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 パーティーメンバー募集試験が無事(?)終了した。途中で試験中止したので想定よりかなり早い時間だ。ダンジョンに入って改築計画を進めようとオレ達は最下層に一気に飛んだ。



「あ~ルルがいますぅ。試験中いなかったのでさびしかったぁ~のです」


「お、ほんとだ。ルル、試験は見てたん?」


「寝てたにゃ。オマエ達以外の人間はどうでもいいにゃ」


「可能性は低いけどパーティーメンバーが増えた時は仲良くしてくれよ。それに一般人に興味がないかもだけど、ルルを育ててくれるのは一般人なんだってことは忘れちゃダメだぜ」


「500年ここにいにゅけど、その500年よりオマエ達との数日のほうが価値があるにゃ」


「オレ達も出会えてうれしいし、ここ数日で神格が上がったから気持ちはわかる。でも、なんつーかさ、う~む、、、神として?ちょっと方向性がズレてきてる気がするんだよな。あ~うまく言えないな。オレ達も大きく言えば一般人のナカマってゆうかさ~。もっと大きな範囲的な」


《哲学的な問題ゆえに言葉選びが難しいのですね。端的に言えばマスターは『神の在り方』を問うているのだと思います。

 私たちだけに依存して神格を上げる神は果たして神と言えるのでしょうか。では逆に私たち以外の人々に頼ればいいのかと言わるとそれもまた違う。もっと超越的であるべきだということ。

 マスターの考えでは特定の人々ではなく私たちを含めた人種全体、さらに言えばあらゆる生物や自然、神羅万象全てを一手に引き受け、依存ではなくてお互いに影響を与え合う関係性を持つべきではということを言いたいのです。

 ただしこれはマスターの考える『神の在り方』でありそれを是とするかどうかはまた別の問題です。特に私たちは異世界基準の思考を持つ者なのです。思想の違いは確実にあります》


「なに言ってるのかぜんぜんわかりませんですの」


「神の定義なんか興味ないにゃ~」


「・・・ふむ。オレもよくわからなくなってきた。人や神の性質なんてどこの世界でも変わらないと漠然と思ってた。どうやら違うらしい。わからないならわからないなりに皆を動かしてやるのもおもしろいかもしれない。

 よし決めたぞ。このダンジョンの改築方針についてだ。最初はこのダンジョンをどう楽しい物に変えようかとワクワクして考えてた。それはオレが楽しむためであったと思う。

 設計変更だ。オレもルルも他の皆も、そしてその他大勢の人ぜーんぶハッピーになるモノにしてやるぜっ!なんかそっちの方が楽しそうな気がする!」


「あ~りくさまの目がキラキラしてきましたよぉ~」


《やる気がみなぎってますね》



 オレはルルを抱き上げて顔と同じ高さまで持ち上げる。お互いに顔を合わせながら確認する。



「ルルのダンジョンだ。基本的にはルルの希望に沿うが、一旦オレの案を聞いてくれないか。オレがどんな風にこのダンジョンを変えたいか」


「本当にオマエ達は変わったことを考えるにゃ。異世界人の特徴にゃのか。ダンジョンなんてただマニュアルに沿って大きくすればいいだけにゃ。そもそもボクには案なんてにゃいにゃ」


「うん。いままではそうだったろうし、別に間違ってるわけじゃないと思う。ただダンジョンマニュアルはコピー劣化してるって話もあるんだろ。なら少々風変わりな改築もいいんじゃないのか?どうせ改築するなら楽しい方がいいし幸せな方がいい。どうせ同じ抱っこされるならミューズよりオレの方がいいだろ?」


「そうだにゃ~リクにまかせるにゃ」


「おいコラ、まだ案の説明してないだろ」



 会話するオレとルルのそばでミューズは膝から崩れ落ち絶望の表情を浮かべていた。



「ミューズのだっこ、いらないんだぁ・・・」







「よし聞いてくれ。オレ的ダンジョンの皆ハッピー改築の概要を説明するぜ」


「わぁ~りくさま~はくしゅ~パチパチ」


《ネーミングが死んでいますがコンセプトには期待しています》



 最下層の部屋でオレがダンジョンの壁を背にして立ち、その前にミューズとルルが座って聞いていてくれる。この先生と生徒的配置は壁にVRで内容を投影する関係で決めた。話の中で大事な要点が出ればアイが壁に表示してくれる予定だ。



「まず質問するぜ。皆ハッピー、の皆ってだれだと思う?」


「りくさまっ!とわたしたち!」


「おう、そうだな。でも少し足りなくないか?」


「ぇ~?わたしたち以外、この世界全部ってことですかぁ?」


「さすがにそこまでとは言わない。ここはダンジョンなんだ。オレ達以外だとすると?」


《ダンジョンの利用者、領軍、管理ゲート課、それらに付随する関係者》


「そーーれーーだーー!!!まずは利用者を幸せにする。すると利用者が増える。増えれば今度は関係者が喜ぶぜ。んで倒される魔獣が増えてルルがハッピー。それを見てるオレ達もハッピーだ」


「でもでも~どうやってやるんですかぁ」


「あぁそうだよな。簡単じゃないぜ。一言でいうとダンジョンのテーマパーク化だ!」



 オレはカッコつけて言い放ち、もう少し詳しく説明をしていく。



「ダンジョンってなんでこんなに人気がないか?簡単だ。危険だからだ。危険じゃなければ魔石採取スポットとして大人気間違いなしだもん。だから危険をなくしてやる。

 もちろん完全になくす事は無理だ。魔獣を討伐するんだもんな。そのかわりに危険を極力低くする。危険が()()()()なくなれば魔石目当てに人は必ずやってくる。

 気軽にスポーツ感覚で、なんならお遊び感覚でエンジョイ討伐。おまけに魔石がもらえてウマー。これがテーマパーク化なのだよ!」


《思想はわかりました。具体策が見えてきませんが》


「ふっ、そう言うだろうと思ったぜ。ここで再度の質問だ。呼び出す魔獣の最弱はどんなだ?」


《L1レッサーラビットです》


「L0とかL0.5とかいないの?」


「にゃははは~人間っておもしろいにゃ。よくそんなこと思いつくにゃ。そんな変なの呼び出せないにゃ~」


《いいえルル。工夫次第ですよ。先日から常駐させているシステム内アイに指導させますので学習してください》


「にゃ、にゃんと・・」


「頼んだぞアイ。ついでに弱い種族の魔獣を複数ピックアップして壁にVRでリスト表示してくれないか?ミューズにも見えるようにな」


《すぐに出します》



 本当に即出力してきたな。ダンジョンのシステム内に入ってだいぶ解析とか観測してるんだろうな。たぶんオレ達が寝てる間もね。その勤勉さと有能さが怖い。オレはピックアップされた魔獣リストを端から眺めながら構想をまとめていく。



「ミューズ、そのリストを見て弱そうな順番を検討してみてくれ。あくまでイメージでいいぞ。アイ、この弱めの魔獣リストはそのままで。隣にこれからオレが言う事を項目毎に羅列していってくれ。オレが求めるのはこういうイメージなんだ」



 1~3層  

 エンジョイ勢 ソロでも可能

 がんばれば素手でも戦える

 安い武器でもあればすごく楽

 厚手の服を着てればだいたいの攻撃は防げる


 4~6層  

 スポーツ感覚勢 2人くらいから可能

 運動能力がある程度ある人

 武器、防具は欲しい


 7~9層  

 ガチ勢 パーティー必須

 領軍レベルの経験者

 武器、防具に加えてパーティー戦略など



「これを踏まえて魔獣リストはこんな感じ。オレとミューズのセンスが光るね!」



 1層 レッサーラビット  (L0.2)

 2層 ラビット      (L0.3)

 3層 ホーンラビット   (L0.4)

 4層 レッサーフォックス (L0.6)

 5層 フォックス     (L0.8)

 6層 シルバーフォックス (L1.0)

 7層 レッサーウルフ   (L1.2)

 8層 ウルフ       (L1.4)

 9層 グレイウルフ    (L2)



《マスター、おもしろいコンセプトですがL0近辺の魔獣を呼び出し討伐しても経験値も魔石も微量過ぎると想定されますが》


「ああわかってる。1~3層は初心者が『ダンジョンを探索する』ということがどういうことなのか理解してもらうための層なんだ。同様に4~6層では『ダンジョンで戦闘する』ことを学んでもらう」


《いくら討伐可能な弱い魔獣がいたとしても、なにもご褒美がなければそもそもダンジョンに入ってきません》


「そうだ。だからご褒美を与える。たまに本来の物より良い魔石をドロップする、ってのはどうだ。確率とか収支は別に検討するとしてさ」


《・・・そのご褒美のリソースは?》


「おいおいらしくないな。それくらい低い等級なら量産できるだろ。今のオレ達なら大量に呼び出して魔石モードで一気に叩けばいい」


《なるほど。システム的にアイテムドロップができるかどうか検討してみましょう。今のシステムだと魔獣の強さに応じた魔石しか出てきませんので》


「ああその通りだ。システム的にどう再現するかはアイが得意だろうしまかせるぜ。出来ないことは出来ないでいい。いまはプロットの段階だ。それにアイデアはまだまだあるぜ、っておいっルル!寝てんなよっ」

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