは、ランボー(者)が双子の悪徳メイドの罠で収監されている間に、裏マダムを名乗りシンジケートの乗っ取りを図った女だ。
恐らくデート気分のスピアはAPと会うのを僕とスピアの2人に限り、ミユリさんやランボー(者)を同行させなかったが正解だな。
しかし、よくアキバに戻れたもんだな。
「やっぱり、テリィたんも一緒だったのね。その節はウブな私をハメてくれてどーも。私もアレでオトナになれたわ。ところで、元気かしら?ミユリさんと…女ランボー」
「あぁ。今も元気に青い自転車を乗り回してるょ」
「…やめてね。その子供じみた言い回し。時計の針は逆戻りしないから。たとえアキバでも」
思いがけない展開に言葉を失うスピア@黄昏に沈む昭和通り沿いのカフェ。
青い自転車は、ランボー(者)がセリナと初めて会った時に使った小道具だ。
「お知り合い…だったの?もしかして、セリナさんって援交シンジケートの裏マダムだった人?私、会うの初めてだけど、テリィたんの元カノだったの?」
「ううん。彼女じゃなかった。骨までしゃぶられたけどね。だから、安心して。元カノ会の会長さん。入会はしないから」
「そう。ならいいわ」←
スピアを軽くいなし、セリナは僕の方を向き、今時珍しい角の取れた丸い名刺を出す。
ソコには、およそ聞いたコトのない真面目な名前が書いてあったがココではセリナで。
し、しかし?セリナ、APの社長なんだw
「やはり、この街を離れられなかった。そんな時、闇サイトでヲタク専門の取立業者を探してると聞いて起業したの。ソレが当たって後はトントン拍子」
「ソレが、セリナのアキハバラ・ドリームだったってワケだ。何か違和感あるけど」
「何と逝われても構わない。でも、この街で生きる以上、ヲタクとしての矜持は捨てないつもり」
え?
「テリィたんも気づいてると思うけど、最近アキバに大陸系でヲタク狙いの詐欺団が入ってる。取立ても血も涙もない。コレは誰かが何とかしなくちゃって思ってる」
「大陸系?」
「取立て屋が青龍刀を振り回してる。言葉も通じない。クスリもアヘン系。お友達の若頭さんに聞いてみて」
御屋敷のヘルプつぼみん萌えの虎吉さんは、夜の界隈を〆る若頭をやっている。
つぼみんは、その筋の会長の孫娘なので、今度虎吉さんに話を聞いてもらおう。
「取立ての業界も厳しいの。闇に出回る債務者リストも全てが宝の山と逝うワケではなく大部分はカス。ウチは法律事務所経由で出物情報を掴んで良心的?なリストだけを買うんだけど、このリストが、またよく"盗まれる"のょ」
「闇リストが"盗まれる"って何事?もともと盗品マーケットの流通品ナンだろ?ソレをまた盗まれてどーすんの?!」
「面目ナイ。でも、torブラウザで守られたリスト片手に債務者を訪れると、既に青龍刀で死なない程度に切り刻まれてて金目のモノは全部巻き上げられてる。奴等には超がつく凄腕ハッカーがついてる。あの"劇団五季"の"仏壇キング"もカンパニーの振付師が刻まれて公演不能になった」
"仏壇キング"は、仏具屋にストックされた仏壇達の権力闘争を描く草ミュージカルだ。
元は、小劇団だった"劇団五季"を立派なミュージカルカンパニーに押し上げた出世作。
折からの2.5次元ブームにあやかり、アキバを拠点に大躍進と思われたが最近聞かない。
聞けば、例の振付詐欺で訴えられて、莫大な負債を抱え込んだ劇団員は必死でバイト中w
「実は"劇団五季"にはウチは前から注目してて出資もしてる。いつかアイツらがアキバを日本のブロードウェイにするって信じてる。だから"五季"の詐欺絡み債権はウチが買い取った。幸い"仏壇キング"がロングランだから手堅く返してくれればいい、アキバ発のミュージカルを育てるコトを何より優先してって話もした。ところが、ある日、横から青龍刀が割り込んで来て、振付師を切り刻んだモンだからカンパニーはビビって即公演中止。男優も女優も全員、風俗紛いの悲惨世界(Les Misérables)送りでカラダで借金返すって絵を描いちゃった」
「でも、債権証書はセリナが買い取ってたンだろう?」
「奪われた。実はAPの担当者が1人、現場で行方不明になってる」
行方不明って…どーゆーコトだ?
人が消える?大陸の黒社会かょ?
「うわぁ何だかめっちゃヤバい現場だなー。とりあえず、もうちょっち色んな話を聞いてから判断しよう(何を?)」
「とりあえず"劇団五季"の出資者に会ってみたら?1番ヤバくない連中カモ。多分テリィたんのお友達もいるンじゃないかな」
「お友達?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「いらっしゃーい。あら、テリィたん?"ウチの人"なら今"街づくり協議会"に行ってますけど」
「えっ?いないの、2代目。あ、シャンプーは要らない」
「そんなっ!涼感メンソールでモヤモヤした頭の中までクール1発の超爽やかになるのにっ!もちろんサウナには入ルンでしょ?」
外神田の銭湯"秋ノ湯"番台の美人女将カノンさんからバラバラと色々渡されるw
あ、シャンプー要らないって逝ったのに!えっ?試供品?うーんじゃ貰っとくか←
ジョナの話を聞くだけのハズが、早くも銭湯に入る羽目になってマスけどw
秋ノ湯の美人女将は別の意味でヤバいから気をつけろ!ってもう手遅れか笑
秋ノ湯の2代目ジョナは、元ストリートギャングでカノンさんはママンが後妻業者w
まぁ話すと色々ある2人ではあるが、今は仲良く老舗銭湯"秋ノ湯"の暖簾を守る。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あ、テリィさん。お待たせしました。おぉ?やはり電気風呂に浸かってますね?好きですね、電気。商売柄?」
「何か、このビリビリ来る感じがいいんだょなー。浮世の疲れが骨からボロボロ落ちてく感じがさー」
「でも、そう逝ってくれるのテリィさんだけなんで、今度壊して寝かせ湯を増設しようと思ってます」←
そ、そんなw
湯船の中で目を開くと、秋ノ湯2代目のジョナが真横で人懐っこい顔で笑ってる。
カノンさんから僕が来てると聞いて仕事をサボり大浴場に浸かりに来たみたいだ。
「どうしました?まだお仕事中なんでしょ?確か昼間はサラリーマンやってましたょね?」
「過去形じゃなくて現在進行形!まだヤメてないから!ところで…ヲタク座の件なんだけど」
「おおっと!やっとお耳に入りましたか!実は、テリィさんに御相談しようと思ってたンですょ。コレってヤバいっス!アキバの危機カモ」
ヲタク座は、御徒町に近い古い雑居ビルの地下にある130席程度の小劇場。
ソコはミュージカル"仏壇キング"を打つ"劇団五季"のホームでもある。
セリナの話では"劇団五季"の出資者には、ギャングに場外馬券やセックスクラブの経営者などそうそうたる顔ブレが並んでる。
セリナの逝うトコロの"1番ヤバくない連中"が彼等らしく、どうやら今回も全力疾走でトホホな展開へとひた走ってるようだw
ところで、そんな輩を抑え?堂々の筆頭出資者が"秋ノ湯"と逝うから驚くしかない。
まさか、ジョナは闇社会の一員にして舞台芸術の保護者と逝う双面のヤヌスのような…
「テリィさん、違いますょ。人をキングギドラみたいに逝わないでください。あれ?キングギドラは3面か…ま、とにかく!他の出資者も地元じゃ真っ当な2代目ばかりで…とにかく、アレは地上げに対する対抗措置ナンで」
「ええっ?セックスクラブに場外馬券の何処が真っ当ナンだょwそう逝えば、確か秋ノ湯にも底地買収の話があるとか逝ってなかったっけ?」
「ウチだけじゃありません。この界隈丸ごと軒並み地上げされてルンです。だから、各個撃破されないよう、俺達も"街づくり協議会"を立ち上げ仲間内で結束を固めて対抗してルンです。場外馬券もセックスクラブもみんな"協議会"メンバーで、地元生まれの地元育ち。俺の幼馴染みばかりです。みんな江戸時代から代を重ねる内に、少しずつ"方向修正"して来ただけの、根は真っ当な江戸ッ子なんで、どうか信じてやってください!」
うーん悪いけど無理←
でも、僕の困惑顔に…
突如ジョナが電気風呂の中で正座?するや、両手をつき勢いよく頭を下げる!
顔面で湯を叩き何かビリビリ感電しテルみたいだけど湯面から顔を上げナイ!
「ブクブクブク…」
「わ、わ、わかった!わかったから顔を上げろ…ってか何を逝ってるか聞こえてないかwおーい!かーおー上ーげーろー!」
「テリィさん、お電話です」
え?取込み中だょと思ったら、いつの間にかカリンさんが僕の隣に正座しててスマホを…
ってか!ココ、電気風呂…じゃなかった男湯でしょ!山奥の混浴温泉じゃナイんだから!
と、あくまで"純粋に現場掌握の必然性"から恐る恐る"下"を見たら花柄ビキニw
「あ、テリィ様!電話お嫌いなのに、追っかけてゴメンナサイ!ミユリです」
「いや、助かった…じゃなかった、コレからいいトコロ…デハ絶対になくて、えっと、何?」
「御屋敷にお客様です。札幌から」
第3章 帰ってきたマスターキー
札幌"ロミエッタ"メイド長のキャラさんが御屋敷に来てる。
当時、ヤタラと北海道出張の多かった僕がよく通った御屋敷。
僕の分厚いチェキ帳最初のページの2枚目がキャラさんだ。
因みに1枚目は…まだ@ポエムのメイド服を着てるエリス。
で、ミユリさんは、確か12ページ辺り←
「テリィたん、御機嫌よう!少し御無沙汰になっちゃったかな?ねぇ札幌には来ないの?最近は南の国1本?寂しいゾ!」
「ああ、キャラちゃん!元気そう!ブログ、毎日読んでるからー!」
「テリィ"様"は、先週、鹿児島にヤタラ長く御出張されてマス。あ、あれ?うーんテリィ様!御髪が濡れてマスが…」
か、解説しよう。
最初がキャラさんで…お上品な膝丈ワンピで典型的なTYOお出掛けスタイル。
次が僕で、その次がミユリさんなんだけど、髪が濡れてるのは湯上りだから←
ソレと…鹿児島出張は100%仕事ですっ!
「テリィたんもミユリ姉様も相変わらずバタバタやってるワケね?何だかウレしい!今日はね御2人に会わせたい子がいて、ワザワザ上京して来たのょ」
そう逝いつつ、キャラさんは悪戯っ子っぽく笑ってスマホを抜き、僕等に見せる。
僕とミユリさんは、カウンターの中と外から小さなスマホ画面を覗き込み…驚く!
「ハーイ!あきばノをたくノ皆サン!私ヲ覚エテイルアルカー?」
ゲゲッ!"マスターキー"じゃないかっ!
大陸最強のサイバー軍61398部隊の精鋭w
確か当局に逮捕されたハズだょね?
金髪はウィッグとして何でメイド?
「北京デ捕マエタ内調サント交換デ釈放サレタアルヨー!今ハきゃらサンノ御屋敷デ元気ニ働イテルアル。極秘ノ任務中デ何ヲヤッテルカハ言エナイアルヨー」←
「あ、あったり前だろ?CIAは知ってるの?まさか札幌の地下鉄でもう殺っちゃったとか?」
「何テ人聞キノ悪イ。ソンナニイツモ人殺シバカリヤッテル訳デハナイノ事アルョぷんぷん!」
ウソつけw
ミユリさんの大親友のCIAの彼氏を末広町のホームから突き落として重体にしたろ?
その後、当局に検挙されたハズなのに保釈されて札幌で金髪メイドをやってるだと?
まぁ全く信じられないが、彼女は軍が養成した秀才ハッカー(非天才w)であらゆる電子錠を破るコードネーム"マスターキー"。
非情な世界の住人ながら、性格にヲタクが滲み出てるので憎み切れない面がある。
本人が喜んでたアキバでの任務を失敗させて当局に引き渡した負い目とかもアリ…
まぁとりあえず、話を聞くだけ聞こう。
と逝うワケで彼女が語り出したのは…
今、大陸資本は、北海道における土地買収を急速に推し進めている。
森林だけでも、毎年、東京ドーム3コ分の面積を買収し続けている。
森林以外も含めると規模はその10倍以上で、既に国土の2%を買ったとの報告もある。
登記の義務がないこの国では、外国資本による土地買収の実態は あくまで闇の中だ。
だから、政府もワカッテないが、実は買収を進めている外国資本側もよくワカッテないw
だって、マネーロンダリングを兼ねた闇資金が世界中から流れ込む限り買収が続くから←
やり口は既にパターン化されてて、先ず地方行政にリゾート構想をぶち総論賛成に導く。
その後は札束攻勢で地上げをかけ10年後には北海道を中国32番目の省にする計画らしいw
「げ!赤い北海道かょ?やっとソビエトの脅威が去ったと思ったら…」
「甘イアルョ。モシカシテ10年カカラナイカモアルネ」
「そー逝えば先日、大陸系の大手ショッピングサイト"ネコババ"に新千歳空港の隣接地が出て国交省が慌ててたょね」
その国交省は、実務マニュアルで大陸による土地買収をバックアップしているのだ。
人種差別反対を旗印に、恐らく学会系の票欲しさに外国人の用地買収を奨励してるw
そして"北海道を中国32番目の省"にした後に控えるのは?え?次は"アキバを中国第2の香港"にするのが国家戦略?マジか?
今や、国際観光都市へと成長を遂げたアキバの一角に、実は既に中華系インバウンド狙いのアーバンリゾート構想が提案されている。
太陽光パネルで覆われたタワーリゾートが、いつかエネルギー自己完結型の都市型自治区を宣言して"第2の香港"となる日が来る?
悪夢だ!
当面は、オーナーである陸潤メディアグループのプライベートリゾートとされている。
実際の用地買収は、札幌で虫食い状に高級マンションを持つ華僑の不動産会社が実施。
その用地のド真ん中に"ヲタク座"があり、周囲に秋ノ湯、セックスクラブなどなど。
過去にデベロッパーが挑むも、途中で地面師が現れたりして買収は難航、現場は膠着。
ソコへ青龍刀を持った一団が現れたワケだw
「似た話を聞いたコトあるな。昔、お国の大連にウクライナの空母が係留されてて、確か大陸系の民間会社が海上カジノ用に購入した"スクラップ"って触れ込みだったんだけど」
「オオ!てりぃ様、サスガハ軍事をたくアルネ!今ヤ"すくらっぷ"ハ"空母 遼寧"ト命名サレ、自ラ空母打撃群ノ中核トナリ目下、西太平洋方面で作戦中アルヨ。オ国ノ"ひりゅう"トモ一戦交エタリシテ。みっどうぇー辺リデ」
「あのなー。飛龍は、必ず相手を道連れにするからな。そんなコトより、先ず軍人系のダミーに買わせて後から本性を現す。大国のクセしてセコい後出しジャンケン方式、何とかならないのかな…ところで"マスターキー"は、何でこんな話を僕にスルんだょ?」
スマホの中で"マスターキー"がフト真面目な顔になる(やや、意外に美少女w)。
「秋葉原ニハ、イツマデモ秋葉原ノママデイテ欲シイ。私自身"劇団五季"二憧レテル。イツカ"仏壇キング"ノすてーじ二立ツノガ私ノ夢。今ハ国ヲ背負ウすぱいノ身ダガ、ソノ日ガ来ルマデをたくノ矜持ハ捨テナイ。誰カガ、母国ノ国家戦略ヲ阻止セネバナラナイ」
「その通りだ。でも、無茶するなょ"マスターキー"。下手打つと北京に潰されるぞ」
「大丈夫。ダッテ、ココカラ先ハてりぃサンガヤッテクレルカラ」
ええっ?僕がやるのか?笑
どうやって止めるんだょ?
第4章 萌えとニャンのためでなく
全く、大人が大人らしくしてくれないから、いつもヲタクが困ルンだ。
迷えるヲタクは日々、こんなにも大勢アキバに群れていると逝うのに。
しかし、コレでようやく青龍刀やら地上げやらのパーツがハマってきた感じ。
どうやら、見えてきた僕達の真のターゲットは"国家戦略"トヤラのようだ。
まぁ色んなモノを止めてきた僕達ではあるが"国家戦略"だけは経験がナイw
さすがの僕もバーカウンターに頬杖し、途方に暮れていたら、フト女神の声←
「ただいま、ミユリ。貴女の御自慢の御主人様、かなーり深刻にお悩み中みたいだけど、大丈夫なの?」
「あら"ウチ"の御主人様は、考え事がお好きなの。だから、貴女の大発明"萌え萌えニャン"とかで邪魔しないで頂戴ね、ひろみん」
「あら、御挨拶ね。ミユリの大事な御主人様のために、今宵は私の御屋敷から"マスターキー"をもう1本、持参して来たと逝うのに。お陰で今夜のウチのシフトはメチャクチャなのょ!ねぇサビナ?」
わ!アキバで働く女子の最高峰ひろみんw
今宵はゴージャスな金髪美少女と御帰宅?
しかも2人共@のメイド服のままだ←
その格好でよく東西通路を通れたなw
「ひろみん社長、ドノ人ガてりぃ様?」
「えっ?あ、コレコレこの人。この真っ直ぐに行き詰まっちゃってる、この御主人様。サビナがもう一押ししたら死んじゃうカモょ?」
「ひろみったら…勝手にテリィ様を殺さないでくれる?」
サビナは、ロシア系の美少女だ。
見慣れたパツ金とは、異次元の艶を持つサラサラ金髪に青い瞳。
ソレだけ劣化も早いと聞くが、とにかく今は全身全霊で美少女。
今の内に急がなきゃ(何を?笑)…とか勝手に妄想していたら、いきなり彼女に腕を掴まれ御屋敷の外へ連れ出される!
御屋敷は雑居ビルの2Fにあり、EVもあるけど、常連は外階段を使う。
そして、外階段には半階毎に踊り場がアリ、今までもコノ踊り場では…
「テリ公ッ!」
「えっ?」
「テリ公、オスワリ!」
サラサラ金髪のサビナが僕を見上げ指図するが…何か、その、急に犬になった気分←
最初は、公爵の略で宮廷プレイか?と思ったが、どうやら本気で"テリ公"みたい笑
戌年の性で、思わず膝を折る…
「ちょっち待ったー!またまた変なの、現れたー!そこのパツ金サラサラ姐さん、アンタもテリィたんの元カノ?元カノならちゃんとエントリーしてよっ!変なコトをスルのはその後!私はテリィたんの元カノ会長のスピア!」
「おお!元カノ会長スピア!(珍しく)助かったょありがとう!さぁ、助けてくれ…ところで、ココにいるって君にチクったのは例によってつぼみんかな?」
「静粛ニ!」
半階上の踊り場にいる僕達に、駆けつけたスピアが路面から声をかける。
すると、サビナはヤタラ脱力し柔らかな動きでスピアの首の辺りに触れ…
撫でる?あれ?突いたのか?
途端にスピアが気絶し昏倒w
ロシアの軍隊格闘術"システマ"だ!
サビナ、君も闇の世界の住人なのか?
「テリ公ッ!」
「ハ、ハ、ハ、ハイ!」
「…オ手」←
やってみると、まぁ、その、何と申しますか、コレがソコソコ楽しかったりする←
まぁ、何も考えずに秋田犬になって世界のトップスケーターに戯れついてるような…
あれ?サビナってまさかw
お姉さんとかいないょね?
「姉、イル。ざぎと…」
「えっ?何、聞こえない?ザギト…何?」
「あきば二をたくガイテクレテ、ホントニ幸セ。をたくハ私ノ心ノ支エ。私ヲ鼓舞スル存在。コレカラモ率直デ元気二過ゴシテ」
何処かで聞いたようなフレーズだが上目遣いでツンデレぽく逝われると悪い気はしない。
近くで見ると濃いブラウンの眉毛はヤタラと角度がキツく硬派なアスリートに見えるが…
でもツンデレなら笑
コ、コレは萌える←
その時、派手にグラスごとお盆を落とす音が…ミユリさんかと思ったら今回はつぼみんw
路上にジャージ姿(その下はスク水だ恐らく)で倒れてるスピアに駆け寄り介抱を始める。
続いて、ミユリさんとひろみん、そしてキャラちゃんが踊り場まで降りて来る。
コッチはヤタラ楽しげにガールズトークって感じで、目前の光景にも動じナイ←
「サビナのお姉ちゃんは来日中で、今日は官邸へ呼ばれてるの。そんなこんなで、サビナが何かテリィさんのお役に立つんじゃないかなって思ったワケ」
「ありがと、ひろみん。大助かりょ…多分テリィ様が」
「テリ公、私ノテリ公。オ姉チャンハ秋田犬ヲぷれぜんとサレタケド、ヤッパリ私ハをたくノ方ガイイワ」
あ、最後の台詞はサビナの言葉だ。
お手をしてる僕に対して逝ってるw
「安心シテ、じゃぱにーずをたく。モウ14号庁舎(中国国家安全部)ノ好キニハサセナイ。奴等ニ新シイるーるヲ教育スル」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「トウイ・チェベーリ・ブゾーニェ・コリーニ・イジイーズ・ゾーナ・コリーニ(現在、お前は韓国の領空にいる。領空から退去せよ)!」
"竹島領空"を侵犯したロシア軍機に対し、スクランブル発進した韓国軍機が交戦規定(ROE)に従い"警告""遮断機動"に続き"対応射撃"を実施!
この約360発の実弾による警告射撃に対して政府は韓国に「遺憾」と強く抗議している。
ただ軍事情勢的には、その領空侵犯機が管制していた長距離爆撃機の編隊の方がヤバい。
この編隊は、ロシア軍Tu95爆撃機2機、中国軍H6K爆撃機2機からなる長距離爆撃機4機。
史上初のロ中合同による共同警戒監視活動の一環として航空パトロールを実施したものだ。
世界中で「警察官」が姿を消す中、アジア太平洋地域の新たな「警察官」の座を狙う2国が爆撃機で合同パトロールを始めたのだ。
「両国は、包括的な戦略協力活動を深めて、世界の戦略的安定性を共に守る」
新たな「警察官」を自任する2つの政府から似たような声明が発せられる。
でも、恐らくこの2つの政府の立場は…多分、イーブンではナイのだろう。
ではイニシアチブを取ってるのはドチラだ?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
久しぶりに虎吉さんが御帰宅する。
今宵もボタンダウンにコットンパンツと逝う往年のみゆき族ファッション。
推し?のつぼみんのメイド姿に一瞬目を細めたが、イマイチ浮かない顔だ。
「ソレが、なーんか合点が行かないんスょ。突然ヤタラと人の話を聞くようになりやがって」
「え?どうしたの、虎吉さん。誰が逝うコト聞くようになったの?」
「だから、あの青龍刀の奴等のコトでヤス」
虎吉さんは界隈を仕切る若頭で、今回アキバを代表して青龍刀との手打ちを模索。
言葉もロクに通じないまま、イキナリ青龍刀を振り回されて命からがら逃げ帰る…
そんな悪夢を想像してたら、何とアッサリ話がついて共存共栄を確認したと逝う。
流行りの振付詐欺も青龍刀絡みのモノについては、証文を取り返して来たらしい。
サスガは虎吉さんだ。
その中には"ヲタク座"絡みの債権もあり、証文は、晴れてAPの管理となる。
コレを受け"劇団五季"は悲惨世界(Les Misérables)に散った女優陣を次々と呼び戻す。
"仏壇キング"の公演再開は間近だ。
そして何より連日続いたあの強引かつ悪質な地上げが、ある日を境にピタリと止む。
"街づくり協議会"の面々が、恐る恐る通りを見回すも、ソコに青龍刀の影はない。
"アキバ第2の香港化"計画は頓挫する。
そして、背負う国は違えどヲタクであるコトに正直でありたいと願った2人のメイド達。
それぞれの現場で、それぞれの母国の言葉で、僕達に語ってくれた真実の言葉の数々。
「誰かの期待に応えるためだけの人生は虚しい、たとえソレが祖国の期待であっても。何かをやり過ごしたり人を操るコトばかりが上手くなるのは嫌だ。人生1度切りならホントに自分が萌えるコトのためにだけ人生を使うヲタクに、私はなりたい!」
この2人の話は、驚くほど似ている。
まぁ他にもココで語らなきゃイケナイ言葉はたくさんあるケド最後はセリナ。
なぜなら…目の前にいルンだょw 僕達は今、ミユリさんの御屋敷で飲んでる←
「高額債務者リストを大量に買い戻し、またまた大儲けだろ?女社長」
「私は…私は、APの社長であるよりも、ADの副マダムでいたかった。そしてソレより、アキバのヲタクのままでありたいって、今も思ってる。だから、テリィから女ランボーに、そう伝えて欲しい」
「嫌だな。お断り」
「ええっ?な、なんでょ?お願い」
「僕を巻き込むな」
そして、僕はセリナをカウンターから剥がし外階段の踊り場に誘う。
またキスっ?!と浮き足立つつぼみんをミユリさんが止めてくれる。
ってか、セリナまで勘違いしてキスおねだり顔ナンですけどw
セリナ!コラコラ!あのなー、違うって逝ってるだろ(今回は)!
「おーい、目を開けろ」
「キスしてくれなきゃ開けない」
「プリンセス、馬車を待たせておりますゆえ」
セリナが、そっと目を開けると路面にはランボー(者)がいる。
彼女は、鮮やかに青い自転車に乗って笑ってる…昔みたいに。
自分で逝えょ、と僕が背中を押す前に、彼女は泣きながら階段を駆け下りてる。
な?コレがアキバのヲタクってモンだ。いつだって僕達はこの国の希望なのさ。
おしまい
今回は、ロシア、中国のヲタク女スパイに国際情勢の流れの中でそれぞれ参戦してもらった他、かつて援交シンジケートの副マダムとして登場させた女ヲタクにもペイメント会社の社長としてカムバックしてもらいました。
リサーチしたネタとその時々の時事ネタを未消化にならない程度に盛り込む展開を実験中です。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。