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「課長補佐、かわいそうだったな~。これで全然キールに人が集まらなかったり話題にならなかったら、もう課長と顔あわせられないじゃん。あれれ?おいおい、こっちも心配になってきたぞ」



《なにをいまさらですよ。同じ穴の(ムジナ)なのです。課長補佐のお尻に火をつけておいて対岸の火事だと見ている場合じゃありません。マスターも必死に動いて現実にすればいいのです》


「火をつけたのアイじゃん。完全に観客気分だったよ!なんでオレまで」



 軽く言い争いをしながらのダンジョンからの帰り道。気が付くと黒ネコルルがいた。



「お~さっそくか。ちょっとそこの路地裏で変身するかね。今日はホテルに泊まって明日斡旋所でいいんだよな、アイ?」


《そうです。大神の申し出なので即日対応。明日には身分証が提供されるみたいですよ。ルルが言ってます。超VIPの身分証らしいですよ。明日が楽しみですね、フフ》


「この件で主神さまにお会いしたにゃ。リクのことものすご~~い聞かれたにゃ。できるかぎり誤魔化したけどいろいろバレてるにゃ」


「主神さまねぇ。まぁいつか会うこともあるかもね」



 そうこう言っているうちに幼女ルルに入れ替え完了。ホテルに到着だ。ルルがやって欲しがったのでおんぶしてあげてる。そのままロビーに。



「ど、どうもただいまです。アハ、アハハ」


「これはまた・・おかえりなさいませリク様。ご宿泊人数を増やされますか?」


「あ~はい。部屋は同じでベッドだけ増やせますか?もちろん料金は払いますので」


「対応させて頂きます。前回と同じようにロビーで少々お待ちください。いま飲み物をお持ちします。本日のお湯の用意はどうされますか?」


「あ、お願いします」


「かしこまりました。では同時に準備いたします。お嬢様のお名前をうかがっても?」


「ルルにゃ」


「ルル様ですね。失礼ですが一般のお子様ではないとお見受けいたします。何か特別なご要望があればどうぞお気軽にこの受け付けへお申し付けください。

 実は斡旋所の方から多少お話しは聞いております。明日以降で結構ですので身分証のご提示をお願いします」


「ルルわかったにゃ~」



 この受け付けはいったいどこまで何を理解しているのか。全然わからないのでとりあえずアハハと笑ってお茶を濁しておいた。3人で椅子に腰かけ飲み物を啜る。



「ルルはソレ普通に飲んでるけど、飲み食いは平気なの?」


「ルルいけるにゃっ」


《ミューズと同じですね。食べられますし飲めます。違うのは成形済魔石は吸えないようです。最下層なら雰囲気から吸収補給できるみたいです》


「黒ネコもかわぃぃけど、おんなのこが小さい両手でおおきなコップを持って飲むのスゴイくるぅ~」


「また変なのに目覚めたのか、ほどほどにしとけよ~。明日はまた朝イチから動くから今日はよく休もうな」







 次の日の朝。朝メシに出た果実系のジャムを口にしたルルは、それが痛く気に入ってしまったらしい。感動のあまり堅パンと共に限界まで詰め込んでしまったようだ。気分が悪くなって身動きが取れなくなっている。そんなウマかったのか。

 仕方がないのでルルを抱いたまま斡旋所に向かっている。オレはルルを左手で抱え、ルルはオレの首に両手を回して掴まりながら頭をオレの左肩に乗せて休んでいる。おい、頼むから吐くなよ?

 斡旋所に着く直前。アイが軽く警戒を促す。



《いつもよりロビーに人が集まっていますね。人の配置もおかしい。想像はつきますのでこのまま向かいましょう》



 おそらくアイの想像の通りなんだろう。ロビーにはいわゆる上の方々が集っていた。これがVIPって意味だったのかな。上位職制の人間しかいないっぽいな。いつもの職員さんたちがほとんどいない。仲良くしてくれる受け付けのリオラさんは居る。この人何気に権力のある人なのかも。そして幹事長が仰々しく挨拶をして奥の貴賓室へ案内している。

 この幹事長は見覚えがある。正確に言うと()()()()()にだ。過去に少し因縁があって今の幹事長に昇格するのに関わった。相手はそのことを知らないけどね。

 貴賓室で手続きをして身分証等をもらう。オレ達の関係をやたらと聞きたがったが、ルルがうるさいにゃ~もう行くにゃと言って場を凍らせていた。

 あまりにかわいそうだったし、無理を通したのはこっちなのでこう言っておいた。



「なにかあればいつもの宿に伝言を残してもらえるといいです。基本的に宿はかえません。出来る限り対応します」



 オレ達は早々に退散してダンジョンへと向かった。







「こんにちは。お疲れさまです。リクですけど課長補佐さん呼んd・・うわっ」



 気が付けば背後に課長補佐さんがひっそりと立っていた。顔は蒼白だし頬はげっそりとしているし髭も伸び放題だ。徹夜でもしたのかな。大丈夫かこの人。もう亡霊レベルじゃん。



「・・・リク様。昨日あれから必死にがんばりました。報告書を提出した上で施設長を引っ張って領軍に交渉してきました。明日から軍で調査を開始できます。それと今回の件の専任担当グループの新規創設を申請中です。私がひとまずのリーダーの予定です」


「おお!ご苦労様でした。これからですよ、気を引き締めて。無理してはだ・・いや多少の無理は必要です。それと今日は別件です。話が来ていると思いますが今日またパーティー加入面接です」


「・・・はい。このタイミングで恨めしいですが今回も私が担当します」


「大丈夫ですよ。流れはわかってますし相手は知人なんですよ。な?ルル」


「にゃ~」


「説明や案内は何もいりません。書類上の手続きだけなら他の人にまかせて課長補佐はやるべき事をしてください。もうすぐにダンジョンに行きますので」


「・・・念のために確認しておきますが、管理ゲート課の紹介になってます。ご理解していただいてますか」


「わかってますよ。むしろそう誘導したんですよ。何故かわかります?」


「・・・・・・・」


「例の探索者から金貨を獲ってきましたって上に報告してください。その実績と金貨で新設のグループを承認させるんですよ。新設したらもっとすごいって。いいですね?」


「・・・リク様。ルル様は超法規的対象で特別待遇の人物だと聞かされています。つまり今回の件はこの国のトップから直に降りてきているということです。あなた様のお力や影響力はどうなっているのでしょう。あなた様はいったい何者なのでしょうか」


「それぐらいすぐ調べられるような位置まで昇ってください。それより8層のマッピング用の大きな紙か羊皮紙が欲しいんですが」







 オレ達はいつもの如く最下層に移動してきている。ここは完全に人の目を気にしないでいい所だから落ち着くわ~。オレとミューズ、ルル、そして黒ネコルルまで出て来た。



「さーて、何から始めるかな」


《優先度が高い物から始めましょう。当然ルルのパーティー加入対応です。魔石モードでパパッと金貨100枚分を》


「金貨100枚をパパッてさ、よく考えると恐ろしいな」


「わ~ぃ、おかねもち~」


「いや、すぐ渡しちゃうやつだけどね」


《どの魔獣にするか少し迷いますね。いきなりC級を出しても課長補佐の手間を増やすだけでしょうし。かと言って経験値も神の力も欲しいのであまり弱すぎるE級も効率が悪い。ふむ、よろしい、L22ダンジョンベアにしましょうか。

 各自用意を。魔石モードで50体いきますよ。ミューズ、とどめは白熊だけに。ついでに乱戦の練習をします。ルル、まずは20体を呼び出してください》


「アイさんはいつでもスパルタなのですぅ~」



 いままで5体程度は同時戦闘してきたけど20体か。まぁ弱い魔獣だしなんとかなるだろう。1~2発くらっても平気だしな。う~んとAGIとDEXを意識して強化してみるか。すばやく的確にって感じだ。力はいらないよなどうせ一撃だし。


 集中して意識を高めていると20体が一気に目の前にポップした。オレは準備万端だったので即動き出す。

 まずは目の前の一番近くにいた個体だ。オレは魔獣から見てやや右側に超速度で距離を詰める。接近するオレを攻撃しようと手を振り上げてきた。もちろんそんなゆっくりな攻撃を待つなんてことはしない。スキだらけでガラ空きの右わきから魔杖を反対側へ突き刺しすぐ抜く。抜いた力と勢いを利用してオレの左にいた別の個体の胴にも穴を開ける。

 次の個体へは少し距離があったので飛び上がって近づき真上から頭部へ魔杖を振り下ろす。腕で防御したようだが全く意味ない。結果を見ないままソイツを蹴っとばしてその反動で別の個体へ跳んだ。

 跳んだ先にはうまい具合に3体固まっているのでまとめて胴を両断だ。魔杖の端を持って長く使いながらグルリと一刀。気持ちよく決まった。

 この3体より少しだけ距離のあった別の個体が3体を襲うオレを視認できたようで爪を使って背後から攻撃してくる。だがそんなヌルい攻撃が当たるハズもない。こっちは戦闘中も魔素視してるんだぜ?見えてなくても視えてるんだよ。避ける手間さえかけず、背中を向けたまま魔杖を背後に撃ちだす。喉元に大穴を開けられたまま背後にフッとんで行った。



 さぁ次はどいつだっ

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