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 わかりにくいかもしれませんが、現在の1~3層とほぼ同等の層が8~9層です。詳細を見てもらえると感じていただけると思いますが、とにかく皆を8層に導くような構成になっています。8層だけが飛び抜けて銀貨効率が良いですから。逆に言うと他の層は銀貨効率が悪く経験値効率が良くなっています。


 そして今回最大の目玉である8~9層における二分化計画です。


 これは探索者を2つのグループに振り分けるものです。8層には魔石を重視する探索者を、9層にはさらに深層を目指して強くなりたい探索者を誘引します。

 8層は魔石モードで100%、アイテムドロップの上限40%の両設定で併せて140%魔石ドロップを設定しようとしたんですが、原因不明のシステム制限がかかり上限40%に留まりました。これはルルにも解除変更不能でした。

 それでもドロップ率2倍という魔石効率なのでこの変更は国中に、いや世界中に反響を及ぼすかもしれません。他には神からの干渉もあるかもしれません。ルルは平気だと言って全く気にしていませんでしたが。

 この8層だけは階段の位置変更だけでなく広さも約2倍に改築します。領軍はここに常駐するでしょうし人気が出れば混雑してトラブルなど発生するかもしれません。


 いままでダンジョンについて学んできたことからすると、より深層に潜らせてより強い敵を倒させるのが最高効率でした。しかし現代の変化した環境ではこの8層程度を一般人の最終目標として育成し、そこで多くの人間にレベル2程度の魔獣を大量に討伐させるのが現実的な最高効率だと判断します。



《いかがでしょうか。質問なども受け付けますよ》


「・・・すごいとしか言えん。全部を理解するのに時間がかかりそうだ。つーかもうこれでいいよな?オレのキャパを越えてて理解するのが面倒だ」


「ミューズもさんせーぃ」


《ルルは寝ていますので除外して全員の同意を得られたとします。マスター、1点だけ再度の警告です。8層の反響は本当に計り知れません。予想外の事態が起きる可能性があります。それなりの覚悟を》


「わかった。オレが責任を持つ、いいぜやったれ!正直に言おうか、むしろ楽しみだよっ!」



 せっかく異世界転生したんだ。大胆不敵な挑戦があったっていいじゃないか。リスクの大小だけ計算しててもつまんねーしな!全部が全部高いリスクを取るわけじゃない。抑えるべきところは抑えるから攻めるところは思い切って攻めようぜ。

 平穏無事に生きることだけがオレの目標じゃない。楽しむことを目指したいんだ。そのために倒れる事になっても後悔しないさ。



《最後に補足事項です。現在階段のみが設置されている12~21層は通常と同等の広さの層に改築します。特別な要素は今のところ無し。スタンダードな階層になります。魔獣はボア系、ベア系、タイガー系でレベルを細かく刻んで各層に適度に配置しておきます。このあたりは1~9層の様子を見て随時変更していきましょう》


「10層は手を入れにくいのかな?」


《はい。マニュアルに明らかに反するので。変更するなら一工夫必要です》


「ざっくりまとめると1~9層は階段と魔獣調整、10層はそのまま、11~21層は標準的な物にして、22の最下層はそのまま。うん初手としては十分だ」


《はい。では今日はこれで帰りましょう。ドロップしたC2級の魔石はあきらめてくださいね》







 改築後の明日のダンジョンを楽しみにしながら部屋に戻る。夜遅くなったら改築開始だ。



《ルル、良い時間です。改築を開始してください》


「わぁ~、ぃょぃょなんですのぉ~」


「わかったにゃ・・・・・・・

 ・・!?!?・・・・・・・

 最下層に戻る必要があるみたいにゃ」


《なんでしょう。考えられそうな事は改変の規模が大きすぎた、などありますが》


「ルル、平気なのか?すぐ行って来いよ。明日になったらオレ達も向かう」


「にゃっ」



 短く答えてルルが消えていく。最下層へは瞬時に跳べるって言ってたしな。若干の不安を抱えながらも時間が遅いのですぐにベッドに入り明日に備えた。


 翌日急いでダンジョンに向かう。結局ルルは帰ってこなかったんだよ。急いで受け付けを済ませようとスタッフに話しかける。



「おはようございます。ご苦労様です。受け付けをお願いします」


「あぁリク様。丁度いいところにっ。あっ失礼しました!おはようございます」


「慌ててどうしました」


「実は・・・いえ、やっぱりお待ちください。責任者を呼んで参ります」



 バタバタしてるな。責任者とやらを呼びに奥に行ったみたいだ。ルルもいないしさすがに少し心配になってきたな。数分間受け付けのロビーで待っていると先ほど奥に入っていったスタッフが戻ってくる。



「リク様、お待たせしました。責任者はこの異常事態の対応で手が離せないようです。代わりに状況説明を私がさせていただきます。あと1時間ほどすれば課長補佐が出勤しますので以降はその者が」


「わかりました。で?」


「はい。まずはダンジョンの入り口へ」



 スタッフと連れ立ってダンジョンへの入り口の階段を降りる。異常はすぐに見えた。各階層への転移を選択できる例の境目だ。いつもは透明なのでその存在は一部の者しか認識していないが、今はその境目が真っ黒になってまるで通路を塞ぐ黒い扉の様に見える。



「つい先ほど別のスタッフがコレに気が付きました。たまたま持っていた布切れを投げつけた所、黒い部分で跳ね返りました。何か壁のような物があってダンジョンに入れない状態だと推測しています」


「・・・なるほど」


《大丈夫です。ダンジョン改築中の平常状態です。いつもは深夜に始まり、深夜に終わっているので今までは気が付かれなかったのでしょう。触れても問題ありません。ルルに確認済みです》


「触ってみますね」


「えっ、おまちを」



 オレはスタッフの言葉を無視して触ってみる。堅いな。熱くもなく冷たくもない。魔素視でも見てみたが破壊は困難そうに見える。ダンジョンの壁程度かな?無理すれば壊せそうだがそんな無体なことはしない。意味もないし。



「特に異常はありませんが破壊は無理そうです。しない方がいいとも思います。いまは様子見がいいでしょう。一旦上に戻りましょうか」



 オレはスタッフを促し受け付けまで戻る。そのスタッフは今の状況とオレの言動を他のスタッフや残りの受け付けに伝えていた。それを聞いた受け付けの数人が走り寄ってくる。



「リク様なんて事を!危険ですし迂闊すぎます。もしアナタに何かあったら私は・・・」


「大丈夫ですよ。探索者はいつも危険と隣り合わせ。コレぐらいでオレはどうにもなりません。安心してください。でも驚かせてしまったことは謝ります」



 オレは安心させるように少し微笑んで言葉を返す。駆け寄ってきた数人は顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。その内の一人が気絶して倒れてしまい別の騒ぎになったのだった。







 受け付けのロビーの端でオレは待機している。ダンジョン封鎖の解消待ちだ。まぁぶっちゃけヒマだ。この封鎖の原因はわかってるのでアレコレ騒ぐ必要は無い。ただ早く入ダンしてルルの話を聞きたい。

 まぁそれはいい。待つのはいいんだ。それよりも・・・



「ミューズさん、さっきから殺気がダダ漏れなんですが。アイさんも機嫌をなおしなさい」


「むぅーぷんぷんですぅ」


《・・・・・・・・・・》


「悪かったって、もういいだろ機嫌なおせよ。そもそも何をそんなに怒るんだよ。職員に気を遣った良い受け答えだったじゃねーか」


「りくさまにその気がなくてもぉ~、ほほえんであんな優しいコト言ったらダメなんですぅ~。誤解するのでぇ。ほかの女子にはもっとつめたくしないとダメなんですぅ~。ぜ~んぜんわかってないですの」



 ね? 困ったもんだよまったく。これはもう触れないでそっとしておく方がマシだな?うんもうそれでいいや。

 そのままおとなしく待って30分ほどが過ぎただろうか、課長補佐が慌ててやってきた。



「リク様!おはようございます。状況はお聞きいただいてますね?」


「はい。いまは待ちの一手だと思います」


「同意します。実は過去の古い文献に今回と同様の現象の記録があったのです。あの通行止めが解除されたらダンジョンが大きく改変されていたそうですよ!」


「なるほど、ありえますね」


「えっ驚かれないんですね・・・はい可能性は高いです。そこでですっ!」



 課長補佐は一度言葉を切り息を整える。なんだ?厄介事を頼まれるのか?次の言葉を待つ。



「いずれ解除された際には、このキールの一番の実力者であるリク様に中の様子を探ってきてご報告いただきたいのです」


「そんなこと当然です。もちろんやりますよ。むしろこちらにも好都合です。あ、いや探索者として好都合って意味ですよ。未知を既知に変える事こそ探索者の本分ですので」


「か、感銘を受けました。あなた様は探索者の鏡です。ぜひよろしくお願いします。今のお言葉を記録させて頂いても?」


「どうぞどうぞ。私もラノ・・師匠から学び、そして頂いた言葉ですので」





(あぶねー。うまく誤魔化せたかな。よしこれで大義名分もできたし。こっちの思惑通りの報告をして誘導もできるな。別にウソつくわけじゃないし)


「・・・・・・・」 《・・・・・・・》


(おいっ!いいかげんにしろっ)


「もぅほんとにしょうがないですねぇ~」


《悪い人ですね》


「ふぅ、ダンジョン入る前に疲れてるし。待つのも飽きたし早く開かないかなぁ~」





 それから待つ事しばし。やっと解除されたようだ。俺たちはその報告を課長補佐から受け即入ダンだ。急いで最下層へ飛ぶ。



「ルルー!いるかっ!?平気なのか」


「にゃっ」


「ってだれだオマエーーーー!!!」



 そこには猫耳の幼女が待っていた。

 YES ロリータ NO タッチ

 圧倒的テンプレの塊だった。

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