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魔獣を生産して倒す計画の第一歩はうまくいった。そして何よりミューズの初経験値おめでとう!順調すぎて怖い気がするが、おそらくアイが緻密な計画を練ってお膳立てしてくれたからだろう。できる有能秘書ちゃんだ。
アイはすぐ次の戦闘に移行する様子だ。再度ミューズに構えさせる。いまの1戦を見る限りなんら問題は無いハズだが、もちろんオレも油断せず武器を構えて次の熊に備えた。
討伐は問題なく進む。慣れてきたのかペースもどんどん上がる。
ミューズのレベルが22になったところで一旦ストップ。ミューズが敵と同じ強さになったからね。
《順調ですね。現在ミューズのレベルは22。19から20へは3体でアップ。20から21へは7体でアップ。同様に22へは10体。おそろしい経験値効率です。格上の敵はおいしいですね。ミューズが生まれた時、NEXT4253だったことを考慮に入れてダンジョンベアのデータを表示します。まだ数が少ない状態での計算なので概算値です。ミューズにも送りますね》
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【名前】ダンジョンベア
【LV】22
【経験値】1619
HP 1451/1451
MP 0/0
STR 17
VIT 16
DEX 13
AGI 10
INT 8
【スキル】体当たり[5] 噛みつき[5]
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「せ、せんろっぴゃく・・・ぐぬぬ」
すげーすげー!なんてウマイ経験値だ。はぐれメタルぐらいの印象じゃねこれ?オレもやりたい。ちょーやりたい。しかしここはガマンだ。だって自分で言ったことだ。オレは全回復法の専任でもいいよってね。ちきしょーーー!
安西先生、レベル上げがしたいです。
《これほどの経験値効率とは予想外でした。計画を見直す必要があります。マスターのレベルをある程度先に上げましょう。その後ミューズをパワーレベリングします。それが最高効率ですね。ちなみに今は経験値モードで魔石はドロップしないように調整しています。私の予想ではD級以上が落ちるのですが、ドロップさせて今換金するとまた騒ぎになりそうなので》
えっ!?いまなんて言った?
オレもレベル上げしていいの?
ぎゃはぁぁぁ~~~!!
しかし専任でもいいよと言った手前、あまりにはしゃぐのも恥ずかしいのでクールな態度で返事をする。
「わかった。ミューズ、交代だ」
《マスター、それほどの歓喜だと駄々洩れしてますので私にはバレバレです。素直に喜んでください》
「あ、はい」
《では次の魔獣はいかほどのレベルがよいか計算します。ところでミューズの身体強化がいかに優れているのか、ひいてはマスターの身体と身体強化がいかにとてつもない物なのか、今さらながら実感しています。自分よりかなり格上の相手であっても強化すればステータス的に圧倒できています。
もしマスターが本気の、そうですねミューズを迎えに行った時の本気の強化を行えばレベル100の魔獣でも相手できるのではないでしょうか。そのような高レベルの魔獣がいるかどうか不明ですが》
「それあんま言わないで・・・恥ずかしい。わかったそれなら思い切って高い魔獣呼び出してよ。一気にレベルあげちゃおうぜ」
《わかりました。と言ってもいきなり100ではリスクが高すぎます。1体ずつ段階的に上げて呼び出しましょうか。ルル、レベル30で熊種か狼種でよさそうなものを》
「無理にゃん。ぼくの神格だとオマエたちの言うレベル25が上限にゃん。そもそもそんな強い魔獣を倒せる人間にゃんかほとんどいにゃいから、レベル25を呼んだことさえにゃい」
《な、なるほど・・・よいでしょう。再度計画変更です。二人ともレベル25にしてしまいましょう。途中でいくつか実験を挟みます。よく指示を聞いて従ってください》
「二人同時に闘っていいの?」
《そうです。ただし指示はよく聞いてくださいね》
「おお、初めてミューズと共闘じゃないか」
「はじめてのきょうどう作業なのですぅ~きゃ~ん」
レベル25のダンジョングレートベア(笑)を生産し次々と討伐していく。あっという間に二人ともレベル25に到達する。そこまでの間にいくつか倒し方を指定されてそれに従った結果、こんなことがわかった。
二人で戦うと止めを刺した方に経験値が入る。ミューズがレベル25になって経験値が入らなくなった場合は、止めを刺しても刺さなくても一緒に戦ったオレに経験値が入る。オレが完全に手を出さず、レベル25のミューズのみで倒した場合はミューズにもオレにも経験値が入らず魔素塊は消える。
「グハハハハハハ!これはやべーことになるぞっ!」
《どうするつもりですか?マスターは効率厨なのでだいたい予想はつきますが》
「うむ、さすがアイだ。その言葉なら理解しているだろう。オレは永遠に全回復を続ける。ミューズはずっと討伐だ。ルルは魔獣を呼び出し続ける。そしてアイは・・・」
《はいはい。軽く手をだせばいいんですね。ジャミングで消費が軽い物を適当に投げておきますよ》
「いいぞ!あとミューズ、大変かもしれないが討伐を任せられるか?」
「たいへんだなんてっ!やっとりくさまの役に立ててうれしぃぃ。さぁすぐにでもどうぞっ」
「いやちょっと休憩を・・・」
《マスター、ミューズの気持ちを汲んであげてください》
「・・・うん、じゃぁいくか!」
うむ、そうまで言われては仕方ない。そこから数時間討伐を続けた。さすがのオレも全回復法に飽きたしレベルアップにも飽きた。夢に出てきそうなくらいやったさ。
え?レベルアップって飽きるモノなの?
はい飽きます。少なくとも今日は飽きたね。レベルいくつになったと思うよ?30だよ。今日一日でだよ。22から30ってチートやなこれ。でもこれはいいチートだ。努力と創意工夫の上で達成した成果なんだよ。
「アイ、どれくらい倒した?あと久しぶりにステータスを見るかね」
《私がジャミングで参戦してから178体です。時間は約165分経過しているので1体あたり1分で討伐しています。ステータスは表示しますが強化はどうしますか》
「ん~外界モードの活性[1]にしようかな、ほいっと」
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【名前】リク
【LV】30
【NEXT】481541
HP 308/2949
MP 0/0
STR 27
VIT 26
DEX 28
AGI 35
INT 29
【付加中】身体制御[1]
【スキル】長弓[5] 速射[4] 光の矢[1]
杖術[1]
身体制御[N] 気配隠蔽[7]
【ユニーク】魔素視 AI解析
魔素活性化 魔素増幅
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「いろいろ言いたいし聞きたいが、まぁ今日はいいか。疲れた。ミューズもご苦労様」
「いぇ~それより木の棒をこわしちゃってぇ」
ミューズが使っていた木の棒は限界を迎えご臨終なされた。今はオレの木の棒を使っている。
「棒なんてなんとかなるだろ?木工組合とかないのかな。なんだったら整備課に行ってまた作ってもらってもいいし。とにかく助かったよ。いい仕事したぜミューズ」
「はぅぅ~ホメてもらえて、かんどうですぅ」
《今日はこの辺りで帰りましょう。ルル、最後に魔石取得用にクリスタルヒュージボアを10ほどお願いします。ああ、紫のと言えばわかりますかね。魔石モードにします。ミューズ、鍛錬の一環です。素手で倒しなさい》
「ひ~~ん、オニがいますぅ~」
「でもさ、1本目の木の棒が壊れてから急にミューズは上手くなったよね」
《はい。木の棒を壊してしまって切羽詰まったのでしょうね。いわゆる火事場の馬鹿力と言われる奇跡。棒が壊れたのは痛いですが結果としてよかったです》
魔石を適当に拾い今日はダンジョンを出た。帰りに近くの整備課に寄って木の棒を頼む。出てきたドワーフもどきが『壊れるほどまで素振りしたのか?何か問題が?もうすぐ完成だから手直しは工期がうんと延びるぜ』とアセッていたがスルーしてきた。
ルルはまたも普通についてきており、部屋に帰ったあとで作戦会議をすることになっている。いよいよ改築パートのことも考えていかねばってね。
うあ~楽しみだ~。




