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「けっきょくわたし、しろくまさん3体たおしただけでしたぁ」
《もはやアニメーションの世界です。わたしも所々動作が追えていませんでしたし、魔石モードが間に合わなかった個体が数体。いくら格下の魔獣とは言ってもなんですかそれは。理不尽です》
「なに怒ってるの、意味わかんねーぞ。次はもっと数増やしてくれ~。調子がノッてきた所でおわっちゃうんだよ」
《フッ、わかりました。さぁルル!次は50体一気です。やっておしまいっ!》
「それ悪役のセリフだぞ。おっとポップしたな、いくっ!」
《50体をあっさり殲滅ですか。囲まれても全く平気なように見えましたが、魔素視で全体を見てたんですね。マスターと魔素視界を共有して実感しました。そしておそらくなんですが次の動きが見えていますね。しかも複数同時にです》
「ああそうだな。この技とは相性がいいと感じてるよ。ということはたぶんだけどAGIと相乗効果があるのかな?複数の動きを予想した上で一番早く楽に攻撃できて、敵同士が互いに邪魔になるような位置取りを意識してた」
《私の観測では追いつけませんでしたので断言はできませんが、AGIとINTの2つに相乗効果があると推定します。もう助言などもできない領域にマスターが行ってしまいました。これではいけません。わたしも精進しないと》
「確かに今の戦闘は自分でも悪くなかったと思う。オレは戦闘以外でいいとこ見せられないからね。さて、次は何するかね」
《ただいまの集団戦でD級魔石65個。私の調査では1個あたり銀貨20枚なので金貨130枚相当です。完了ですね。次は8層調査における約束、1000体あたりのドロップ率調査です。このためにF級魔石が400個程度必要ですね》
「グレイウルフ400は正直やりたくねーな。めんどくさい」
《経験値や神の力的にも非効率で避けたいのです。しかしちょうどいい実験があります。ルルの新能力である魔石作成を試すチャンスです。ルル、F級魔石を生産してみてください。神の力の消費量や時間などを計ります》
「F級って8層で落とすヤツにゃ?何個にゃ?」
《そうです・・・ひとまず10個ですね。その前にマスター、全回復法をしてルルに供給を》
《F級10個を生産して測定しました。現在マスターのレベルは43、魔素容量表記で6273です。これをそのままF級魔石にすると約314万個。もしC2級が生産できるとしたら約10個に相当します。すごい格差です。魔獣変換すればそれぞれその9倍。もう笑うしかありませんね。
ルル、400個、いえ、ダミー含めて405個生産してください。失礼、先ほどの10個があるので395個で結構です》
「力はあまりつかわにゃいけど、数が多くて面倒なのにゃ」
《文句は言わない。キリキリ働きなさい。ミューズは休憩しつつ水分を皆に配って。それが終わったら背負い袋と巾着を魔石のために準備してください。マスターは引き続き全回復法です》
「やれやれ・・・やりますか。あそうだ。話は変わるけど回復しながら会話できるか練習で試してみたいな。みなちょっと雑談に付き合ってくれ」
「はぃは~ぃ!ミューズが!そばにいます」
「いや、みんなね。ミューズも含めてね」
「しくしく・・・」
「アイ、時間を計ってくれ。おっけー?よし。じゃーなにを話そうかな。新人の幼女ルルのことにしようか。ってゆうか同じルルだとややこしいな。幼女ルルを別の名前にする?もともと愛称だったよな」
《アルルとしましょう。アルタエゴルル、意味はもう一人のルルです》
「またアイに命名権とられたよ。くやしいけどいい名前!みとめるっ。アルルはレベルとか上げた方がいいのかな?」
「まずアルルとボクは基本同じにゃ。上がらにゃいし意味ないにゃ」
「ほほう~意外だな。強いとか弱いとかないのかな?」
「ルルとアルルはそのままでかわぃぃからいいのですぅ。かわいいはさいきょーなのですぅ」
「戦闘能力のことかにゃ?ボクは魔獣を討伐しちゃいけないにゃ。愛でるだけにゃ」
「あっなんかそういう設定あったね。神が魔獣変換できないルールだったよな。たしかにそれが許されてたらマッチポンプすぎる。ってゆうか愛でてるんだ、ここで?一人で?」
「うるさいにゃ」
《魔獣以外はどうですか。人や動物では》
「人にもできるだけ干渉しないようにしてるにゃ」
《つまりできるんですね?》
「・・・アイさんはこわいにゃ~。ボクの得意分野は精神への干渉にゃ」
《アルルもルルも両方ですね?わかりました覚えておきます。もちろんみだりに使わせたりしませんので安心してください》
「世界一安心できない言葉にゃ~」
「はげしくさんせいするのですぅ~」
「へ~意外だったな。物理的な攻撃はそうでもないってことか。レベルが上がらないってどういう意味?」
「説明はむずかしいにゃ~、アイさん頼むにゃり」
《わかりました。ルルかアルルはマスターに触れてください》
《これは・・・難解ですね。意訳するしかないのでそうしましょう。
幼女ルルは黒ネコルルにつながっていてレベルつまり魔素容量としては共通です。そして神はどれだけでも魔素=神の力=エネルギーを受け取れるので容量は無限大で不変です。レベルで言えば最初から無限大で最強に見えますがそうではなく、その器をどれほど満たせているかが要のようです。
その器を満たすと強くなるのですが、私たちの言う物理的な強さ方向ではなく能力=できることが多くなるということのようですね。いままでよく言っていた神格が上がる、です。
うまく説明できてませんがこれが限界でしょう。神の概念はひどく複雑です》
「それでもうまく話してるにゃ、すごいにゃ」
「オレもなんとな~くだけどわかったぜ、さんきゅー」
「・・・しくしく」
「気にすんなミューズ。ミューズってさ、別に理解力がないわけじゃないよな。たぶん漢字とか難しい言い回しに忌避感があるんじゃねーかな。理解しないようにしてる気がする。ただそれだけのことさ」
「ふぇ~ん、りくさまぁ・・・ダイスキッ!」
「へへっ、照れるぜ。ルル、精神に干渉ってどんなんあるの?」
「どうしても必要になったら話すにゃ」
「んーまぁそうだな。じゃー次なに話そうかな」
《マスター、待ってください。ミューズ、休憩は終わりにして8層のマップを清書してください。もちろん話しながらでいいですよ。課長補佐からもらってきた紙と書く物を用意して広げて、そう、VR下書きするのでそれをなぞる様に》
「今日全部できちゃいそうだな。話を変えてみようか。フィールド階層だけど、この最下層をフィールド型にしたいと考えているんだ。どんなフィールドがいい?」
「ぽかぽかぬくぬくしてるぅ~やさしい感じの~」
「四季がほしいにゃ」
「アルル、おさかな見てみたいにゃ」
「お~みんな興味津々か?わかる。オレも希望がある。水辺のキャンプ!クソでっかいテント!」
「ぇ~リクさまがキャンプぅ~?いがい~なのです」
「いまのとこ全員矛盾してないな?四季があって水辺でキャンプ釣りしてテントの中でぬくぬく。アイは?」
《その前にまずフィールド階層の仕様をよく確かめた方がいいでしょう》
「あ、はい」
《ルル、協力を》
「にゃ~アイさんにおまかせにゃ~」
《手を抜きすぎです。完全に味をしめましたね。よろしい、少し時間を》
《皆さん、お待たせしました。マスター、回復完了までの時間40分です》
「ふむふむ、後半少し集中しちゃったがあれくらい雑談して40分なら許容範囲だな」
《フィールド階層のおおよその仕様は掴めました。かなりの融通が利きますね。想像力に従ってその通りの物ができるみたいです。ただし拘ればその分費用が爆上げです。フルカスタムで100億の単位ですので現実的には無理です》
「マジか~。交換品もそうだけどポイント高すぎだよなぁ。萎えるぜ。いやここで燃えあがるのがテンプレなのか?だめだだめだ無理だろ。なんか方法考えようぜ」
「りくさまっ!ミューズがここに泊まってひたすら魔獣を倒しますぅ~」
「ぜったいだめ~。そういうがんばり方は認めませーん。それにすぐ枯れて魔獣呼び出せなくなるだろ」
「あぅぅ」
《ミューズの言葉で思いついた事があるのですが、これもマスターのお気には召さないかもしれませんね》
「ま、言うだけどうぞ」
《魔素増幅と魔素活性化、つまり全回復法を使用したマスターを10層でたくさんコピーする。ここで3直2交代シフトで一日中魔素の生産をしt》
「ぜ っ た い に ダ メ」
《ですね》
「むしろわかっていただろ?なんで言ったんだ」
「たぶんボクのためにゃ」
「はっ?どゆこと」
「オマエ達とネコの姿で一緒に過ごした一週間、なんだかおもしろかったにゃ。人型ができるようになってボク本体はここにいるのが間違いなくいいことにゃ」
あ~そうかそうか。ルルにしては歯切れが悪い言い方だし文のつながりもおかしい。いつも結論だけなのにな。だからこそなんとなくわかったよ、全部言わなくてもね。
「500年ここで一人で過ごすのは全然苦じゃなかったにゃ。アイさんはシステムの中にもいるし、高速で意志疎通をしてるうちになんとなく気持ちを読まれた気がするにゃ」
「もうわかった!みなまで言うな!」
「ルル~~ぅ、もうずっと抱いててあげるのです~」
「あ、それはリクにおねがいするにゃ」
「ガーーーン」




