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オレの頭の中にあるアイデアたちを出していく。ただし実現可能かどうかは別に考えよう。駄目だったら別の案を出すぜ。オレがアイデアマンだってとこ見せてやる。
「階層毎のイメージと魔獣は一旦置いておくぜ。細かい検討を始めると話がそれだけになっちゃうしな。ひとまず言いたいことを言わせて欲しい。
最初は1~9層の階段の位置についてだ。階段の位置を一か所にまとめる。ダンジョン1層に入ったらすぐに階段だけで1~9のどの層にもいけるような構造。目的の魔獣にすぐに会えるぜ。
そして1~6層は単体でしか魔獣はポップしないが、7~9層は奥にいけばいくほど複数ポップしていて少人数は手前で、熟練者や大人数は奥で活動するって感じだ」
「すご~ぃですの。ほんとにテーマパークみたいですの。『会いたい魔獣に会いに行く』のところミューズすごく気に入りましたぁ。すぐにスキな子をぷちぷちできますぅ」
「お、おう、そ、そうだな。好きな子をプチプチするんだ・・・なんかミューズは間違った風に育ってしまったな?
まぁいい次だ。レンタル武器を用意したい。オレが私財で質のいいメンテ不要に近い武器防具を作る。貸し出しは管理ゲート課に一任。ただし強い武器防具は駄目だ。領軍にレンタル独占されそうだしな。『エンジョイ勢にちょうどいい』というコンセプトのモノだ」
「ぜ~たくですりくさま~。あまやしてはダメですの。アイさんなら素手でやれといいますぅ~」
《魔道具を使用する武器防具となりますよ。莫大な予算となりますが?》
「楽しむためならオレは努力を惜しまないぜ?稼いでやるよそれくらい」
「・・・カッコいいですの」
《ミューズ、冷静に聞きなさい。内容はペラッペラです。マスター、そこまでにして一度整理しましょう。表示します》
1 弱魔獣の採用
2 アイテムドロップのシステム化
3 階段の位置変更
4 武器防具のレンタル
《思い切って項目1~3で実際の改築を行ってみましょう。まだ変えたい所はあるかもしれませんが、一度にたくさんを追うとうまくいかないものです。心配は不要ですよ。変えたくなったらまた改築を追加すればいいのですから》
「・・・うん、そうだな。成功しなくたって別に損しないんだ。成功しないってことは人が来ないってことだろ、今だって領軍くらいしか人は来てないんだし。何も変わらないよな」
《では1~3は全てシステム側の調整なのでわたしに任せてください。マスター、ミューズ、ルルは全回復法からのフォレストタイガー討伐ループで神の力を稼いでおいてください。そちらに割り当てるリソースがないので魔石ドロップがあったり、経験値が無駄になる可能性はありますが今回は見逃してください》
「経験値はミューズがきをつければいいだけですの、だからがんばりますぅ」
「わかった。ご褒美ドロップ用の魔石量産もいいかと思ったが、そもそも魔石モードにならないなら仕方ないな。アイにはいつも負担をかけてすまない」
《いいえ、これがわたしの役割であり喜びなのです。それと今すぐ魔石を量産しても保管しておけないのでダンジョンに吸収されますよ。ではわたしはシステムに集中します》
残されたオレ達は話の通りに討伐を繰り返す。どうやらオレもミューズもパーティー採用試験で不完全燃焼だったようだ。討伐が楽しい!!調子に乗ったミューズが止めを刺してしまったり、魔石がドロップしたりとなかなか楽しく過ごせた。
またオレは最近モノにした戦闘中の魔素視による相手の行動の見切りによって、最小限の力と最小限の動作で討伐する遊びに興じていた。いかに動かないで倒すか?みたいなゲームで存外おもしろかった。
なんかアイだけに働かせて申し訳ない気分になったが、よく考えたら討伐だって仕事の内だよな?ちなみに魔石は旧アイの情報によるとC2級の可能性が高いらしい。銀貨60枚だそうだ。
えっ!?
金貨6枚かよ。やべーな。紫のアイツがE2級で銀貨15枚だったよな。インフレがすごい。これ魔石モードにしたらレンタル武器防具の量産代金なんてすぐやん。もうすでに一つ課題クリア!うひょっ、幸先がいいぜっ!
討伐ループを2回終えて3回目の途中でアイが帰ってきた。ひとまず3回目のループが終わるまで待ってもらい、その後で結果の報告を受けることにする。
「待たせた、アイ。討伐ループは3回できたよ。レベルも上がって43だ。魔石は全部で5個落ちたよ。旧アイ予想によればC2級だってさ」
《わたしの観測でも同じ予想結果です。魔素視なしでよく言い当てましたね。すばらしい。ただしC級の現物は初めてですのであくまで予想値です》
「旧アイさんがいってますぅ~。アイさんが最新データをいつもすぐアップしてくれているおかげだってぇ~」
《当然のことをしたまでです。この魔石は今日のところは持ち帰れませんね。ルル、ここに置いておきますが問題ありませんね?》
「ダンジョンに吸われるけど問題はないにゃ」
「ぇ~なくなっちゃうのですかぁ?」
「まぁ今日はあきらめようミューズ。ところでアイ詳しい説明をお願いするよ」
《了解です。申し訳ありませんが長くなるのでVRで壁に表示しながらとします。長い話が苦手な場合は最終的にVR表示される言葉だけ見ておいてください》
今回の課題はかなりの難敵でしたが、なんとか満足のいく形で達成できたと考えます。我ながらよくやったと自分を褒めましょう。
まずは簡単な階段の配置変更。これは支払う神の力次第なのですぐに解決しました。コストも予想より高くありませんでした。
次に討伐時のアイテムドロップです。これが一番の難敵かと思いきやこれも簡単でした。実はシステムをよく探ってみるとアイテムドロップは既に内臓されていました。上位の神々のダンジョンでは実装されているようです。
上位のダンジョンでは『特殊な魔石』がドロップするようですね。これは今お話しすると本筋から大きく外れるのでまだ伏せておきますが、とてもおもしろい事実です。マスターなら絶対に食いついて離さないでしょう。だからこそ今は隠しておきます。
とにかく既存システムを利用するだけですのでこれも解決です。
3つ目。弱い魔獣の適用。レベル1未満の魔獣もシステム的に再現はできるのですが、落とす魔石もレベルに対応した物になるので規格が存在しないほど小さな魔石になってしまうようです。便宜上小魔石と呼びます。
世の中に存在しない規格の魔石をドロップしてもすぐには利用できないのは当然です。利用できない小魔石に価値はありませんので換金もできないでしょう。社会全体に非常に小さい魔石が行き渡り、正しく規格化されれば話は違いますが今すぐは無理です。
解決法はすぐ思いつきました。頭の回転の速い人ならすぐ出てきそうですね。はい、経験値モードの活用です。
小魔石をドロップしないように経験値モードにした上で、アイテムドロップで魔石を手に入れさせるのです。これで小魔石問題を解消した上に経験値効率が2割上昇します。一石二鳥とはまさにこの事です。魔石だけに。
おやおや?課題3つ簡単にクリアです。一体何に苦労したのでしょうか。それはシステムの書き換えでした。自分たちで討伐した目の前の魔獣を経験値モードにするのは今まで何度も行ってきました。それを特定の階層全ての討伐にシステム的に適用するのが困難なのです。
泣く泣くルルに協力を要請し、少々無理矢理に書き換えを行っていたので時間がかかってしまったのでした。
1 弱魔獣の採用・・・OK
2 アイテムドロップ・・・OK
3 階段の位置変更・・・OK
《結果だけ言うならば全て達成しました。階層毎の設定は同様にVRで詳細を表示します。面倒なら読み飛ばしても構いませんよミューズ》
「わぁ、なざしされましたぁー。ぇ~ん」
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1層 レッサーラビット (L0.2)
経験値モード ソロ討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率2%
一人あたり時給 銀貨0.01枚
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2層 ラビット (L0.3)
経験値モード ソロ討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率3%
一人あたり時給 銀貨0.015枚
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3層 ホーンラビット (L0.4)
経験値モード ソロ討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率4%
一人あたり時給 銀貨0.02枚
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4層 レッサーフォックス (L0.6)
経験値モード 2人で討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率10%
一人あたり時給 銀貨0.025枚
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5層 フォックス (L0.8)
経験値モード 2人で討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率12%
一人あたり時給 銀貨0.03枚
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6層 シルバーフォックス (L1)
経験値モード 2人で討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率14%
一人あたり時給 銀貨0.035枚
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7層 ウルフ (L1.4)
経験値モード 2人で討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ G級魔石
ドロップ率24%
一人あたり時給 銀貨0.06枚
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8層 グレイウルフ (L2)
魔石モード 4人で討伐
討伐ドロップ F級魔石
ドロップ率40%
アイテムドロップ 適用不可
一人あたり時給 銀貨1.5枚
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9層 グレイウルフ (L2)
経験値モード 4人で討伐
討伐ドロップ 無し
アイテムドロップ F級魔石
ドロップ率8%
一人あたり時給 銀貨0.3枚
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現在の世界の魔石の規格は、最低がG級の1種、F~F5級の6種、E~E5級の6種、D~D8級までの9種、C~C9級までの10種、となっています。それより上の等級は情報がありません。
討伐ドロップとは魔獣を討伐した時に魔素塊(経験値)にならずに魔石になったドロップです。




