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1.朱(あけ)にたゆとう、黄昏の星。
それは、むかしむかしのお話。
まだ人が星から運命を導き出していた時代。
星は世界の運命と共にあり、人は星の廻りを読み解き、未来を占った。
それは長い時、変わることのない平穏をもたらしていた。
しかし。
太陽が輝く空に、それは現れた。
――そう、昼間でも消えない小さな星が西の空にあったのだ。
白銀の光に包まれ、伝説にある竜と同じ尾を持つそれは「白き翼の蛇」と呼ばれた。
「不吉な……このままでは我が帝国に厄災が」
六分儀を用い空を占う予言者は、そうつぶやいた。