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《それではドッペルゲンガーでコピーをする時のようにわたしの、つまりマスターの魔素を読み取ってください。ミューズを創った時と同様です》


「本当にオマエ達は魔素も魔素の扱いも異常にゃ」



 というわけでミューズが生まれた時と同じような事をすることになった。オレは壁際に横になり強制的に眠らされる。そうしないとオレの魔素の偽装がうまくいかないんだってさ。オレが眠った後はアイがオレの体と魔素を操作する。

 続いてルルがドッペルゲンガーシステムを起動してオレの魔素を読み取る。読み取ったらもうアイにまかせて終わりだ。システムに介入して観察と解析を始めているらしい。



「にゃにゃにゃんと!いま読み取ったのはボクだったにゃ!ボクのニセモノが中にいるにゃ!」


《マスターの魔素を偽装してルルに化けました。システムの中に入った時に行動しやすくして、なおかつ常駐させるためです。他にも色々仕込んでいますよ。繰り返しますが実行権限などはありません。所詮コピーはコピーです》



 起こされたオレはオレが寝た後の話を聞きながらミューズとルルをかまって遊んでいた。多少時間があったので全回復法もしてルルに渡してたりもしてた。しばらくすると解析が進んだらしくアイが声をかけてくる。



《お待たせしていますね。少し実験をしますのでお付き合いください。マスターとミューズ、戦闘準備を。ルル、これから指定する魔獣を1体ずつ呼び出してください。まずは兎族でレッサーラビットL1を》



 呼び出したらすぐに討伐せよとの指示だ。次々に魔獣を呼び出しては討伐していく。20種ほど呼び出してようやく満足したらしく終了となった。



《とても良いデータが取れました。今後に役立てますね。さぁ今日はここまでにして帰りましょう。マスターはL42になりましたし神の力は十分貯まっています。今後は改築自体に注力していきましょう。受け付けに提出する魔石は持ちましたね?では地上へ戻りますよ》







 管理ゲート課の受け付けにていつものように魔石の手続きをしていると課長補佐さんがやってくる。



「お疲れ様ですリク様。こまめに活動されていらっしゃいますね、いつもご苦労様です」


「こんにちは。珍しいですね今日はなにか?」


「はい。明日は朝から例のパーティーメンバー面接ですので念のためにお声がけしました。準備などはよろしいでしょうか」


(やべっ忘れてたっ)「もちろん。明日朝イチで来るつもりですよ」


「ありがとうございます。明日は私が受け付けを担当しますのでご留意ください。ちなみに領軍からご自身で探す話もありましたが進捗はいかがでしょうか。有望な人材はダンジョン内で見つかりましたか?」


「ええ。なかなか良い人は・・・」


「そうですか、承知しました。ではまた明日に」


「よろしくお願いします」



 なんとかポーカーフェイスで押し通して管理ゲート課から退却してきた。アセったね。もはや1ミリもメンバー募集のことなんて考えなくなってたよ。ミューズが加わったからね。



(義理でしばらくは面接ゴッゴする必要があるよな?)


《はい。そもそもこちらから申し出た案件です。ただしゴッコではなく審査は真面目にやってもいいでしょう。良き人材がいればメンバーにするのも悪くありません》


(いやないないない、何言ってるの。こんなヤバイ秘密だらけのパーティーの事情、どうやって説明すんだよって話)


《そうですね。まぁよろしい、あくまで良き人材がいればのことですので。明日の面接内容について宿で打ち合わせしましょう。それとマスター、魔杖の使い心地を報告にいかないといけませんよ》







 帰り道に整備課へ立ち寄って武器の様子を報告。追加で2本の製作を発注する。耐久性が高い事が判明したのでゆっくりの製作でいいと伝えた。フェラリウスさんも追加発注を受けて誇らしそうだ。



「再度の発注とは気に入ってもらえたのかの。納期も急がないのであればもう少し工夫を凝らしてみるのも悪くないのう」


「フェラリウスさん、変な事を聞きますけど鉄以外の金属ってどんな物がありますか?鉄以外で今回と同じ武器を作ったらどうなるかと思って」


「鉄以外でアレを作る?想像もつかんわい。銅とか錫、銀、金では無理があるじゃろ」


「チタン、ニッケル、クロム、アルミニウムなんてどうですかね」


「それは金属の名前なのか?」


「ん~では合金って作れますか?青銅や真鍮、炭素鋼、この辺りに聞き覚えは?」


「おい待て。お前の知識はどこかおかしいぞ。初めて聞く名前の金属と部分的に詳しく偏った知識。その年でいったいどこで学んだ?見た目通りの年齢じゃないのか?探索者ってのはみなこうなのか。

 ・・・まぁ深く聞いても意味なさそうだし答えてはやるがな。

 青銅は貨幣に使用しておる。真鍮も聞き覚えがあるぞ。黄銅のことじゃろ?見た目が美しいから金持ちの家具や装飾品などに使っておる。炭素鋼はお前の武器にも使用している魔道具産の鉄だ」


「ハハッ、ちょっとだけ勉強する機会があって中途半端に学んだんですよ。だから知識がチグハグなんです。間違ってたらすいませんね。

 あと最後なんですけど、こんな金属の名前に心当たりはありませんか?ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン、ヒヒイロカネ」


「それは大陸共通語なのか?全く聞き覚えが無いぞ」


「あまり気にしないでください。どうせ間違ってますので。すいませんでした、余分な時間とらせましたね。今後も何かあれば製作依頼しますのでどうかよろしくです」


「あ、ああ。追加発注ももらえたしお前は上客だ。こちらこそ頼む」







 整備課を後にして帰路を歩くオレは、またしても打ちひしがれていた。整備課からの帰りはガックりしていることが多いな。何か相性が悪いのか、逆パワースポットなのか。

 いやわかってはいたよ。『アンチなろう』転じて『アンチオレ』のこの世界。オレが心から望む幻想(ファンタジー)金属なんてあるわけがない。オリハルコンでこの魔杖作りたかったなぁ。もっと言うならさらなる上位の不思議金属で伸び縮み可能な如意棒作って遊びたかった!



《いきなり質問を始めたのには少し驚きました。マスターはもともと鍛冶関連にかなりテンプレを期待していましたね。確かにこれほど分かり易く異世界転生を象徴する物はありません。

 正直わたしもミスリルあたりに期待はしていました。今回の魔杖の製作結果を受けて幻想金属で最高位の魔石を使ったらどうなるか、などと興味深く考えていましたよ》


「あっさり否定されちゃったよねぇ、くそぉ~。ルルさんや、貯めた神の力で何かアイテムと交換できない?」


「いきなりにゃんのことだか」


「例えばだよ。神の力ってもともと信仰を元にした奇跡を起こすための力だろ?貯めた力を使って不思議金属造ったりとか?いやもっと直線的でいいのかなぁ。ズバリ『聖剣』とか『神器』と交換できない?『遺物(レリック)』とか『エリクサー』『神酒(ネクター)』でもなんでもいい」


「ほんとうに意味がわからにゃい。武器が欲しいにゃ?」


「ちがうんだよ~そういうじゃないんだよ~。ん~うまく言えないなぁ」


《マスターが言っているのは具体的な物品のことではありません。もっと抽象的、概念的なイメージの説明です。『普通は存在しないような』『神の力が宿ったような』『幻想的な』『伝説的な』『深い物語を背景にしたいわく付きの』などです。

 あえて言うなら『なんかカッコイイ』ものでいいのです。そうであれば武器でもいいし道具でもいい。形の無い物だっていい、そういうことです》


「うひー!的確に言葉にされると恥ずかしいな!でもそうだよ、なんかカッコイイのほしーんだよ!悪いかよっ!オレのテンプレ魂が求めて止まないんだよっ」



 ルルは最後尾をゆっくり歩いていたが、会話の内容を聞いてオレの隣に並んで歩きだす。歩きながらオレの顔をじっと見ているようだ。オレとアイの言った言葉をよく吟味しているようだ。ルルはしばし考えた後こう返してくる。



「説明を聞いてもやっぱりわからにゃいな。そんなに欲しければ何でも自分で作ればいいにゃ」


「おま作れって・・・どういう意味だよこっちこそわからないぜ」


「この世界の物も人も神もぜーんぶ魔素でできてるにゃ。元をただせば同じエネルギーにゃ。特にリクの魔素は万能だしきっとできるにゃ」


《ルル、待ちなさい。今の言葉は聞き捨てなりません。極めて重要な情報と判断しましたので詳しく聞きますよ。しばらく真面目に答えてください。おふざけは無しです》


「わかったにゃ~アイさん」


《この世界の全ての物は魔素。これは白い世界で自称神様からも聞きましたし真実なのでしょう。ルル、あなたは魔素で何でも創れるのですか?》


「ボクの格では無理にゃ。ダンジョンでさえマニュアルが無ければ創れにゃい。上位の神ほど出来ることは増えるにゃ~」


《ではなぜマスターになら出来ると?》


「リクの魔素は万能にゃ。それに普通ではない使い方をしているにゃ。リクの意志にあわせて魔素が変化しているにゃ~。特に活性化とアイさんが呼んでいる魔素にゃ。わかりやすいのは身体の強化と武器に込める強化にゃり」


《・・・そうですか。マスター、推測も混じりますが端的に言います。魔素はこの世界の全てを構成している。マスターはその魔素を自分の意志で操れる。ゆえに全てを創造可能だそうです》


「うん、何言ってるかわからん」


《突き詰めれば神さえ超える存在になり得ます》

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