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諦めたのに諦められなかった  作者: 竜乃
前世
1/5

プロローグ

俺は今、レジスタンスから姫を連れて城の中を逃げている

どうやらレジスタンス側に寝返った者もいるようであっという間に城は制圧されてしまった

T字路に差し掛かり、さてどちらに曲がろうかと思っていると

「もういいです!私が捕まればいいのです!あなたまで捕まる必要はありませんから私を置いて逃げて下さい!あなた1人ならこの城から逃げることも容易いでしょう?」

などと姫はふざけた事を抜かしているので舌打ちしつつ

「ばか!俺が1人で逃げ仰せた所でなんの意味もないんだよ!お前が居るから逃げる意味があるんだよ!」

と言うと

「こんな時に何言ってるんですか…告白ですかそうですか結婚しま」

「お前が何言ってんだ!」

姫の言葉を遮り言ったのと前の2つの道から大量のレジスタンスが押し寄せて来たのはほぼ同時だった

「やっと追い詰めましたよ近衛兵団副団長ドラウ」

そこに現れた者を見て道理でこんなに早く制圧されてしまったんだなと妙に納得してしまった

「なるほどな、貴様がレジスタンス側にいたか英雄殿」

「なに、間違いを正すのは勇者の義務だからね」

これはまずいなとてもまずい、何となく分かってはいたが最悪だ

「なぁ姫」

「なんですか?と言うかさっきからお前とか姫とかちゃんとマイスイートハニーと呼んで下さる?」

「そんな呼び方した記憶はねーよ!」

こんな時だというのにまるで夫婦漫才のような話をしてしまっていると

「なぁもういいかな?」

「あっはい」

勇者が苛付きながら聞いてきたので少し押されつつ返答した

「ところでどうだ?ここで俺達を見逃すつもりはないか?」

「そうすると思うか?」

「優しい優しい勇者様ならそうしてくれるんだろう?」

勇者が呆れ気味に

「君はそんなに僕が優しいと思っていてくれたのか?だったら悪いが甘さは捨てると決めていてね」

「ならば仕方ない…これを見ろ!」

「は?」

そこにはパンツ………そう!パンツである!

「全く誰だろうなこんなにいやらしい黒パンツを履いているド変態は」

そして勇者の目が驚愕に見開かれる、そして羞恥によって真っ赤な顔になる

「貴様殺す!いつ盗んだ貴様!」

「まったく酷い言いがかりだな」

やれやれと呆れ顔をしつつ答える

「昨晩少しレンタルしただけだよ」

「人に言わず借りるのはレンタルとは言わん!と言うか言われても貸すか!」

よしよし時間はこれで稼げたから後は魔法を唱えるだけだと思いながら姫の方を振り向くと…そこには鬼がいた

「ねぇ…なんで人のパンツなんて盗むんですか?私が迫っても一度も手を出してこなかったのに」

「落ち着け!これにはちゃんと理由があひぎゃぁぁぁぁあ!」

おかしい俺は姫を助けるために時間稼ぎをしていたはずなのにその姫のアイアンクローによって頭蓋が砕かれそうになっている

「ほんとに勘弁してください死んでしまいます!」

全く力が弱まる気配が無いので最終手段を使うことにしてさっさと魔法を唱えようか

「離してくれなきゃ嫌いになっちゃうかもなー」

ボソリと呟いた言葉でもよく聞こえたらしくパッと手が離れ

「そんなごめんなさい許して何でもするからお願い嫌いにならないで」

「うんうん姫はちゃんと謝れるもんなそういう子は好きだよ」

「本当?」

「ほんとほんと…さてじゃあこんなところ脱出しようか」

「はい!」

姫の鬼の形相に怯んでいたレジスタンスの人達も今の言葉にハッとしてこちらに突っ込んできた

が、それよりも先に俺の魔法が発動する

「テレポ!」

そしてその場から姫だけが消えた

「「「「えっ」」」」

レジスタンス達はあと一歩で逃げられたと思い悔しい顔をしていたがそれは驚愕に変わった

「貴様、どういうつもりだ?」

勇者殿改め勇者ちゃんが聞いてきた

「どういうつもりも何も俺の魔力じゃ人二人をワープさせるなんてできやしないからな」

「そうか…そうだったな確かにお前は落ちこぼれだったな」

「あぁ…そうだな…」

「ではお前を拷問にでもかけて姫の居場所を聞き出すとしようか」

「あー俺、勇者の胸に挟まれるのが一番怖いなー」

「そうかそうかそんなに惨くされたいのか」

「いやん勇者ちゃんたら大胆」

「勇者ちゃん言うな」

ジリジリと勇者が距離を詰めてくる。さっきので魔力はほぼ使い切ってしまったし少し余計に魔力を使わなければならなかった

前後は囲まれたし目の前には勇者がいる。この状況はどうにもならないな。俺は拷問に耐える自信無いし自白魔法使われたら姫の居場所はばれてしまうだろう

「残念だよドラウ、君のように優秀な人間が帝国側に付いてしまったのが残念でならない」

「俺は国に仕えているんじゃない姫に仕えているんでね」

やはりこの手しか無いらしい

「じゃあな勇者ちゃん来世でまた会えるといいな」

「何をするつもりだ!」

もう魔力は尽きているし勇者には勝てないだろうからこれしかないのだ

「オリ・カース 」

唱えた瞬間ぷっつりと意識が途切れた


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