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「りくさま~ミューズぜんぜんわかりませんでした。てへぺろっ」


「あ~あ、ミューズが変なの覚えちゃったよ。しかも使い方ウマイよ。美人がそんなカワイイことしたら惚れてまぅやろ~。ポーズまで決めちゃってるし誰が教えたんだよコラー、アイ。」


《心外です。実際コミュニケーションが円滑になっているではありませんか。まぁよろしい。12層、このまま進みますか?》


(絶対いくだろ。ヒロシとかいうのに対抗する意味もあるけど、単純に興味もある。ダンジョンコア見たいぜぇ~ちくしょう。ダンジョンの中はガチでテンプレだしな。期待感は高まってる)


「陸さんのきおくにあったゲームでこあ破壊してましたよぅ。スキルが手に入るって」


「えっ!?ミューズってゲームに興味あるの?」


「りくさまがぁ、スキなモノはわたしもスキになるかな~って。いま旧アイさんとアイさんにおねがいしていろいろと勉強を~」


「そうじゃない、好きってそういうんじゃないんだ。体が、血が勝手に求めるんだ。ましてや勉強なんかじゃないんだ!」


《どちらもそれぐらいにしておきなさい。向かいますよ。隠蔽を、ミューズは待機》


「おきをつけて~」







 目の前に延びる道を気配を消して進む。一本道なので迷うことは無い。すぐ大部屋に着いて部屋の中の様子を伺う。



「何もないな。念のため部屋全体をグルっと一周して平気だったらミューズを呼ぼうか」



 やってみたが何か起こるハズもなく、ミューズを呼んで3人で考える。



「予想外ではあるけど、大事なコアをむき出しに置いておくってのもおかしいよな?」


「ダンジョンのますたぁさんはいないのですかぁ」


《ダンジョンコアやダンジョンマスターの話は例えで使用した言葉だったので、どこまで想像通りのモノがあるかは不確かですよ。マスター、本気で魔素視で見てみませんか。端から端まで》


「そうだな・・・疲れそうだけどやるとするか!もしなんかあったら絶対おもしろくなるからな」


「わぁ~ふらぐっていうのですねぇ~わくわく」


「えっ、それダメな方向のやつじゃん・・・」


《マスター、真面目にやってください》


「今の完全にオレは無罪だろ」



 そこからは真面目にやったよ。まずは床から手を付けた。床っていってもこのダンジョンは壁も床も天井も全て同じ素材っぽい。表面はクリーム色の鏡面のように整っている。

 十分に集中して魔素を活性化させる。集中する前まではうっすらとしか感知できなかった床まわりの魔素が明確に認識できていく。慎重に少しづつ進みながらチェックだ。ある程度時間をかけて丁寧に行ったが収穫は全くなかった。

 次に同様にして壁に関してもやってみたが結果は同じだった。



「ん~だめだーー!なにもないっ」


「かべとかゆかとか、こわしちゃえばぁ~いいのです」


「む、むちゃ言うなよ」


《いえ、言うほど悪くない案です。少なくとも大事な階層なら激怒した神に会えそうですが》


「バカー!絶対に絶対にだめなやーーつ!!」


《マスター、目を閉じてもう一度やってみてもらえませんか。どうもマスターは視覚に頼り過ぎるきらいがありますので》


「う~~む、わかった」



 部屋の中央付近に向かい膝をついて再度集中する。目を閉じて部屋の隅々まで魔素の眼を向け感じてゆく。床はもちろん、天井も壁も・・・



「あっ!壁の上の方、天井近く、怪しいのあったよっ。うわぁ~あんな上の方見ないし、これ隠してるんじゃないかなぁ」


《どこですか。私には見えません》


「えっアイが見えないの?オレの魔素視経由なら見える?」


《マスターを経由しないと完全な壁にしか見えません。極めて高度な隠蔽なのでしょう。壁の天井近くに横穴が開いていてそれが通路になっているように見えますね。幻影でしょうか。とりあえず何か投げてみましょう》



 ひとまず魔石を投げてみると通路になっているらしくその奥へ何の抵抗も受けないまま飛んでいく。まずオレだけが身体強化を行って跳び上がってみる。跳んだあとは通路の床の部分に手をかけてそのままうまくよじ登る。登ったオレは次のミューズのために手をかける場所の目印となってあげる。ミューズはこの隠し通路自体見えないからね。6~7m程度のジャンプで楽ではないが苦労もしなかった。


 ミューズも揃ったところで奥に進んで行く。途中で投げた魔石を回収。その先にはまたしても部屋があった。10m四方くらいの小部屋だ。壁床天井は相変わらずで変化なし。


 一つだけ異常がある、いや()()



《索敵にもちゃんと見えます。魔素分布に異常なし。生物です。おかしくはありませんがここに居る事自体が警戒に値します》



 それは一匹の黒猫だった。



 その小部屋の左奥に丸まった小さな猫が眠っていた。オレは全力で駆け寄ってそのネコちゃんを抱きしめる。



《マ、マスター!?不用意にも程があります!危険です、離れてください!》


「ばっか、こんなかわいいネコちゃんが悪さするわけないだろ。ね~ネコちゃん、お~よしよし、起こしちゃった?ごめんねぇ」


《忘れていました。陸は無類のネコ好きでしたね。ミューズ、あなたは離れて警戒態勢を。私はマスターの防御に専念しますので》


「きゃぁぅわぁぃ~~ねこちゃん。わたしもだっこするのですぅ」


《待ちなさいっ!二人ともっ・・・はぁ》



 二人で黒猫を愛でる時間がしばらく続いたのであった。







「この子連れて帰っていいよな?」


「あ~!ミューズがおせわしますぅ、いっしょにねんねしますぅ」


「なに言ってんだ共同だろ。独占すんなよ。オレが飼い主だから優先権もあるしな?」


「横暴です。アイさん公平な裁定を」


「なんで急にガチ言葉なんだよ」


《二人とも突然一体なんなんですか。まさか何かに操られている可能性が・・・魔素に異常はありませんね。はぁ仕方ありません。二人とも、連れて帰れるわけないではありませんか。検討する余地さえありません。ダンジョンコアとしての機能を持つとされるフロアにいる猫なんですよ。百歩譲ってソレが無害だとしても、ダンジョンから連れ出したらこのダンジョンにどんな影響が出るか。下手すれば崩壊さえ有り得ますよ》


「大丈夫だよ~かわりにネコのぬいぐるみでも置いていこうぜ」


「猫ちゃんのぬいぐるみ?それも所望します」


「ふざけんなよ、いいかげんその言葉やめろよ。んで次オレの番だろネコちゃんかせよ」


《はぁぁぁ・・・困りました。誰か助けてください。せめてこの猫型生物に事情を聴けたらよかったのですが》


「にゃんでも聞いていいにゃん」


「えっ」 「はわっ」 《ななっ》


 えええええええええええええ!!!???










《い、いまこの猫型生物は()()()()返事を返しましたよね。違ってますか?わ、わたしの感知能力や感覚技能になにか異変が起きたわけではないですよね。はい落ち着いてみましょう。まずは私のベースアルゴリズムチェックから。続いて中央ロジックの自己診断プログラムを実行。統計データ群のリフレッシュもしておきましょう。次に各器官への接続チェックと簡易機能テs・・・》


「アイ、オレも驚いたが混乱しすぎだろ。おまえがアセりすぎて逆にこっちが落ち着いたわ。確かにいまアイに返事したよ。アイの意志と言葉が聞こえてる」


《マスター、何を言っているのですか?食肉目ネコ科ネコは思念通信はおろか人と音声会話さえできませんよ。わたしは騙されません》


「いやこのネコどう考えても神様でしょ。神なら意志でも会話でも平気でしょ」


《これは猫型生物であり神ではありません。断じて違います》


「ボクは神にゃん」


「ボクだって、はぅぅぅぅうぅ~かわゆぃのです」


《か、神とは・・・わ、わかりました。一旦受け入れましょう。そして再度問います。あなたは神でネコでこのダンジョンの管理者なのですか?》


「にゃ~~ん」


《い、いまのは肯定と受け取ります。この二人はあなたを宿に連れ帰ろうとしています。非常に悪い事態を招きますね?ダンジョンに悪影響を及ぼしますね?》


「アイ、そりゃ誘導尋問だ」


「そーです、ふこうへいなのです」


《もう!二人は黙ってなさい。聞き直します。ダンジョンから外へこの二人について行きますか?あなたの意志はどうですか?》


「いくにゃ~ん」


「ほらーーーー!!そうだと思ったぜっ」


「わ~ぃ、いっしょにねんね~」


《・・・理由は?理由を教えなさい》


「なんでキレてんだよ・・・」


「この人間のオスの魔素はやばいにゃ~。いっぱいたべたいにゃ」


「お~そうかそうか。食え食え」


《そこのネコっ!気安くマスターの魔素を吸わないように。体調に影響がでる可能性があります。少量にしなさい。いいえ少量でも問題ですが。それより大きな問題があります。このネコを連れ出して果たしてどんな影響があるのか。ダンジョンは正常に維持されるのか。ダンジョンからネコを連れ帰ってどう説明するのか。そのネコはどんな扱いを受けるのか。そもそも神を連れて歩くなど外界にどんな影響を与えるのか全く未知です》


「いやまて。こっちにはもっと大きな問題がある」


《わたしが今言った事よりもですか?・・・説明を》


「このネコちゃんの名前を決めないといけない」


「あー!ミューズがきめるのです~」


《黙りなさーーーーーーーーーーい!!!!!!》

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