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 見渡す限り何もない。


 空があるわけでも大地があるわけでもない。

 ただただ『白』だけが存在している。


 よくみれば影もない。いや光さえもない。


 かと言って何も見えないわけではない。いや・・・見えていると感じているだけなのか。


 白い空間という程度の認識しかできない。


 気が付くとオレはそこにいた。



(なんだコレ?ってゆうかドコ?)


(ヤッバ、なにこれ死んだ時のやつ?)

(じーちゃんの葬式があった日の夢に出てきたアレや)

(オレ、じーちゃんっ子だったからなぁ。なつかしい)


(いや待て)

(もしかしてオレも死んだのか)


(ってあ、あぁぁ思い出した。オレ死んでたわ・・・・マジか)


(死んでたのもヤバイけどなんだこの記憶?リク?)

(どこかの外国の子供・・・孤児?の記憶が)




「そうだよ川崎陸くん」


「うわっ、どこだっ」



 オレは慌てて辺りを見回そうとするが右も左もない空間だし無意味に焦っただけだった。



「ちょっと待ってね。ハイ、これでどう?」



 何かクルっと場面が変わったような感覚の後いつのまにか身体を持って地面に立っていた。


 目の前には「何か」がいるようだが、注意して見ようとするとすぐボヤけてしまう。

 視界の中心から敢えて外し目の端に入れるように目線を変えると、そこにはフワフワした光の塊のような物が漂っているのがわかった。


 ひとまずその状態で納得し会話を試みる。



「アンタだれ?神様的なアレ?」


「うん、そんな感じでいいよ」


「いや適当すぎでしょ」



(ひとまず聞いてみたがあまり悪い雰囲気は感じないな?どうやらクダけた感じでよさそうだし。これはひょっとして・・・ひょっとするよな?)

(アセるな、アセるなよ、まだそんな時間じゃない)



「いや、ここは時間の意味はない所だけどゆっくりはしていられないんだ」


「はい心読まれました~。テンプレゴチです!」


「うんうん、わかるよ。君も色々わかってるようだし期待をしていることもわかってる。君の世界のラノベも読んだよ?」


「ということは?」


「そう、転生です」


「よっしゃーーーーーーーーーー」


 思わずガッツポーズ。




「う~んとても安定しているね。自分が死んだショックは無いようだ。君のおじいさんが亡くなった時の経験のせいかな?この場所にもすぐ馴染んだようだし」


「へぇ?よくわかんないけど。それよりさ、ちょっと説明欲しいしあとリク?って子供のことも」


「うん、先にリク君のことを簡単に説明するね。一番気になっているのは転生時の特典のことでしょ?それはあとで」


「よくわかってらっしゃる!」



 その神様?の説明によればこういうことだった。


 オレ、川崎陸は死んだ。

 リクと呼ばれていたあの子供は転生後のオレだったようだ。


 転生した魂は一定の期間、前世の記憶を封じて生活する必要がある。異世界に魂を馴染ませる的なことらしい。前世の記憶を保持したままの転生には不可欠だそうだ。


 約16年。成人を間近に控えて準備が整った。

 いよいよ前世の記憶を持ったリクの誕生というわけだな!



「あのリクって子、真面目でいい奴だったよ。オレみたいなのに取って代られるとはなんか悪い気がしてきた・・・」


「そうじゃないよ。リク君もまた間違いなく君だよ。その16年は君が過ごした16年なんだ」


「そっか。交代するわけじゃないのな?それならいいか。記憶はあるけど実感が無いし・・・変な気分だ・・・

 よしひとまずオーケーだ。じゃ次に本題をおなしゃす!」


「はいはい。

 君のおじいさんには借りがあってね。記憶を持ったままの転生と特典付与はおじいさんのおかげだよ」


「おいマジかよ。じーちゃんグッジョブ!!」


「それではおまたせ。転生特典の発表です」



(・・・ドキドキ・・・)



「陸君の特典は『魔素が見える眼』です!」


「・・・うん? うん、あるよねそういうスキル。そのおかげでバチクソ強力な魔法使えたりするよね?あと見えることを活かして無限MP的な方向性もあり得るかっ!?」


「一般の人は魔法を使えないよ。16年間リク君の生活を通して魔法を見たことは?」


「・・・魔道具しかない、魔法は知らない・・・。オレは魔法使えるよね?魔法無しとかありえねーし」


「使えないよ?

 でも魔素が見えるのってすごい才能だよ。超便利だし。世界で唯一人のもの。リク君も感じていたよね?むしろ利用し始めていた」


「記憶では確かにそうだけど・・・・

 まって、ねぇまって?いやいやいや、ないわー。ウソだよね?魔法使えない上にチートがそれだけってさ?ボクちゃんオコだよ?」


「ラノベにもあるでしょ『転生したら悪役令嬢でした』って。わりと魔法使えないよね?」


「無駄に詳しいのなんなのっ!ジャンルがちげーよっ」



 ・・・・よしちょっとそこに正座しようか。正統派ラノベの何たるかを教えちゃる!




 そこからオレによるラノベ講座が開始された。


 ナーロッパの基本設定。


 全魔法適正、鑑定、異空間収納の特典セット。


 冒険者ギルド、ランク制度。


 テンプレイベントのお約束。

 恥ずかしかったけど『くっころ』から『月が綺麗ですね』までやってやったぜ!


 それはそれは熱く語り聞かせてあげましたよ。

 ゴネてゴネてゴネまくりました、とも言う。





「・・・わかったよ。熱意は伝わってきた。特典追加するからそれで本当におしまい」


「むぅ・・・」


「いやならもうこの話はおわりだけど?」


(相手は神様?だし、これ以上は無理かなぁ)

「フゥ・・・わかりました」


「その『ヤレヤレしょうがないな感』はどこから目線なのまったく。んじゃーこんな感じです。さっきの眼を有効活用するために、陸君の考えた魔法を4つ使用できるようにするよ」


「・・・オレは魔法を使えないのでは?」


「魔法とは言ったけど転生先に存在している魔法ではなく『魔素』を消費して履行する魔法だよ」


「うーんとごめん。魔素ってそもそもなんだっけ、キラキラしてるやつよね?」


「魔素とはすべての根源。すべての構成因子。

 転生先の世界における根幹を成すもの。

 君の元の世界の物に例えようか。


 E=MC^2


 眷属が君の世界に残したイタズラだ。

 君の世界にあるすべてはエネルギーなんだよ。

 エネルギーがすべての根幹。


 原子1個分の質量を消せば、等価分のエネルギーが生まれる。

 逆もまた真だ。

 次の世界にとって魔素がソレにあたるんだよ」






「・・・・1ミリもわかりませんけどっ!?」


「ダイジョブ、ダイジョブ」


「なんでカタコト!?何が大丈夫なのかっ」


「無理に理解しなくていい。君の言うMPじゃなくてキラキラを消費して使う魔法ってことだよ。さっきも言ったけどゆっくりしていられないんだ。君の魔法について注意点を伝えたらすぐお別れだ」



「君が思い描いた通りの魔法を4つ創作できる。君の魂に4つの『空きスロット』を刻むからそこにセットして使うんだ。


 1度セットしたら変更不可だ。ただし1回だけ魔法を消去して『空きスロット』に戻すことができる。4つのスロットを通して1回だけだよ。消去した魔法は2度とセットできない。他の『空きスロット』でもだ。


 魔法の履行には魔素の消費を伴う。セットする時点でその魔法の履行に必要な魔素が君に足りていなければセットできない。


 どうかな?しっかり把握したほうがいいよ」





「・・・・本当にどんな魔法でもいいのか?」


「例えば『世界を支配する魔法』を創ったとする。セット可能だ。必要魔素に足りてればね?」


「クソっ、そういうことか」


「他にも制限はある。与えられたスロットの権能を大きく変える事は不可だよ。『スロットの数を増やす魔法』とか『魔素の消費をゼロにする魔法』とかね」


「なるほど、それは理解できるな。あまりにも反則なチートをもらって転生すると、転生した瞬間に勝ち確でゲームクリアだもんな。どこのクソゲーだよって感じ」


「なんだか斜め上に進んでいるようだけどちゃんと伝わったのかなぁ?とにかくよく理解して慎重にね?本当にもういくから。活躍を祈ってる!」


「はやっ、まって!もっと聞きたいことが!次の世界についてもっと説明するのがテンプレだろ!!剣と魔法の世界です、とかさ」




「あ、オレ16年もその世界に暮らしてたんだった・・・・」




 真っ白だった空間が徐々に暗転してゆく。


 ゆっくり落下していく感覚が身を包みオレの意識もそれに引き摺られるように落ちてゆく。

 


 ゆっくりと、ただゆっくりと。


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