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数学だって役に立つ  作者: ウサギ
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1.序章03



とにかくリリアーネに弱いとお墨付きをもらった悠は騎士団とともに訓練を受けることになった。リリアーネの剣の下手さを目の当たりにしたので、彼女にも一緒に特訓を受けるよう言ったのだが、召喚術で戦ってるからいいと断られた。なおさらなぜ不馴れな剣で悠を試そうとしたのだろうか、謎が深まった。


リリアーネに連れられて騎士団のもとに行く。道行く人がこちらを敬意のこもった眼差しで見つめてきた。

もしかしてもう、人々に俺が勇者だとばれてしまったのか。と悠はにやにやしながら歩いて行った。


「悠さん、随分嬉しそうですね。私の隣を光栄にも歩けているんですものね」


「何でそうなる?俺はただ町の人の歓迎ムードが嬉しくて」


と悠が言った瞬間、周りがざわめき、なかには悠に敵意を含んだ視線を向けるものもいた。


「リリアーネ様に口答えしたぞ!」

「なんて失礼なのかしら、あの若者は」

「リリアーネ様にありがたくも、言葉をかけていただいたというのに」


人々が敬意を払っていたのは悠ではなくリリアーネだった。


「いいですのよ、私は寛大だから赦しますわ」


「さすがリリアーネ様!」

「お心が広い」


「悠さん、分かります?私はこの国の権威ある神官長です。失礼な発言は慎んでくださいね」


リリアーネがただの天然で剣もろくに扱えないことを教えたい思いに駆られながら、後を付いて行った。









騎士団の駐屯所とおぼしき建物に着いた。リリアーネが顔を見せると騎士団員は最敬礼をし、奥から騎士団長が飛び出してきた。美人の女剣士を期待したが、やはりと言うべきか、壮年の強そうな男性が出てきた。


「これはこれはリリアーネ様、わざわざ御労足を賜りまして」


「いいのよ、レオン。お願いしているのは私ですから。こちらが特訓をお願いしたい勇者の卵ですわ」


「悠と申します。よろしくお願いします」



顔合わせがすむとリリアーネはさっさと神殿に帰ってしまった。悠は騎士団員とともに走り込みや素振り、模擬戦などをこなした。


「なあ、ユウよ…」


「どうしました、団長?」


「なんというか、もう少しなんとかならないのか?剣筋も悪くはない。下級の魔物に対してなら十分戦えるだろう。しかし、体力とかがなぁ」


そうは言われても悠は勇者どころか剣士でもない。ステータスががた落ちしたことからも分かるように、身体的な限界があった。剣士の時の記憶を頼りにそれなりに剣は使えるもののそれ以上は無理だった。言外にこれ以上強くはならないと言われてるようだった。


「数学者にもグラハムさんみたいにムキムキの人もいるのになー」


悠は製作者の数学者に対する間違った思い込みを悲しむのだった。

ちなみに、グラハムとは証明に世界一大きな数を用いた人でそれでギネス記録を持っている。彼の名前を冠したグラハム数はG_64なのだが、紙に書き出せないほど大きい数である。具体的に言うと↑(タワー)を使う。↑は肩に乗っている指数の数を示す。さらに

3↑↑2=3の3乗=3^3=27

3↑↑3=3の3乗の3乗=3^(3^3)=7625597484987

3↑↑4=3の3乗の3乗の3乗=3^(3^(3^3))=3.6兆桁ぐらいの数

3↑↑↑3=3↑↑3↑↑3↑↑3=3↑↑(3↑↑(3↑↑1))=3の肩に約7兆の3が乗ってる

=3^(3^(3^(3…)))

3↑↑↑4=3↑↑3↑↑3↑↑3↑↑3

3↑↑↑5=3↑↑3↑↑3↑↑3↑↑3↑↑3

として定めていって、

G_1=3↑↑↑↑3

G_2=3↑…↑3 (↑はG_1個)

G_3=3↑…↑3 (↑はG_2個)

という表記法を用いて、G_64がグラハム数になる。



悠がグラハムの偉大さに想いを馳せていると、レオンは何か思い付いたように言った。


「勇者というからには何か光るものがあるだろうし、もしかしたら魔法の方が得意なのかもな。魔導師のギルドに行ってみたらどうだ?」



魔法が使えるなんてロマンじゃないか!そう思った悠はレオンの言うことに従うことにした。



グラハム数の所にミスがあったため修正しました。すいません。


ちなみに、グラハム数の表記法は一意でなく、wik 等では、G_1をG(4)と書き、G_64をG^64(4)と書いています。

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