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掌編小説集5 (201話~250話)

食べられる魚

作者: 蹴沢缶九郎

海釣りに来ている一人の男。食わず嫌いから、それまで魚を一度も食べた事がなく、このままでは駄目だと、自身の食わず嫌いを克服する為に魚を釣って食べようと海に来たのだった。

だが、成果は(かんば)しくなく、魚は一匹も釣れず坊主状態。そろそろ諦めて帰ろうとした所で、男の釣竿に手応えがあった。男は急いでリールを巻き、見事、その日初の獲物となる魚を釣り上げた。

しかし、釣った魚を見た男は、がっかりした様子でせっかくの獲物を海に逃がした。


「あの魚は駄目だ。毒を持っているので、とてもじゃないが食えない」


男は釣りを再開し、しばらくして、再び釣竿に手応えを感じ、魚を釣り上げる。だが、先程と同様、魚を見た男はがっくりと項垂れ、魚を海に逃がす。


「あの魚は駄目だ。骨が多いと聞いた事がある。とてもじゃないが食えない」


三度釣りを始め、そこで釣り上げた魚もやはり同様だった。


「あの魚は駄目だ。絶滅危惧種の魚など、とてもじゃないが食えない」


これで最後と釣りを続け、そこで釣れた魚を見た男は、それまでとは打って代わり、喜びに満ちた表情で言った。


「やったぞ!! この魚は無毒で骨も少なく、絶滅危惧種でもない。これなら食えるぞ!!」


男は、さっそく釣った魚を持って帰り、調理して食べた。今までの自分の食わず嫌いは何だったのかと思える程、味はとても美味しく、それだけ自分で釣った魚は格別という事なのだろう。


だが、それから数時間後、男は急に苦しみだし、救急車で病院へと運ばれ、生死の境をさ迷うが、なんとか一命をとりとめた。


重度の魚アレルギーだったのだ…。

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