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《どこにいると思います?・・・村ですよ》
(え!?オレの村ってこと?マジ?)
軍の整備課でドワーフもどきと面会し、とてもとても残念な目にあった帰り道。落ち込んでいたのをアイが元気付けてくれようとしたのか、ミューズの消息の話題を振ってくる。もともとかなり気にしていた事でもあるのですぐに応える。
(村で何やってるの?作戦ってどんな?)
《ミューズの戸籍を手に入れ探索者登録を狙います。そのためにこの世界におけるエルフに扮し、足場を固めた上でキールに来てもらいます》
この世界における森人の状況とミューズ扮する森人。たまたまミューズの命を助けたというオレの設定、ミューズの作戦行動などの説明を受ける。
いつのまにかオオゴトになってるけどもはや慣れてしまった自分がいる。この程度はもう受け流し定期だな。
いやそれよりもエルフ!
おかしいな?オレの方はドワーフもどきで撃沈して、知識チートも出来ずにガックリしてたけど?なんでそっちはテンプレENJOYしてんの?
なんかそういう設定でもあんのかね。アンチなろうの法則だと思ってたけどアンチおれなの?いや意味わからんすぎだな。
でも許す!エルフだから!
エルフを信じる者は救われる。
ミューズがエルフで仲間で超美人できょny・・げふんげふん。やれやれ困ったもんだ。楽しみでしょうがない!!!ダンジョンで初めてミューズを見た時エルフ耳には気が付いていたけど、陸の情報から多数決で選ばれただけだと油断してたわ。まさかこういう作戦だったとは。これは仕方ない、うむ、エルフ耳も仕方なし。
繰り返す。陸のせいではない。仕方なかったのだ。
いつ帰ってくるんだろ?会いたいね。いや変な意味じゃないよ。合流したら一緒にダンジョンいくんだろうな。あ~武器、武器出来てないよな。時間どれくらいかかるのかな。ってかオレも弓をなんとかしないとガチで壊れるな。う~む。
あっ、ホテルの部屋どうすんのよ。急だと部屋の変更も難しいぞ。ま、まぁ一晩くらい、い、いっしょでもいいかな?かな?いや変な意味じゃないって。
金はいっぱいあるけどこれからは常に2人分かかるわけだから、魔石取りしたほうがいいのかな。武器も作ったことだし。
(ねぇアイ。ダンジョンで魔石取りしたいんだけど今度はいついけるかな?)
《魔石・・ですか。ふむ。武器の製造及び使用許可の取得。これが第一優先です。次に組合納付用ボアの相談。次が優先度がぐっと落ちて組合での書類処理です。これが片付けばミューズ待ちになりますのでそこでいけるでしょう》
(よし。じゃそれから片付けようか。あ~あと武器申請って2人分しなきゃだよね?ミューズがまだいないけどどうする?)
《2本ともマスターの武器として製造し所有します。パーティーメンバーが増えたらパーティー内の道具共有で通ります》
(た、たしかに。そりゃそうだわ。よし!元気でてきた!魔石課いこうぜっ)
んで魔石課なんだが。なんかすげー対応がよくなってた。本当だったら魔石課、警邏課、ダンジョン管理ゲート課の3か所にそれぞれ申請、最後に整備課にいくんだけど、あとは魔石課で持ちまわってくれるんだって。
キールのダンジョンのトップ探索者だからだって。すぐに認可も降りるってさ。うんうん、喜んでいいのかな。後が怖いパターンか?大丈夫か?今後の武器申請も魔石課だけでいいって。
ただし金貨3枚とられたよ。1か所の申請に1枚だってさ。サービスはよくなったがお金にはシビアだった!でも構わない。金貨はまた稼げばよい。武器の納期を早めてくれたら追加料金払うし、ダンジョンで魔石を爆盛り獲ってくるって発破かけておいた。
手持ちがなかったのでいつものように組合で処理しよう。また書類が増えた。
組合でバススと話して書類関係を処理していく。あいにく組合長はいないようだ。バススによると小用なのですぐ戻ってくるという。
弓の手入れをしながら待つことにした。組合員なら無料で使える修理器具コーナーがあるんだよね。こういう時ちょー便利!愛用の長弓を作業台に固定して様子を見ていく。
(あ~確かに・・・弓幹が上と下でズレてるじゃん。ってかうわっ他にも・・・確かに厳しいな。今日明日じゃないけど限界だね)
《保護しながらであれば鉄棒ができるまでは耐えるかと。おそらく魔石の取り寄せに時間がかかるのがネックでしょう。Eランクだったら自分で用意できるのですが》
(Eを魔石融合してDにできないかな)
《・・・説明していただいても?》
(ごめん冗談だよ。冗談ってかただの願望。ニコイチすればランクが上がらないかと)
《近日中に試しましょう。ご要望の魔石取りにて予定しておきます。それとこの際、新保護強化法を考案してみませんか?》
(え~ヤダーー。鉄棒来るまで大事に弓を使うよ。新法開発したって鉄棒出来たら無意味じゃん)
《たとえ無意味になったとしても新法を考案したその経験はあなたの血肉となり、今後のあらゆる行動において活かされr・・・》
(うんそうだね。今度の納付用の狩りなんだけどさ、前回と同じやり方じゃ駄目だと思うんだ。やり方を変えてみようと考えている事があるんよ)
《・・・露骨に話題をかえてきましたね。いいでしょう。聞かせてください》
(オレが倒して皆が持ち帰る、これは前回だけの方法であって同じことを繰り返すのは無理があるよね)
《はい。前回は組合長が話をうまく繋げてくれており、自然な形でマスターのソロ狩りが実現できていました。また周りの者に対しても持ち帰り以外のしっかりとした役割を与えていました。かの人間の評価が高い原因の一つです》
(その通りだと思う。だからこそ今回も同じ理由だと不自然になりすぎる。最近じゃ有名になり過ぎてもう皆の前で倒そうかとも考えていたけど、周りの者に役割を与えるという部分が達成できていない。
そこでだ、新たな役割を用意しようと思う。簡単に言うと皆には罠になってもらって、オレがボアをそこに引っ張ってくる。とどめを刺すのは皆の役目って感じ)
《どうぞもっと詳しく》
(あらかじめ誘導する地点を決めておく。周りを丈夫で大きな木で囲まれた広場がいい。中心にも木があればなおよしだな。周りの木の上で皆は待機してもらう。オレがボアを誘導してきて広場を走り回っているうちに矢で倒してもらう。どうかな?)
《・・・・・・すばらしいです。作戦自体は甘すぎで修正点だらけですがコンセプトは満点ではないでしょうか。皆に役割を与えるという目的を果たしているだけでなく、自分が倒したんだという満足感をも提供しています。少し頭の回る者ならマスターにおんぶに抱っこの作戦であることには気が付いてしまうでしょうが、十分に妥協できる範囲です。
またマスターの役割をゆくゆくは組合長に押し付けることも可能でしょう。これは先の話ですがこの作戦を編み出して活用したということを強調し、この手法で大規模な狩りが行われる場合はマスターに貢献ポイントが入る仕組みを提案しましょう。そうすれば組合の納付用の狩りはしなくてもよくなります。その分鍛錬などに時間を回しましょう》
(あ、う、うん、そうかもね?でもたまには地上で狩りもしたくなるかもね?忙しくなければね?)
《問題ありません。その時はマスター自身が誘導してもいいですし、罠側にまわってもいい。作戦の修正点を指摘しても?》
(めちゃ前のめりでくるやん・・・まぁはい、おねがいします)
《まずは誘導する広場です。ここには罠をあらかじめ大量に設置しておくとよいでしょう。もちろん誘導役にはわかるようにですね。広場の中心の木ですが必ず用意しましょう。極めて有効です。木がなければ土を盛ったっていいですし、余裕があれば櫓など建ててもいいでしょう。広場に誘い込んだら脱出させない構造や工夫も必要でしょう。
次に木の上の待機組に関してですが・・・》
やる気スイッチが入ったアイはすごい。もう止まらない。誰か止めてっ!
あっ組合長きた!
アイっ!アイっっ!!もう来たから、組合長来たから!またあとでね?
このあと組合長に提案したらこちらも滅茶苦茶乗り気で『オレが誘導してやる』って言いだしちゃって困ったよ。少なくとも最初だけはオレがやらないとね。下手したらオレの発案じゃなくなっちゃうかもだし。




