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 翌日になったのでさっそくダンンジョンに向かい追加された階層の様子を見に行く。階段しか追加してないのは聞いてたよ。でも初めての事だからさぁ楽しみなんだよ。なんでもそうだろ?


 ルルがオレ達だけはダンジョンのどの階層でも好きな階層へ転移できるようにしてくれた。ダンジョンの1層の例の境目のことだ。いつもなら10層への転送のみが選択肢に出るところ、2~15層までの選択肢が出てきた。さらに最下層から1層への帰還用転移陣も作ってくれた。

 どうやら階層が増えた影響で出来る事が増えたらしい。他にも強めの魔獣を呼び出し討伐することでも少しづつ能力が増えているかもってさ。

 いずれにしてもこれはありがたい。とりあえず15層へ転移で行ってみる。


「あれ~?12層だよなこの部屋の感じ」



 昨日もずっと過ごしてた部屋と同じ12層の大部屋に見える。その証拠に魔素視でよく見ると壁の上部に隠し通路が見える。



「この階層は常に最深になる設定だにゃ」


「あ~ルルちゃんがにゃんにゃんにもどったのですぅ」


《なるほど。いくら階層を追加してもこの階層の上に追加されるのですね。昨日までの12層が今日は15層というわけですね。念のため12層まで様子を見に行ってみましょうか》


「お~そうだな。階段しかないんだよなたしか。それでも見たい」


「いきましょ、いきましょぅ~」



 ミューズが手を組んでくる。二人そろって大部屋から入り口の方向へ、そして階段を登る。なんのサプライズも無くガチの階段があるだけだった。うんわかってた。それでも11層まで登ったよ、ハハッ。一応階層の間には狭い踊り場のようなスペースはあった。

 そのあとは15層の大部屋に戻ってやることをやる。ルルはレベル31の魔獣を呼び出す事ができるようになっていた。ダンジョンムーンベアってアイが呼んでた。様子見を兼ねてオレが木の棒で殴ってみたが昨日までのレベル25の熊との差がわからなかった。瞬殺に変わりない。どうやら強くなりすぎてしまったようだな。


 フハハハハ!


 オレTueeeできてますなぁ。いやはや感無量ですわ。身体強化がエグすぎるんだよな。オレの強化は異常だとアイはよく言うが、きっとその通りなんだろう。ゲームならナーフされるぜこれ。

 しかし今はダンジョン運営モードだ。Tueeeにかまけていては駄目だ。じゃんじゃん魔素を稼ごうかね。オレはまた全回復法に取り掛かった。



《ミューズ準備を。レベル31の格上の魔獣ですが、強化込みのステータスでミューズの方が上回っていますので心配はいりません。特にAGIとDEXが高いので攻撃が当たることは考えにくいです。しかし油断はしないように。昨日、飛躍的に武器の保護強化が上達しました。あの感覚は忘れていませんね。では始めます》


「は~ぃ、りくさま見ててぇ~」



 始まった。やることは一緒だ。ミューズのレベルが上がらなくなるまでレベリング。ミューズが31になったらアイが戦闘に手を出して経験値がオレに流れるようにする。オレは魔素生産マシーン続行だ。

 30分で約30体討伐できてるので昨日とほぼ同じ安定したペース、全く不安要素がない。オレのレベルがあれよあれよと上がっていく。1時間強ほど続けてレベル34になったところで一旦休憩する。



《マスターの魔素生産能力に対して魔獣を倒すペースが追い付いてませんね。魔獣変換すべき魔素が多く余っています。もちろんそれを直接ダンジョンに使ってもいいのですが、やはり変換した時の9倍の効率は魅力的です。いかがでしょうマスター?そろそろ暴れてみたくありませんか?》


「フフフ・・・出番を待っていたぜ、バッチこーい!」


《では5体程度で始めましょうか。ミューズ、武器はマスターへ渡して素手でやりなさい。防御重視で構いません。マスターはなるべく多くのヘイトを稼いでターゲットを占有。魔獣の動きを弱めるような立ち回りを。動きが鈍ればミューズでも次々と止めを刺せるでしょう。ルルは隠し通路へ》


「えっ、複数同時ポップさせるの?」


《当然です。討伐が追い付いてないと説明しましたよね?魔素生産に追いつくためにはシンプルに数を稼げばよいのですから》


「え、あ、はい。ちょっとまってね。心配だから強化の段階をあげておこう」



 念のためにオレは身体強化を強くする。ここまで強いのは今までほぼ使ったことがなかったが、相手は現状最高レベルなわけだし一度に相手する数でも今までで一番多い。なんかあってはいけないしね。大丈夫だとは思うけど不安だ。オレって小心者なとこあるな。

 意識して強化の度合いを上げていく。少し熱くなってきたかな?そしてフワフワする。自分の重さがなくなったような感覚。時間の動きも遅い。

 準備が出来たのでルルとアイに合図を送る。すぐに5体がポップした。



「どりゃああああ!!!」



 少しあせりがあったのかもしれない。5体の群れのうちのほぼ中心にいる1体駆け寄り、それに向かってごりっごりに強化した武器を上段から振り下ろす。インパクトの瞬間に最近10層のドッペルゲンガーで起きた爆発シーンを思い出した。いやな予感がするがもう止まらない。



 あ、コレ、マズい。



 轟音とともに爆発とその衝撃波が四方に飛ぶ。オレもミューズも吹っ飛ばされているのは何とか認識できた。ゴロゴロと転がるのを両手両脚を広げてなんとか止まり、ミューズの方を見る。ケガくらいはあるかもしれないが命に別状は無さそうだ。すぐ立ち上がっている。


 目の前にいた熊達は跡形もなく消えていた。オレの攻撃を受けた熊がいた場所を起点として前方へ扇状に破壊の余波が拡がっており、ダンジョンのクリーム色の床が大きく壊れていた。大部屋全体の4分の1程の床面積が剥げている。前回同じような事が起きた時と同様の『真っ黒な穴』のようなモノが床材が吹き飛んだ後に見えていた。



「り、りくさまぁ、なにが起きたんですかぁ」


《マスター、、、ふぅ。先に言っておきますがてへぺろは通用しませんので》



 オレは絶句しつつも小さくなって申し訳なそうにして見せる。ルルが隠し通路から降りて来て壊れた床の様子をみている。黒猫なのに顔が青ざめていた。



「にゃ、にゃんと・・・あの~リクさん?少し手加減はかにゃうでしょうか。コレをにゃおすのに結構な力を使うのですにゃん。にゃはは、あは、あはは」



 オレ呼びがさん付けになってるし表情は無いハズなのに顔がひきつっている。



「全額魔素で補填します。すいませんでしたっ!!ビビッてまた加減を間違えました。そしてミューズさん怪我させて申し訳ありませんっ!!」



 オレは久しぶりにDO・GE・ZAした。







 木の棒もオレが握っていた部分を残して消失してしまっており、とうとう武器がなくなってしまった。レベル上げしたいのに武器が無い!そんなバカな、である。100%自分が悪いので何も言えないしできない。このままここで全回復法をし続けるという方法もあるが、もはや気分じゃないしなぁ。



「すいません武器がなくなってしまいました。あのぅ、誠に勝手ながら今日は閉店ということでいかがでしょうか」


《ミューズに弱めの魔獣を素手で処理させつつ、マスターが全回復法という案もありますが乗り気ではないようですね。しかたありません、魔石を少し出して帰りましょうか》


「悪いねみんな」



 ダンジョンから引き上げて近くにある整備課へ様子を見に行く。いつも通りのドワーフもどきと話す。だれも名前を覚えていないだろうけどフェラリウスさんだ。オレも忘れてたのでアイに教えてもらった。



「おいおいまたきたのか。頼むから仕様の変更はやめてくれよ」


「ども。頼んでおいた新しい木の模型できてません?」


「それなんだが、もう鉄棒が完成するから今更だと思って作ってないんじゃ。その分鉄棒の完成を早めた方がうれしかろ?」


「おお!そうなんですか、もちろん本物が出来るならそっちの方がいいです。いつですか?」


「明日だな。明日の午後来てくれ」


「わかりました。明日また来ますけど、ちょっと鍛冶の魔道具に興味があって少しだけ今日見学できませんか?鉄棒がどんな魔道具で作られたか知りたいんです」


「お~いいぞ。ワシが案内してやる。おまえさんは太客になりそうだしの。そっちのねーちゃんと一緒について来い。ただし絶対に何も触るなよ、ケガするからな」



 もしかしたら面倒がられるかと心配したが、思ったより乗り気で案内してくれそうだ。



(みんないきなりでスマンが少し付き合ってくれ。一度は鍛冶の魔道具を見ておきたいんだ)


《むしろ歓迎です。わたしからも聞きたいことが出てくると思うので、視界にテキストで表示しますね》


「工場見学デートですね。楽しみですリク様」


「なんだおまえら恋人かなんかか?そんなたいそうな物はないがせいぜい楽しんでくれ。そっちのねーちゃんはずっとフード被ってるが暑くないのか。脱いだ方がいいぞ」


「お構いなく、慣れてますので。申し遅れましたがミューズといいます、フェラリウス殿」



 恋人と言われたミューズはあからさまに機嫌がよくなった。前回来た時は名乗らなかったのにちゃんと自己紹介をし始めたよ。

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