レッツ転生
「おめでとうございます!あなたは死にました!」
え?
「申し遅れました!私は最高神!厳正なる選別の結果、あなたはここから第二の人生を、別の世界で歩むことが出来るのです!」
ん?
「うれしいでしょう?!」
「あのー、ああ、あ、あのー」
「はい?!どないしましたか?!」
「一旦情報を整理する時間が欲しいかもです」
「いいよ!」
―数時間前―
俺の名前は天野神助
ごく普通の男子高校生だ。突然だが、今日は人生最高の日である。なぜなら、今日は推しの水面アクアちゃんの握手会なのである。それなのに、スリップして突っ込んでくるトラックに気付けず・・・
「というわけで、あなたは死にました!おめでとうございます!」
「おめでとうはやめてくださいよ、てか俺これからどうすればいいんですか」
「あなたは異世界の人々と同じように、スキルを持って転生します!人間がここにいられる時間は限られているから、ちょっと待っててね!・・・スキル<宝物庫>!」
なんだ?空気が歪んだ?神と名乗る女の体が、黄金色に光輝き、やがてその輝きが、一か所に集まっていく。
「はい出来たよ!どうぞ!」
そして、その光が俺の体の中へ入っていく。
「良し!え~とね!君のスキルは~<複製>だって!なになに~?他者のスキルをコピー出来る、スキルは他人からコピーしたその強さのまま変化しない・・・だって!」
「複製・・・強いスキルの人に使って自分もサクッと強くなれる・・・みたいな感じですかね?」
「そゆことだね!」
「なるほど、ちなみに使う時ってどんな感じでやったら?先に練習しておいた方が楽そうですし」
「そうだね!ん~とね、こう・・・腹にグッと!拳をガッと!やる感じで!」
「こう?!ん?ん~こう!」
「そうじゃなくて~、こうやってこう!」
「うぉ~~!こう!」
<スキル発動 対象スキル 全知全能 対象者 最高神ワールド>
なんだ?なにか目の前に文字が出てきた
<複製を開始しますか? →YES NO>
こんな感じでスキルを使えばいいのか。まあ練習だし、取り敢えずYESで。
<複製開始>
「どう?!できた?!」
「はい、なんか複製しますか?って言われて、YESって答えたんですけど・・・本番もこんな感じでやればいいんですよね?」
そう言うと、さっきまでヘラヘラしていた神の顔から、笑みが消えた。
「ん?!あたしのスキルを・・・コピーしちゃったの?!」
<複製完了>
「あ、完了って出てきた、え?はい、あ、なんか駄目でした?」
「ダメではないけど・・・いやダメだよ!それ、もう一生そのままだよ!そのまま異世界に行っちゃったら・・・」
「え、やめてくださいよ、そんな、具体的にどうダメなんですか?教えてくださいよ」
「だからね!私のスキルがそのまま人間界に行っちゃうと調律とか因果とかがヤバいんだよ~!」
「本当にダメそうなヤツじゃないですか!なんか、どうすれば、え~と・・・、あ!返す、返します、いらないです、取ってください!」
「どうしようどうしよう!このままだとあたし、怒られちゃう!」
「おおお落ち着いてくださいよ!神様パワーでどうにか・・・あれ?!体が、なんか、消えていきますよ!なんすかこれ!?」
「あ!時間のことすっかり忘れてた!待って待って!あ、あ~~~!」
「うわ~~~~~!」
ハッ!なんだったんだ今のは。あ、そうだ、夢だ。夢を見ていたんだ。そうに違いない。きっとこの森で居眠りをしていたら、夢を・・・
そこには、中に目玉が浮かんでいる水色の球体がいた。
「スライムか!本物見たの初めて・・・てことは、現実か、あれもこれも」
にしても、最高神の奴、あんなタイミングで言われたって、こっちにも順序って物があって、そんなすぐに対応できるわけじゃなあああああ痛てえええええええ!!!
なんだ?!痛みのする右手を見ると、俺の手がスライムに溶かされて皮膚の下や血管が丸見えになっている。
痛い。嫌だ。嫌だ。痛い。
死にたくない
<スキル全知全能 発動 スキル宝物庫 解放 スキル滅亡 発動>
「ああああああああああああああ!」
ハッ!なんだったんだ今のは。あ、そうだ、夢だ。夢を見ていたんだ。そうに違いない。きっとこの森で居眠りをしていたら、夢を・・・森は?
これは後に、聖魔人類史799年 魔人種の森消失事件として、子供たちが勉強することになる。
「・・・これどうしよう」
これは、この男が、世界から不本意ながらに恐れられ、幸せに暮らすことを目標とする物語である。




