3話 ナッキー・メルーサ
その男はフードを被っていて表情を伺えなかったが霊夢はその男から溢れ出る気を感じとっていた。もしかするとこの男は自分と同等、もしくはそれ以上の力を持っているかもしれないと霊夢は予測していた。男は口を開き、
「今すぐ怪我人を連れてここを離れな」
霊夢は自分も残り戦おうとするが身動きがとれない魔理沙が巻き込まれる可能性を予期してその場を離れることにした。
「あと、そこの天狗も仲間連れてここを離れな」
「いいえ、これは私たち妖怪の問題です。人間の手を借りるなど以ての外です」
「俺だってあいつを倒さなきゃいけないんだよ」
「そんな私情知ったこっちゃないです!」
二人がそんなことを言い合っているとトカゲが起き上がりこちらを睨みつけてけた。
「わかりました。ならば、早い者勝ちならどうですか?」
「あぁ、望むところだ」
そして、二人とトカゲの戦いの火蓋が切って落とされた。
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「で、魔理沙具合はどうかしら?」
「大丈夫、とは言い難いな。というか…ここどこだ?」
魔理沙は少し記憶が飛んでいたようだがしばらくすると何かを思い出したような表情を見せ、
「そうだ!あのトカゲはどうなったんだ!」
「あんたが気絶したあとに変な男が現れて倒してたわ」
「男?幻想郷にそんな奴いたっけか?」
霊夢もその事について疑問を抱いているようだった。
「で、ここは一体何処なんだ?」
「それについては俺から説明しよう」
声の聞こえた方を向くと一人の男が椅子に座っていた。その男は銀髪のアシンメトリーに黄色の瞳、灰色のフード付きコートを身に纏っていて背丈は170cm程度であった。
「まさか、トカゲを退治した男ってのはお前なのか!?」
「その通りだ。ちなみにここは俺の家だ」
「そして看病したのが私よ!」
「へぇー…そうなのかー」
「感謝ぐらいしなさい」
少し怒った様子を見せ霊夢は魔理沙の頬をつねった。
「そう言えばあなたの名前聞いてなかったわね」
「おっと、忘れてた…俺はナッキー・メルーサというものだ。生物学者兼魔導士をしている」
「お前も魔法を使えるのか?」
「多少はな…でもメインは生物学者の方だからな」
その後、霊夢と魔理沙も自己紹介を済ませてナッキーからトカゲ退治の経緯を聞き出した。話によればナッキーは生態調査のサンプル回収の際に偶然にもあの大トカゲを見つけサンプルにしようとしたらしい。すると、霊夢が唐突に…
「ねぇナッキー、私と勝負してみない?私は純粋にあなたの強さに興味があるの」
「そいつは面白い。受けて経とうじゃないか」
「それじゃあ一週間後に魔法の森で待ってるわよ」
斯くして勝負をする事になった霊夢とナッキー、はたして勝利はどちらの手に…
「…また蚊帳の外なんだが」
意外と疲れる執筆活動w