8話 必要なのは…
慌しく美鈴は廊下を駆ける。皆がいる部屋に辿り着くと息を切らしながら口にした。
「み、みなさん…妹様が帰ってきましたよ!」
美鈴の後ろに続くようにフランとナッキーが姿を現した。ナッキーはフランの背中を軽く押してレミリアの元へと歩み寄せた。フランは一呼吸おいてから淡々と語りだした。
「お姉様、さっきはごめんなさい…また私の我儘でお姉様を困らせちゃった。いつもこんなだから私の事嫌いになったよね?」
最後の一言は震えた声だった。フランも自分の本心には薄々気づいていた。いや、気づいてないふりをしていた。でもフランは決意した。一歩踏み出すために。そんなフランを見たレミリアは自分の手をそっとフランの頰に当てた。
「フラン、私こそごめんなさい…私は貴女をずっと子供だと思ってた。でも、いつの間にか立派な大人になってたのね。私は姉として失格ね…でも私は貴女のことが大好きよ」
どうやら成長したフランを見てレミリアも感化されたようだ。意地を捨て自分の非を認めたレミリアもまた成長を遂げたのだ。するとフランは涙を零しながらレミリアに抱きついた。
「そんなことないよ、お姉様はとっても素敵で私の憧れのお姉様よ!」
その言葉を聞いたレミリアは嬉しそうな顔をしてフランの頭を撫でていた。そんな二人の様子を見ていたナッキーは「一件落着かな…」と呟き安堵の表情を浮かべていた。魔理沙からはどうやってフランを説得したのかと聞かれたが、説明するのが面倒だったのかお茶を濁す様にして誤魔化していた。
その場に落ち着きが戻るとレミリアは本来の目的を果たすべくナッキーとの対談を始めた。内容は最近幻想郷に現れた巨大生物の事である。レミリアはナッキーがその巨大生物の調査していることを知りその情報提供を求めた。ナッキーがどう説明しようか悩んでいると横から霊夢が割り込み…
「ねぇレミリア、あんたらの姉妹喧嘩に巻き込まれてこのままだと草臥れ損なのよねー。だ・か・ら〜」
「まったく、貴女は抜け目ないわね…咲夜、ディナーの準備をしなさい」
咲夜は一礼してその場から姿を消した。それにしても霊夢はちゃっかりした奴だなと改めて思わされた。