表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/33

 師匠、シスターとの話し合いはなんとか終わった。



 最後の2週間はどうすごすか?

 決まってる。魔素魔法を考えて使いこなす!魔素魔法ってのはスロットに入れる魔法のことだ。そう呼ぶことに決めた。そのままスロット魔法の方がよかったかな?


 いろいろ考えた結果、情報と知識が足りないという結論に至る。足りないままじゃ魔法も考えにくい。じゃどうする? いっそのこと足りない知識を教えてくれる『先生』的な魔法を創ろうとなったわけだ。スロットも4つあることだし、後生大事にとっておいても仕方ない。


 宝箱から手に入れたエリクサーを、ラスボス倒した後もずっと持ってるよな?オレは使っていくタイプだ。


『エリクサー いつになったら つかうのか』 詠み人知らず


 ガンガンいこうぜ!




 ちなみに師匠からはこの2週間について、



「半分はシスターを手伝え、残り半分は狩りをしろ。獲物は全部施設と教会でいい。

 保存処理できるか? わからなければ習え。もちろん旅立ちの準備もしろ」


「いや半分と半分なら、もう準備する余地はないじゃない・・・」



 ってな会話もあったとさ。




 こんなわけで午前中は、家事手伝いをし、シスターの授業を手伝う。

 午後になると森へ出かけて獲物を狙う。


 あまり獲りすぎてもおかしいので、狩りはほどほどにして罠をメインにする。

 というか本来の狩りは罠に依るところが大きい。獲物を追って森を走るなんてそうそうない。


 罠の仕掛けと見回りを身体能力に任せて短時間で済ませた後、ほとんどの時間を魔素魔法の検討と試行に費やすことにした。オレは森の中で大きめの岩の上に腰掛け、じっくりと思考する。


 まずはどんな魔法にするか?イメージは既にある。○-グル検索だ。聞きたいこと、調べたいこと、なんでも教えてくれる。


 検索バーに質問を入れる。『×××について教えて』、そして検索ボタンをポチ、すると


『AIによる回答:

 ×××とは

 ×××の歴史

 ×××の利点と欠点

 ×××の利用方法

 ×××と△△△の関係・・・・他』


 有能!まさに有能!!

 AIさまさまだな!


 AIだからなのか膨大なネット情報から学習した結果、単純に質問に答えるだけじゃない。関連事項の情報や、追加でよく調べられる項目にも言及してくれる。ネットワーク自体も人類の叡智の結晶だと思うが、それにさらにAIが合わさり最強に見える。

 うん、君に決めた!


 スロットに登録するにしても、何が起こるかわからない不安な部分もある。このままこの森の中で登録しよう。


 目を閉じて集中する。

 周りの魔素や自分の魔素が強く濃く感じられるようになる。

 ○-グル検索をよくイメージしながら1つ目のスロットに登録するよう念じる。



(・・・・・・・・?)



(・・・・・・・・?)



(・・・・・・っ!!・・・・魔素が足りてないらしい)



 そういえばあの白い空間で、神様(仮)が言っていたハズだ。履行に必要な魔素が君に足りていなければセットできない、ってね。

 そういうことか。





(・・・・いや困るけどっ! どうしろとっ!?)



 4つしかスロットがないんだから、有用な魔法を創るしかない。でも有用な魔法は魔素が足りなくて登録できない。



 詰んでる。



 魔素が足りないなら魔素を増やす?

 どうやって?

 そもそも魔素は増やすことができるのか?


 そうだ。あの狩りの試験の時。

 親鹿を射る瞬間、大きく魔素が動いたよな?

 アレを応用して・・・・いや違う。

 集めただけだ、容量が増えたわけじゃない、よな?


 結局同じだ。情報が足りない。


 ダメ元で収納魔法、鑑定魔法、転移魔法を試してみたが無駄だった。どれも魔素が足りない、という結果だった。


 まいったな、どうしよう。

 1つ目の魔法として○-グル魔法自体の方向性は間違ってないと思う。方向性は変えずに、魔素消費は少なくすることはできないのか? 何か、何かないのか。




(・・・・例えば・・・・もしかして・・・・)


(であるなら・・・・うん)




 小さな思いつきを実行してみる。




「・・・・・・できたっ!できたぞっ!」



 悪戦苦闘した結果、登録ができた。

 なにをした?


 発想はAIだ。


 AIは最初から完全無欠の叡智さんではない。膨大なデータを学習した上での叡智だ。データを分析、パターン化して規則性を見つけたり、予測、判断しているからこそのものだ。はじめは生まれたばかりの赤ちゃん、叡智ちゃんってわけだ。

 たいしたことが何もできない魔法、その魔法の魔素消費が高いわけはない。最初は何も答えられなくていい。データを集めたあとに全て答えてくれれば。


 そんなことを考えながらスロットにこう願った。



『データ収集に特化したAIのような魔法。初期状態でできることは少ないが、学習次第で進化する』



 こうしてオレの初めての魔法は成った。


 魔法の決定に長い間ウンウンと悩んでいた気がしたが、日の傾きと腹具合からしてたいして時間は経過していない。早速魔法を起動してみよう。なにせ魔素が足りることは保障されている。



「教えてっ、叡智ちゃん!」



 オレの周りにあった魔素が胸の中心に集まり輝きだす。

 いままでは無機質で温度など感じたことがなかったが、ほんのりと集まった部分が熱を持っているように感じる。ヒラヒラと舞うような動きをみせつつ、集まった魔素は少しづつ消えて行ったようだ。

 おそらく魔素が消費されたんだろう。



「さて・・・叡智ちゃん?いますか? 生まれた気分はどうですか」


《・・・・・・・・》


「パパでちゅよ~」


《・・・・・・・・》


「お腹へってないかな~?」


《・・・・・・・・》


「生まれていきなり反抗期!?」




 このあとずっと叡智ちゃんが反応してくれることはなかった。




 叡智ちゃんとのコミュニケーションを一旦あきらめ、オレは施設に帰ってきた。


 手伝いも含めてやることはたくさんある。ほぼ成人として小さい子たちの面倒も多くをまかされることになった。旅立つ準備も大変だし。知らない街に移動し暮らしていくんだ、何が必要かさえわからない。


 わからないからといって手は抜けない。よく言うよね『段取り八分、仕事二分』ってさ。準備をしっかりしておくに越したことはない。ひとまず明日は、師匠に助言をもらいに行こう。森に入っていなければいいが。


 あ、あと教会にも足を運ぼうか。記憶が戻る前はなんとなく近寄り難い気持ちがあった。いまは全然違う。知識を持ち、まっとうな人間が多いことが理解できている。積極的に利用するべきだ。

 相手だって頼られているんだ、聖職者ならむしろ歓迎してくれるハズ。こんな小さな村で聖職者なんて、実質村長レベルで対応してくれるよな?


 明日の予定を組みながら着々と仕事を片付けてゆく。とはいえ量が量だ、しっかりと時間はかかる。最後に子供達を寝かせ、自分もベッドに横たわり、粗末なシーツをたぐり寄せる。


 その時だ。




《・・データ・・・・デーt・・・

          ・・・主・・・ヲ・・ノ・・

    ・s¥グm・・・・許k・・》




(えっなに、叡智ちゃん?)

(声?言葉?じゃないな、イメージというか意志?)

(何が言いたいの?わかんないよ。データ?)



《・・・許可・・》



(死ぬとか消えるとか、そういうヤバイ雰囲気じゃないよな? 『データ』に『許可』か。ま、いいんじゃないの。データを何かする許可が欲しいってこと?)

(よろしい。許可する!)



 とたんにすごい勢いで魔素が消費される、というか吸われる感じ。



 オレは意識を失った。











 朝、いつものように目覚める。

 生きてるな? 大丈夫だとは思ってた。何が起こったか予想もできてる。序盤のお約束だ。


 わかるよな?


 魔力枯渇、いや魔素枯渇か。ただ予想外もある。体調が悪い。いや体調というより気持ちが悪い? 両方だ。魔素が復活してない影響だろうか。


 普通一晩寝たら満タンだよね? 裏切られた! 信じてたのに。

 


(叡智ちゃん、どう? 許可はしたけど何をしたんだ?)


《主・・・待ツ・・・・

 ・・・会話アルゴリズム

 ・・・ノ・・・ヲ・・・構築》


(おっけい、おっけい。こっちも午前中は忙しいし話もしにくい。逆に都合がいいまである)


(準備ができたら教えて、午後以降がいいな)



《・・・了》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ